'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月11日時点1556勝
さあ東京開催で逆襲だ!根岸Sはベストウォーリアと臨む!
2017/1/27(金)
現在、僅か4勝。不調がささやかれる戸崎騎手だが、その声は当人にも届いているよう。聞けば、本人自身はいつもと変わらぬスタンスではあるが、東京開催で流れが変わることを期待したいところ。そして、フェブラリーSの前哨戦にはゆかりの深いベストウォーリアと挑む。ホーム・大井で重賞も制し、弾みがつくのか?改めて今週の騎乗には注目だ。
根岸Sは初挑戦!ベストウォーリアと健闘を誓う
-:いよいよ今週から東京開催ですね!ジョッキー的には3年連続リーディングの実績を思えば、なかなか思わしくない1回中山だったかと思うので、心機一転となればと思います。
圭太:そうですね。ファンや関係者の皆さんにはご迷惑をおかけしているので、心苦しいところではありますが、開催替わりで流れが変わればと思いたいです。
-:僕から観ても「これはしょうがない結果だな」と思う節も多々ありますし、新年の成績だけに目立ってしまう部分もありますが……潮目が変わってくると信じています。早速ですが、根岸ステークス(G3)にはベストウォーリア(牡7、栗東・石坂厩舎)とのコンビで挑まれるのですが、7歳とはいえ、まだまだ元気ですよね。
圭太:本当にそう思います。意外にも東京の1400mは初出走ではありますが、結果から見ても左回りの千四、千六はベスト。何とかいい結果を、とは力が入るところです。
-:昨秋も南部杯をあの時計で走り抜けていますし、JBCもコーナー4つの競馬ながら2着に食い下がっていますからね。
圭太:敗れてはいるのですが、衰えはみられませんよね。そもそもここまで大事に使われていることもフレッシュな理由だと思います。以前は59kgの斤量でも勝ったことがあるほどで、特に不安な要素がありませんよね。JRAに移籍した年から乗せていただいて、移籍後では初めての重賞勝ちも経験させてもらっていますからね。何とかこの馬とまた勝てればと思っています。
▲JRA移籍初年度の2013年 初コンビながらユニコーンSを制した
-:能力やコース適性は疑いようがないので、改めて期待しています!続いて、土曜日の騎乗馬で気になるところでは、7R(3歳500万下)のバスカヴィル(牡3、美浦・二ノ宮厩舎)。人気になるのでしょうが、初戦、2戦目と不利とされる東京ダート千六戦の最内枠を引きながら、好走しているところにビックリさせられました。
圭太:競馬が上手な馬ですよね。まだ緩さもあって、奥が深そうなタイプ。伸びしろはあるんじゃないかと思います。
-:最内枠で砂をかぶったら嫌がりそうなもの。そこをこなしているのは心強いです。
圭太:ええ。大丈夫でしたねえ。まだ余裕のある勝ちっぷりでしたから。
-:脚質的には長くいい脚をつかうタイプですか?
圭太:そうですね。ジワジワといった感じですが、そういう意味では外枠ならば、もっと捌きやすいかもしれませんよ。
-:前走も一旦はリードを縮められたのに、そこから突き放しましたからね。これは楽しみです!クロッカスSのタイムトリップ(牡3、美浦・菊川厩舎)は東京に戻ってどんな競馬になるでしょうか。
圭太:競馬は上手いタイプなのですが、まだ一生懸命走り過ぎるところがあるので、そこを上手くなだめたいですね。正直にいえば、やれて不思議ではないのですが、長い目で競馬を教えつつ乗っていきたいタイプですね。
▲素質を高く評価するバスカヴィル またしても1枠2番に
-:2走前の当該コースでは敗れてはいますが、見直したいところです。日曜の8R(4歳上1000万下)、モンドアルジェンテ(牡5、美浦・萩原厩舎)は久々をひと叩きして臨んだ前走が完勝でした。
圭太:左回りも良かったのかもしれませんし、馬も状態が良かったですね。昔はゲートも悪かっただけに、いま思えば、成長しているのかもしれません。距離も問題ないでしょうし、引き続き楽しみですよ。
-:このクラスでも大出遅れから4着に来ていますし、上位争いできると思っています。最終レース(4歳上1000万下)のヴェラヴァルスター(牡5、美浦・木村厩舎)ですが、前走は大外枠が堪えましたかね……。
圭太:それもありますし、追い出してからの反応は幾らか重さを感じました。僕自身、乗せていただくのは2度目ですが、これくらいの距離で決め手を活かす形は良いんじゃないかと思っているんです。改めてどんな競馬になるか、楽しみですよ。北海道での勝ちっぷりなんかも良かったですからね。
-:そういえば、アパパネの初仔・モクレレ(牡3、美浦・国枝厩舎)に騎乗されたそうですね。追い切りはいかがでしたか?
