'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月11日時点1556勝
さあジャパンC!樫以来の舞台でルージュバックと逆襲なるか?
2016/11/25(金)
天皇賞(秋)では3番人気に支持されるも、7着に敗れてしまったルージュバック。決して馬格に恵まれているとは言い難い馬だけに、戦後の動向が気になったところだが、この秋3戦目はジャパンカップへ駒を進めてきた。前走内容についても、主戦の口ぶりからは巻き返しの余地は大いにあるところ。豪華メンバーを相手に一矢報いることが出来るのか、その可能性に迫った。
ルージュバック 道悪・距離も不安なし!思い描いた競馬で反撃を
-:今週で東京開催も最後になりますが、まずは今週末の騎乗馬の話題から伺いたいと思います。土曜2R(2歳未勝利)のサクラメジャー(牝2、美浦・田島俊厩舎)は新馬前に追い切りに騎乗されて、その感触では「水準レベルにはある」という評価だったと思いますが、結果は5着でしたね。
圭太:若さがある馬でしたね。ゲートも遅れて、追走にも少し手間取っていました。他馬を気にするようなところもあり、全体的に若さがありましたね。
-:一度、使っての変わり身、変化はどう感じますか?
圭太:使った分は良い方には出ると思うんですよね。ただ、周りを気にする点があるのでね。モマれないような競馬、例えば、しんがり一気で来られるほどの競馬はまだまだ出来ないと思いますし、競馬を教えつつ、覚えてもらいつつ成長していってほしいですね。
-:3R(2歳未勝利)のヴェルラヴニール(牡2、美浦・加藤征厩舎)は新馬戦で3着。こちらは戦前の追い切りには乗っていらっしゃらなかったですね。
圭太:レース前に「すごく引っかかる」と言われていまして、返し馬でもずいぶん前向きな感じでしたね。でも、レースに行ってからは気をつけていた分なのか、落ち着いて走ってくれていたのでね。最後の脚も良い脚でしたし、一度、使った上積みも期待できます。勝負をしたいですね。
▲先週は3勝の戸崎騎手 リーディング争いにも気の抜けない闘いが続く(写真は天皇賞・秋)
-:最終R(3歳上1000万下)のアッラサルーテ(牝3、美浦・手塚厩舎)は古馬1000万下クラスと混じった前走でも、きわどい2着。その勝馬も上のクラスで走っているだけに、期待したくなるところですが。
圭太:正直に言えば、中山のほうがベストでしょうね。
-:やっぱり、そうですか。
圭太:ええ。センスは良いので、そこを引き出して頑張りたいですね。中山だったらマイルは良いでしょうが、東京ならば1400mというのは良いと思いますので、そこを上手く活かしたいです。
-:話題は日曜に移り、ウェルカムSのクインズミラーグロ(牝4、美浦・和田道厩舎)は前回8着。そこからの巻き返しは期待できそうですか?
圭太:結果は思わしくなかったのですが、能力は感じましたよ。日曜は見れば雨が降りそうとのことですが、過去の実績ではやや重で走っているのでね。むしろ良いかもしれません。
「G1を勝たせてあげられているわけでもないのに、デビューからほとんどのレースで乗せ続けてもらえていますからね。僕も思い入れのある存在ですし、G1を勝たせてあげたいし、一緒に勝ちたいと思っているので、頑張りたいです」
-:そして、ジャパンカップ(G1)。ルージュバック(牝4、美浦・大竹厩舎)は2枠4番に決定しましたね。
圭太:率直に絶好枠じゃないでしょうか。あとは前走もありますし、直線では外に出して、しっかり末脚を活かしてあげられたらと思いますね。
-:確かにエプソムC、毎日王冠の連勝も外から強気に運んでの勝利。あれを思えば、道中はロスなく運んで、直線は外に出して、という競馬が良いのかもしれないですね。
圭太:フットワークも大きいですからね。外から気持ちよく脚を伸ばしてあげるようなイメージで臨みたいです。おそらくこの枠の並びだとそんなに速くもならなさそうですが……。
-:中間の状態などは伺っていますか?
圭太:幸か不幸か、前走が走りきれていなかった分、良い状態みたいですよ。ここ最近も安定していますし、心配していないですよ。
-:日曜の天気予報を見ると、雨が予想されますし、冷え込みそうですね。道悪についてはいかがですか?
