'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
ヤングマンパワーと3戦無敗のタッグ復活!お手馬揃いの東京第2幕は巻き返しなるか?
2017/2/3(金)
毎週のごとく「不調」と記してしまいがちだが……(苦笑)戸崎騎手のここまでの成績を振り返ると、13度の2着と惜敗が多かったのも事実。それが少しでも勝ち星に替わっていれば、不振などささやかれていないだろう。筆者が見る限り、東京開幕週も騎乗馬の力量にふさわしい競馬をアシスト出来ていた印象。今週のラインナップは騎乗経験のある馬も多く、いつでも結果が伴ってきて不思議ではないはずだ。中でも東京新聞杯(G3)は3戦3勝の好相性ヤングマンパワーと再タッグ。巻き返しの一週間となることを期待したい。
ヤングマンパワーなどお手馬ズラリの一週間
-:今週は月曜日がJRA賞表彰式、火曜日が佐々木竹見カップジョッキーズグランプリと大忙しの一週間かと思います。体調は大丈夫ですか?
圭太:ハイ、問題ありません。忙しいように思われますが、結果が残ってこそこういう場に呼んでいただけることなのでね。改めて幸せに感じましたよ。また、来年もあの場に立ちたいですね。
-:レースについては、先週は東京の開幕週で根岸ステークス(G3)はベストウォーリア(牡7、栗東・石坂厩舎)とのコンビ。惜しくも勝利こそなりませんでしたが、これで4戦連続2着。7歳という年齢を考えても素晴らしいですし、フェブラリーS以来のJRAの舞台でも問題なかったですね。
圭太:そうですね。少し間隔こそ開いていましたが、仕上がりも良かったですし、本当に衰えも感じません。あとは勝てていないことは心残りですが、フェブラリーSもベストを尽くしたいです。
▲JRA賞授賞式で最多勝&MJV獲得を表彰された
▲ベストウォーリアとは16度ものコンビを組んでいる
-:JRA移籍イヤーから乗ってきている馬ですし、こういう馬で勝てたら、またドラマチックかなと思います。さて、週末の話題を伺うと、今週は乗ったことのある馬ばかりですね!スペースの都合もあるので、話題にする馬は抜粋する形になりますが、東京新聞杯(G3)はヤングマンパワー(牡5、美浦・手塚厩舎)と挑まれます。
圭太:見ての通りかもしれませんが、とにかく乗りやすい馬でレースはしやすいですね。前走は右回りや長距離輸送の影響もあったのかな。見直したいですね。
-:改めて2走前を振り返ると、マイルCSでも好走したイスラボニータや今回、手合わせする相手たちも封じているわけですからね。
圭太:そうです。速い時計にも対応していますし、多頭数でも、少頭数でもやれているので、特に注文がないタイプ。前にも言ったように首をもう少し上手く使って走れるようになればいいのかもしれませんが、それもこの馬の資質でしょうからね。あとは欲を言えばパワーアップしてきてほしいですね。
▲1日、坂路で追い切られたヤングマンパワー
-:富士S同様、マイネルアウラートが逃げて、番手という形になるのか。展開も向きそうですね。続いて、日曜の早春ステークスはラヴィエベール(牡4、美浦・藤沢和厩舎)との初コンビ。これは楽しみです。3R(3歳未勝利)のブリスアンドラック(牝3、美浦・国枝厩舎)は新馬戦前に追い切りにも乗られ、実戦でも2着でしたね。
圭太:ラヴィエベールはいい馬ですよね~。ブリスアンドラックはレース前もいい評価をさせていただいたと思いますが、やはり能力の高さは実戦でも感じました。東京に替わるのも良さそうですよね。
-:少し気になったのが、前走は内枠からのスタート。テンに置かれてしまったのは砂を被って嫌がったからでしょうか?