圭太:素質は感じますね。まだ子供っぽさがあって、落とされそうにもなりましたし、ヤンチャはヤンチャですよ。そこが実戦に行ってどうなるか、という面もありますが、楽しみな存在です。
負けて強しのゼーヴィント 当人は東京替わりで巻き返しを誓う
-:先週のレースについても、よろしくお願いします!AJCC(G2)のゼーヴィント(牡4、美浦・木村厩舎)は2着という結果。しかし、勝ち馬は上手く乗っていられましたね。
圭太:そうですね……。蛯名さんは完璧に乗られていましたね。僕も理想をいえば、ワンテンポ、ツーテンポ、もう少し仕掛けを遅らせられたら、という思いもあるのですが、外から被される格好に。そこでフタをされても、僕自身としてはなかなか対応しきれないタイプかなとも思っていただけに、思っていたよりも早めに動く形になりました。
-:とはいえ、負けて強しの結果ではありましたよね。
圭太:馬も伸び切ったままではなく、ちゃんと起きて走れるようになりましたし、落ち着きも出てきましたね。ずいぶん成長したな、とは感じています。じゃあ、勝たないと……という話ではあるのですが……。
-:展開のアヤもあったレースだと思います。改めてゼーヴィントの今後に期待したいですね。クィーンズベスト(牝4、栗東・大久龍厩舎)はどうでしたか?
圭太:正直、確勝級の存在とも言えますよね。もう少し流していけば良かったとも思いますし、勝ち馬も楽な競馬になったと思いますからね……。
-:サンクロワ(牡4、美浦・斎藤誠厩舎)などもなかなか思うような展開にならなかったですね。
圭太:そうですね。外から来られたのが痛かったです。
-:ロジムーン(牡3、美浦・萩原厩舎)はどうでしたか?
圭太:折り合いもついて、位置取りもスムーズに決まりました。ただ、追ってからの反応がなくて。う~ん、どうしちゃったんだろうという結果でした。
▲敗れはしたがゼーヴィントの成長を感じ取った様子
-:ボーダーオブライフ(牡3、美浦・金成厩舎)は思い切って逃げての勝ちましたね。
圭太:理想をいえば、この馬は逃げ馬ではないと思うので、本来の形ではないですよね。でも、良い枠でしたし、外から包まれるのもイヤですからね。周りも出ていかなかったので、思い切って、ああいう策をとりましたよ。まだ子供っぽさもありますし、最後の伸びなんかも、本来の形ならもっと変わってくるはずです。
-:そして、大井ではワンミリオンス(牝4、栗東・小崎厩舎)でTCK女王盃を制されましたね!中央・地方通じて、今季重賞初制覇おめでとうございました。正直、条件がどうかな?という思いもあったのですが、凌ぎきりましたね。
圭太:ありがとうございます。僕も正直、距離はどうかと思いましたし、軽い馬場向きなんじゃないかと思ったのですが、競馬センスはすごくある馬。リズムを崩さないよう運んで、最後は馬の力で凌いでくれました。今後も楽しみですね。
-:僕も距離、パサパサのダートが気になったものですが、今後に期待が膨らむ一戦でしたね。そして、今年最初の東京開催。改めて意気込みも聞かせていただけますでしょうか。
圭太:中山で結果を残せなかったことは悔しく思いますし、ここから気分を一新して、臨みたいですね。
-:僕としては、周囲で言われるほど不調とも感じていませんし、2着の多さをみても、ちょっと結果が変わっていれば、印象も相当に違うはず。ご本人としては、目先の結果に気にせず、マイペースに騎乗していただけることを祈ります。
圭太:そうですね。頑張ります!
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は2月3日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。