リーディング争いを独走状態に持ち込んでいる戸崎圭太騎手だが、重賞戦線でも人気馬の依頼が増加。それ故に人気を背負いながら、期待を裏切ってしまうことも出てくるが、そこは答えづらい敗因も聞かざるをえないところ。ハクサンムーン、サトノフラムと1番人気の支持を集めた2戦を振り返ってもらった。

条件が堪えたスプリンターズS

-:スプリンターズS(G1)ハクサンムーン(牡5、栗東・西園厩舎)は左回りが堪えていたのではないですか?走りを見ていると……。

戸崎圭太騎手:そうですね。直線でもフラついていて、まともに乗れなかったですからね。

-:そのフラついてた原因は左回りだけによるものですか?

圭太:どうなんですかねえ。左回りもあるのかもしれないし、あの馬も原因は分からないですね。僕はあの馬のリズムで行こうと思ったんですよ。ハナに行っている時が走って(結果を残して)いますけど、それだけの馬ではないと思っていたのでね。スタートは上手に出てくれて、行ければハナにも行こうかと思っていましたが、内から他馬がしごいて来たので、あれでハナに行ってしまうとペースも速くなるし、馬場も内側が荒れていたんでね。だったらハクサンムーンのリズムで行った方が良いな、という考えはあって、ああいう運びにはなったのです。結果として、ハナに行った方が走れたのか、その辺はちょっと分かんないですが、あのレースは僕の考えで行きましたね。

-:そこに悔いはないですか?

圭太:僕はないです。

-:悔いがないのだったら、結果は悪かったにせよ、良かったですね。

圭太:もちろんハナに行ったらどうだったのかな、という思いもありますが、あとはもっと良い馬場で、スピード決着の良い馬場でやれたらもっと良い条件だったかな、という感じはしますね。

戸崎圭太

-:もともと手前の替え方がそんなに上手じゃない方ですよね。

圭太:右回りの方がスムーズでしたけどね。それに、展開などは人それぞれのとらえ方もあると思いますし。ただ、馬場はに関してはあの日の条件はちょっと嫌でしたね。

-:けっこう荒れていて、硬いけどボコボコしているような馬場でしたか?

圭太:水分を含んでいましたね。多少ですが、その日もパラパラと雨が来ていたので。その前の週の方が馬場は良かったですね。荒れてはいたものの、馬場は乾いていましたから。

-:確かに意外にも先行勢が残っている感じがしましたね。

圭太:そうですね。あの週の馬場ならば、とは思っていたのですが。

輸送、左回り、キャリア?原因不明のサトノフラムの敗戦

-:いちょうS(重賞)サトノフラム(牡2、栗東・安田隆厩舎)は残念な結果でしたが、敗因はどのように捉えていますか?

圭太:う~ん、正直分からないですね。返し馬の雰囲気も、道中も凄く良い感じで行けたと思っていたので。直線で追い出したところで、伸びがなかったのですが、本当に分からないですね。4コーナーで少し踏んでいった時、仕掛けたところでの反応が少し鈍かったので、そこは不安にはなりましたが、またそこから伸びてくるんだろうな、という感じで乗っていたのでね。全然その後(の伸び)がなかったので、“アレッ”という感じでした。突き詰めれば、原因は色々あるのか……。ただ、どれがダメなのか、というのは分からないですね。

-:状態面、調整という点では前回と比較すれば、初めての長距離輸送という課題もあったと思うのですが、そこも踏まえるといかがですか?

圭太:プラス体重で来ていましたし、イレ込み(なく)も雰囲気も良い意味で変わりなく来ていたので、その辺の心配はなかったですね。

-:追い切りの雰囲気なども。

圭太:見ていると抜群ですからね。

-:あれを見たら、なかなか負けようはないのかと思ってしまいますよね。レースでは少し手綱を引っ張っているようにも見えましたが、左回りも課題にはありましたか?

圭太:う~ん、ないと思います。

戸崎圭太

-:そもそも気性的にはどんなタイプだったのでしょうか?

