'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
12月16日時点1567勝
【鳴尾記念】成長感じるステファノス 休み明けでも勝ち負けを期待!
2016/6/3(金)
5歳にしてさらに成長のステファノス
-:結果は残念でしたが、ダービー週お疲れ様でした!その話題は後ほどお願いするとして、今週は土日で阪神での騎乗。珍しいですね。
圭太:ええ。安田記念(G1)も万が一、ストレイトガール(牝7 栗東・藤原英)が出ていれば乗せてもらっていたのでしょうが、他に乗り馬もいなかったのでね。割りと早い段階から阪神で入れていました。
-:そのメインとなるのが、土曜の鳴尾記念(G3)。ステファノス(牡5 栗東・藤原英)とのコンビですね!
圭太:そうですね。一週前追い切りに乗せてもらった時はまだ重さもあったので、そこがどうかな?今週は変わってくるかな?といったところですが、成長は感じられましたね。
-:やっぱり数はそこまで使っていないので、ここへ来ても成長の余地があるのでしょうか。力強さが出てきたということで。
圭太:力強さがついてきましたね。もともとディープインパクト産駒らしい軽さというより、力もあるようなタイプなのでね。
香港カップに挑んだステファノスと戸崎騎手
-:ということは、この先に目標としている宝塚記念も、えてして馬場は悪くなりやすいですから楽しみです。
圭太:良いと思いますよ。今回も戦ってきた相手を考えれば、上位の存在でしょうから。休み明けとはいえ期待しています。
-:ちなみに、少し間隔は空いたので、香港のレースがどうだったのか覚えていないファンもいると思います。もう一度、振り返ってもらえますか?
圭太:う~ん、力が出し切れなかったですね……。ステファノス自身は好走した実績はありますが、シャティン競馬場は簡単ではないと言いますか、絶対的に内枠が有利ですし、外でもある程度、先行力がないと厳しいです。それも踏まえて、位置はとっていきたかったのですが、それも叶いませんでした。まあ、ステファノスの話題というか、香港の話題になっていますけど。
-:モーリスなどは例外として、確かに大外から差し切る競馬は、なかなか見られないですね。しかし、今週は残念ながらテン乗りの馬ばかりです。
圭太:ええ、すみません(笑)。映像を見るのが大変ですね。
ステファノスの一週前追い切り CWコースで5F67.1-12.0秒をマークしている
-:こういう時は逐一チェックするものですか?
圭太:自宅にいる時、しますね。前走もそうですし、その馬が良い走りをしていた時など、テン乗りだったら一頭につき幾つか観ますよ。
-:どんなところをチェックされるものですか?
圭太:いやあ、ファンとは違ったところを観るので、参考にならないと思いますが、僕の場合はレースでどんな組み立てをしているか、そこですね。
-:話題は戻りますが、同じく土曜阪神は2R(3歳未勝利)のサンライズムーヴ(牡3 栗東・安田隆)はどうですか?
圭太:当時はまだ気も入っていない印象でしたね。前走を見る限り、そこも徐々に良くなってきているのかな。
-:今週から新馬戦もスタートしますが、5Rはスズカマイゲスト(牡2 栗東・橋田)に騎乗されます。
圭太:まだ緩いところは残っているのですが、気は入っていますね。仕上がりも悪く無いですし、本格化は先でも早々に走ってきておかしくないんじゃないでしょうか。
結果以上に悔しさが残った日本ダービー
-:関西の一番星となればいいですね!先週の話題ですが、日本ダービー(G1)はスマートオーディン(牡3 栗東・松田国)と挑んで6着でしたね。
圭太:う~ん、もう少し抜いて、リラックスして走らせてあげないとダメでした。見た目にはそう見えないかもしれませんが、理想はもっと抜かないと。ちょっと力んでいましたし、この馬の持っている末脚は発揮しきれなかったと思っています。
-:それでも、勝ち負けは厳しかったかもしれませんが……。
圭太:確かに上位3頭は何度やっても崩れていなかったのかと思う強さでしたね。本当に力のある馬が強い競馬をしたレースだったと思います。
-:しかし、レース後は悔しそうでしたね。それは……?
圭太:ええ。勝ち負けも大事ですが、思っていたレースが出来なかったことが悔しかったです。馬は違いますが、来年こそは……という思いです。
-:理想とする競馬ができなかった悔しさと。目黒記念(G2)のサムソンズプライド(牡6 美浦・杉浦)はどうでしたか?
圭太:カッコの良い競馬になっただけ、と言いますか、この馬の持ち味を引き出せなかったですね。
-:もう少し流していった方が良いとはコメントされていたようですね。
圭太:そうです。後続に脚を使わせるように、もっとペースを刻んでいって、スタミナの活きる競馬のほうが良い走りが出来たと思うんです。
-:ご自身に対して手厳しいですが、勝ったマッチレスヒーロー(牡5 美浦・金成)はどうでしょうか?
圭太:ムラっ気があるというか、なかなかここ最近はこの馬本来の走りを魅せられていなかったですよね。それが、仕上げを変えたらしく、効果てきめんでした。
-:強かったです。
圭太:このクラスでもやれて不思議ではなかったのですが、先生も今回で手応えを掴んだようですよ。まだまだ上を目指せる存在だと思います。
-:重賞にも行けそうな雰囲気はありますね。
圭太:僕は乗れないのでわかりませんが、おそらく次はプロキオンS(G3)かな。楽しみな存在ですよ。
-:そして、テン乗りのオールマンリバー(牡4 栗東・五十嵐)でも勝たれましたね。
圭太:前回も良い走りをしていましたからね。順当だったかと思います。強かったです。
-:左回りが合っているらしいですね。
圭太:そうなんですか?まあ、ここでは力が違いましたよ。
-:そして、次週以降のスケジュールを伺いたいのですが、6月は当面東京ですか?
圭太:概ね東京ですね。函館スプリントステークス(G3)はオデュッセウス(牡3 美浦・手塚)、さっきも話した宝塚記念はステファノスですが、それと、来週の東京ダービー(S1)と北海道スプリントC(Jpn3)ですか。
-:北海道SCはレーザーバレット(牡8 美浦・萩原)ですね。
圭太:前走は斜眼が効きすぎましたからね。あれなら、千二でも良かったほど。そういう意味で、今回は見直したいです。
-:東京ダービーはどの馬に乗る予定ですか?
圭太:佐藤先生のスアデラですね。
-:ちょくちょく南関東にも騎乗されにいっていますが、力関係なんかも把握しているのですか?
圭太:観てますよ!むしろ、毎日チェックしてますから。「最近、誰が勝ってきているんだな」とか「どこの厩舎で誰が乗って勝ったんだな」なんてチェックしています。観ない日はないんじゃないですか。
-:ええっ!?そこまでチェックしているんですね。
圭太:やっぱり、南関東が好きだからじゃないですか(笑)?ハハハ。寝ても覚めても、毎日、競馬。競馬しかない男なんで、毎度つまらない話題ですみません。
-:いやいや、ちなみに最近、台頭してきているジョッキーはどなたですか?
圭太:(船橋の)中野省吾ですね。ここ最近はかなり上がってきていますね。
-:戸崎騎手を通して、南関東にまた興味が持つ人もいるかもしれませんね!今回もありがとうございました。
圭太:ありがとうございます。
※次回は6月10日(金)の更新です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。