圭太:人によって意見は違うと思いますが、僕はパンパンの良馬場よりはいいと思いますね。若い頃は緩い馬場でモタつくところはあったのですが、力強さというか、しっかりしてきましたからね。
-:思えば、毎日王冠の時もやや重でしたからね。しかも、あれだけのフットワークならと頷けます。
圭太:おそらく2頭(キタサンブラック、ゴールドアクター)が前に行くと思いますし、当日の馬場傾向はどうなるかわかりませんが、理想をいえば、毎日王冠の時のような外差しが決まってくれる馬場、ペースになってくれれば幸いですね。東京の芝は良い状態をキープしていますが、ここ最近も内外の差がない雰囲気ですからね。それが雨でどうなるか……。
-:よく聞かれていると思いますが、距離についてはオークス以来となりますね。
圭太:大丈夫だと思いますよ。エリザベス女王杯でも休み明けであれだけ詰めてきてくれましたから、あとは僕がしっかり乗ることですね。相手は強いですが、やりあえる力は持っていると思うのでね。やはりこのご時世、すぐに乗り替わりになりますからね。そんな中でもG1を勝たせてあげられているわけでもないのに、デビューからほとんどのレースで乗せ続けてもらえていますからね。僕も思い入れのある存在ですし、G1を勝たせてあげたいし、一緒に勝ちたいと思っているので、頑張りたいです。
-:前走もリアルスティールに押し込まれるような形になってしまいましたが、あれは不本意な競馬だったわけですから、今度こそですね。
圭太:ええ。そう思っています!
理想通りの競馬だったフィエロ
-:先週の話題に移りますと、マイルCS(G1)はフィエロ(牡7、栗東・藤原英厩舎)で挑み、6着という結果でした。一旦はオッ!という末脚も見られましたが、いかがですか?
圭太:先生とも作戦を練って、内心ウハウハしていたんです(笑)。「これはハマったなぁ~」と。ただ、直線がもうひと息。いつものフィエロではなかったのかなと……。思えば道中もグイグイ来るのですが、折り合いもピタッとついていたのでね。折り合いがついていたので良いのでしょうが、もともとの行きっぷりを考えると、物足りなかったのかなと。
-:やはり年齢的なものなのでしょうか。
圭太:ですかねぇ……。こんな結果だから胸は張れないのですが、道中は本当に上手くいっていただけに、それを思えばね。
-:同じく日曜京都のウィッシュハピネス(牝4、栗東・沖厩舎)はメンバー構成が……。
圭太:メンバーみたら、先行勢ばかりだし、並び的にもね。今回は展開のアヤですかね。前走よりはゲートも落ち着いてくれていただけにもったいなかったです。
-:馬体重はかなり増えたままですが、そこはどうですか?
圭太:まあ、そこについてはそんなに悪い材料ではないと思いますよ。
-:土曜東京のハウメア(牝2、美浦・藤沢和厩舎)はどうでしたか?
圭太:行きっぷりは前にも増していましたね。ただ、終始、引っかかっているわけではなく、許容範囲内でした。でも、追ってからの緩さといいますか、いまは東京だと分が悪いですかね。
-:素質や血統を考えれば、まだまだ先を目指したいはずですからね。
圭太:僕も期待はしていたのですが……。もう少し走りのまとまりといいますか、そこがしっかりしてくれれば、変わってくると思いますよ。
-:そして、次週は中山に舞台は移りますが、日曜は中京のチャンピオンズC(G1)でモーニン(牡4、栗東・石坂厩舎)に騎乗ですね。ここから朝日杯FS以外はG1に騎乗されると思いますので、12月も期待しております。
圭太:ありがとうございます。
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は12月2日(金)に更新予定です!
※「週刊!戸崎圭太」を購読してくれている皆様へお知らせです!11/25(金)よる8時スタートのイベント「ジャパンカップ直前展望ライヴ~新宿頂上決戦~」にて、戸崎騎手がコメント出演という形で登場!競馬ラボYouTubeチャンネルでもイベントは生配信。お聴き逃しなく!また、現在発売中の人気ファッション誌「SMART」にも登場しております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。