圭太:もともとは子供っぽくて、何かヤンチャなところを見せるようなタイプで、、最初は大変だったみたいです。それでも新馬の時は返し馬から全然大人しくて、雰囲気も良かったので、レース中も普通にすんなり回ってくれたので、そういう面では新馬も気負うところがなかったですからね。

-:次は走りそうな手応え、巻き返せそうな可能性は感じられますか?

圭太:新馬の勝ち方や追い切りなどを見ていると、走らない馬ではないでしょうからね。

-:先生(安田隆行調教師)とはどんな話をされましたか?

圭太:今の話をしたくらいで、先生も「悪かったね」と言ってくれたんですけどね。

-:安田先生とか厩務員さんから見て、感じられる敗因はあったのですか?

圭太:いや、そういうところはなさそうでした。僕と同じように、道中もリズム良く行けたし、直線で伸びがないな、という思いはあったようでした。馬が話してくれれば一番分かるんですけどね(苦笑)。馬にも走らなかった理由が色々あるんじゃないかな、という感じですね。この後は休みに出すということだったので、仕切り直して頑張りたいですね。

戸崎圭太

馬場読みに成長をみせた移籍2年目

-:オールカマー(G2)マイネルラクリマ(牡6、美浦・上原厩舎)はテン乗りながら見事な結果でしたね。

圭太:調子も良かったみたいですし、あの週の馬場には合っているというか、悪い馬場でも頑張れそうな馬でした。スムーズに前に付けられたのも良かったですね。まあ、乗りやすいことが一番良かったと思いますね。

-:乗る前に「良い馬が回ってきた」といったことを珍しく言っていましたね。

圭太:そうですね。ここならば上位の馬だと自信を持っていましたからね。

-:しかし、内回りコースで上手く立ち回ってのソツのない競馬でした。

圭太:センスの良い馬ですね。展開的にも向いてくれました。

-:夏の新潟開催は28勝、重賞2勝の結果でダントツのリーディングでした。夏を通して振り返っていかがでしたか?

圭太:後半はちょっと読み辛い馬場になっていましたけど、たくさん良い馬に乗せていただいて、リーディングも去年の悔しさを発揮出来たのかなと思いますし、良い開催になったかなと思いますね。

戸崎圭太

-:でも、馬場を読むというのは、去年からの一つの課題じゃないですが、そこはご自身でもテーマに挙げられていたと思います。その慣れなどはありましたか?

圭太:去年よりも随分と高まったかなと自分では思っています。まだまだなところはありますが、逆に去年よりは面白さも感じていますし、幅が広がったというのはありますね。

-:そう言った時は、誰かマークするのですか?この人がここを通っていたから信頼出来る、とか。

圭太:いや、僕はないです。あくまでレース全体を見て、イメージを掴むようにはしていますね。

-:それでも、週ごとに傾向がコロコロと変わってくる訳ですよね。

圭太:週ごともありますし、午前中と後半で違う時もありますので、なかなか難しいところですね。その週の降水量も影響するので、週中から天気予報は気にして見ていました。それは去年に比べたらするようにはしましたね。

-:それがハマったというレースはありましたか?

圭太:それが合っているかどうかも分からないのでね、僕がそう思っているだけでも。でも、ハマっているレースもあったのかとは思いますが……。

戸崎圭太

-:でも、成績自体、トータルとしてはマズマズでしたか?

圭太:そうですね。でも、納得はいっていないですよ。僕は納得がいくことはないので。

-:どちらかと言えば、スポットで行った関西で固め打ちしているイメージです。

圭太:あんまり行かないからじゃないですか。

-:あとは午前中?

圭太:最近よく言われます(笑)。関係者にもよく言われます。

-:でも、モチベーションや体力が変わるということはありませんよね。

圭太:変わらないです。たまたまそうなってしまっているだけで、そこは反省しなきゃいけないといっても……。前半と後半で変わっている訳でもないのでね。かといって、「後半の騎手」にもなりたくないのでね。安定する騎手になれればなと思います。

-:安定かつ大胆さがあればということですね。

圭太:そうですね。