圭太:いや、そこは課題かもしれませんね。単に行き脚がつかなかったです。そういう点もひと叩きで上がってきそうですし、長い直線になればね。
-:ペースもけっこう遅かったですからね。土曜のレースでは、初音ステークスのワンブレスアウェイ(牝4、美浦・古賀慎厩舎)は騎乗し続けてきて、結果を残してきた馬ですね。
圭太:ええ。前走の勝ちっぷりなら、上にいってもと期待していました。
-:もともと千四を使っていたほどで、それが前走は千八の5F通過64秒台のドスローにも対応出来るようになったことは、かなり折り合い面も進歩したのかと感じました。
圭太:精神的にも落ち着きが出てきましたし、集中力も出てきましたね。これは楽しみですよ。
▲ワンブレスアウェイは6戦連続で戸崎騎手が騎乗 姉2頭は重賞ウィナーだ
-:姉たちは重賞ウィナーですし、今年は飛躍の年となりそうですね。箱根特別のコルコバード(牝4、美浦・木村厩舎)は2走前が豪快な勝ちっぷりでした。乗られていないレースですが、それを思えば前走は少し意外な結果でした。
圭太:いい勝ち方でしたよね。突き詰めていくと、当時は馬場が悪かったので、道悪のほうが走りやすいのかもしれません。でも、前走も負けたとはいえ、長距離輸送もありましたし、最後は差してきていますからね。
-:前走は本当に先行馬ばかりが残っていましたよね。最終レース(4歳上1000万下)のサクラルコール(牡6、美浦・田島俊厩舎)は1000万下で案外な結果が続いてしまっています。以前は3着もあったのですが。
圭太:いい馬ですよ。中間は追い切りにも乗せてもらって、状態の良さは確認出来ています。ここ2戦が振るいませんが、巻き返してほしいですね。
-:昨夏はローカルとはいえ、一年のブランクがありながら勝ったあたり、能力もありそうですよね。新馬のモクレレ(牡3、美浦・国枝厩舎)については、先週伺いましたので、割愛いたしますが、期待の大きな血統馬ですね。
「いい時に乗せてもらえた」スズカデヴィアス
-:その他のレース回顧もお願いいたします。スズカデヴィアス(牡6、栗東・橋田厩舎)は久しぶりの勝ち星となりましたね。
圭太:乗りやすい馬でしたし、タイミングのいい時に乗せていただいたことに尽きます。力がある馬とは思っていましたが、ここ最近は最後まで頑張れなくなっていたようですからね。それがここ2戦から差す形に転じて、競馬も覚えてきた段階ですからね。
-:それは謙遜ということでしょうか……。
圭太:いやいや、もし、ここ2戦で差していなかったら、僕もそういう競馬を試していなかったと思いますからね。昔は僕がラブリーデイに乗せてもらった時にも好走していましたし、噛み合ったタイミングだっただけですよ。
-:わかりました(笑)。しかし、クロッカスSのタイムトリップ(牡3、美浦・菊川厩舎)はビックリしました。
圭太:変わり身をみせてくれましたね。戦前も「競馬を覚えさせたい」とは言ったと思いますが、じっくり運んでいこうと思っていたとおりの競馬が出来ました。それにしても、いい切れ味でしたね。
-:あんなに瞬発力があるとは。一旦は前が壁になっていながら、いい末脚をみせてくれましたよね。コロナシオン(牝3、栗東・池添学厩舎)はどうでしたか?
圭太:う~ん、身体も気性もまだまだ若さが残りますよね。ただ、新馬の勝ち方はすさまじかったですからね。心身が噛み合ってくれば……。
-:どうしても血統が血統だけに、期待が大きくなってしまう馬ですが……。モンドアルジェンテ(牡5、美浦・萩原厩舎)は先行馬には難しいレースだったと思いますが、昇級でもやれることを証明しましたよね。
圭太:一旦は先に出ながら負けたので、恥ずかしいレースではあるのですが……。しかし、ゲートも二の脚も本当に安定してきましたよね。順番は回ってくるはずです。
-:そして、次週はクイーンC(G3)でフローレスマジック(牝3、美浦・木村厩舎)、共同通信杯(G3)でムーヴザワールド(牡3、栗東・石坂厩舎)とのコンビ。土日メインジャックがありそうですね。
圭太:そうなればいいですね。
-:また、来週もよろしくお願いします!
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は2月10日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。