'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月23日時点1569勝
目標の年間100勝達成!秋華賞はプレサージュリフトに騎乗
2022/10/14(金)
東京開幕週であり3日間開催だった前節は月曜の3連勝を含む8勝をマーク。かねてから目標に掲げていた年間100勝の大台も3年ぶりに到達した。今週は土曜が東京、日曜が阪神での騎乗になるが、プレサージュリフトとは4戦連続でコンビを組むことになる。ジョッキーとしては連覇の懸かる一戦を中心に展望&回顧をたっぷりと語ってもらった。
世代上位の能力を発揮したいプレサージュリフト
——今週は秋華賞(G1)ということで、戸崎騎手としては昨年に続く勝利が期待されるところ。今年はプレサージュリフトで挑まれますね。
中間は乗っていないので変化はわかりませんが、オークス以来ということで、成長をしてくれていることを期待したいですね。オークスは距離の不安がある中での走りでしたが、その中でも5着と対応してくれましたし、2000mになるのもいいんじゃないかと思います。ただ、スタートの遅さはネックなので気を付けたいですね。
——変化は図りかねるところでも、ゲートに関しての進歩は期待し辛そうですか。
普通なら段々と慣れてくるものですが、いつも遅いですからね。オークスに関しては二の脚がついたのでリカバリーできましたけど、今度はコースが替わるので流れも異なるでしょうから。なるべくビハインドを背負わないよう気を付けたいです。
——となると、枠順的には……。
内目かな。ただ、内で遅すぎて前に入られてしまっても苦しいですから内過ぎず、外過ぎずといったところであればいいですね。
——オークスの際は返し馬で工夫されたということですが、レースへ向かうにあたり、気を付けるポイントはありますか。
いや、特にそういったところはありません。それよりも当時はフットワークの硬さに不安があって、それもあって余計に距離も厳しいのでは、と感じていましたし、そこをほぐせるよう返し馬で意識しました。今回は間隔が空いている分、違ったコンディションじゃないかと思いますが、基本的に精神面などでは懸念するところはなさそうですし、基本的には乗りやすいタイプですからね。
——上半期とはそこまでメンバー的な変化もないように感じます。
そうですね。それだけにもちろん課題は色々とつきまといますが、いい勝負もできる中の一頭だと思うので、ベストを尽くしたいです!
——現時点(木曜)では雨予報です。
多少ならこなせていいんじゃないでしょうか。そんな感覚はありますよ。
——土曜東京ではウィルソンテソーロはどうでしょうか。
前走が強い内容でした。距離も問題ないと思いますし、昇級でもいい勝負をしてほしいです。ただ、福島の時に感じたようにテンションが高くなりやすいタイプ。そこは気を付けたいです。
——コスモノアゼットは傍から見ていると、なかなか難しい馬という印象があります。
難しいですね~。その時になってみないと気分がわからないという感じで。ちゃんと走ることができれば通用していいのでしょうが。
3日間で8勝と年間100勝を達成!
——先週は年間100勝という節目にも到達。乗り鞍も多かった分、お話いただくボリュームも多いのですが、よろしくお願いいたします。まずセッカチケーンはどうだったでしょうか。
馬の雰囲気自体は良くて、返し馬では芝からダートに戻ったのも頷けるものでした。ゲートも出てリズム良く行ってくれたのですが、勝負所で真っすぐに走れずに内の方に刺さって行くような走り。上手に走れていなかったですね。右回りの方がいいのかもしれません。
——デシエルトは馬場が速かったり、斤量もあったとはいえ、レコード勝ちでした。
元気のいい馬でしたね。思っていたよりもハミの感覚は良かったです。もっとハミに乗っかかって走ってくる馬だと思っていましたし、上手に走れていましたよ。走りにはバネもパワーもありましたし、1800mでも走れるタイプだとは思います。ただ、トビが大きいので、乗り方次第とはなりますね。
——残念ながら故障ということで、今後の復帰に期待ですね。ブレークアップは接戦を制しました。
今まで乗せてきてもらった中で、一番成長を感じました。競馬振りも今までと違ったのも成長があったからこそ、だと思います。今後に向けて幅が広がる一戦だったのではと思います。
——セブンデイズは中山でこそ伸びを欠きましたが、東京になって変わり身がありましたね。
まさにこの馬に走りという内容でしたね。ベスト条件で巻き返してくれました。
——ヴェールアンレーヴは休み明けとはいえ、大幅なプラス体重。混戦メンバーの中で2着でした。
プラス体重は成長分もあると思います。体もしっかりしてきて、パンとしてきましたね。馬は良くなっていましたが、あとは休み明けの分もあったと思うので、使った効果に期待ですね。
——新馬なので伺いますが、キングダラスやアマレロフレイバーはどうだったでしょうか。
キングダラスは一度使って上向いてきそうな雰囲気がありましたね。アマレロフレイバーは追い切りの感触でいえば、どうかと思っていましたが、印象よりも走ってくれましたし、まだまだ良くなりそうです。ただし、一度使ったことで気持ちが悪い方に向かないといいのですが。
——シーズンリッチは少頭数ながら強い相手もいたはずですが、勝ち切りましたね。
気持ちは随分入ってきていましたね。やりたいレースはできましたし、リズム良くいけました。最後は詰め寄られている辺り、もっとしっかりしてきて欲しいところではありますが、そこは成長に期待ですね。ただ、気持ちは入り過ぎていて、今後の課題になりそうです。
——ジョンソンテソーロはかなりペースが速かっただけにぶち抜いて良さそうに思いましたが……。
表現が難しいのですが、クビから前の方に力みが強くて体全体を上手く使えていない走り。持っている能力を推進力に換えられていませんでした。前回の勝ちっぷりであれば展開は向きますし、通用はしていいものですからね。やっぱりダートでああいう爆発力のある勝ち方をするタイプはどこかムラっ気があるものだとも改めて感じました。オープン馬のニュートンテソーロなどにも似た雰囲気がありますね。
——毎日王冠(G2)のダノンザキッドはどうだったでしょうか。
ゲートのアクシデントで周りにも迷惑をかけてしまったことは申し訳ない結果でしたね。この馬自身は落ち着いていたのですが、周りの馬が暴れたところにつられてしまったもので、状態がいい分、気持ちが入ってしまったのかなと思います。レース自体は返し馬の感触では長く脚を使えるような競馬ができればと思っていて、イメージ通りではありました。競馬が上手な馬ではありますね。
——ロンコーネは前走が連戦の疲れもあったようですが、今回はどうだったでしょうか。
しっかり乗り込んでいましたし、この馬なりに頑張ってくれました。一度、試すなら2100mでも良さそうですね。
——ファロロジーは追い込めていいペースでしたが、らしさがなかったですね。
いつものような進みがなかったですね。一度叩いたことで次は変わってきてくれるんじゃないかと思います。
——ビジュノワールは追い切りの動きが良かったようで期待していたのですが、外枠ということで嫌な予感がしました。
返し馬では馬が良くなっていると感じましたし、おさまりが付くと思って、挑戦していこうと思いましたが、競馬では御し切れなかったですね。ただ、これが内枠だったからどうかと言うと、そんなタイプではないと思いますし、一度、距離を縮めて良さそうですね。
——ミッキーカプチーノは追い切りで動いていたようで期待はあったものの、メンバーが揃っているんじゃないかな、と感じました。
こちらも元気があってもの見をしていたり、まだ遊びながら走っていたほど。それでもレース自体は上手でしたし、手応え十分でいいフットワークでした。楽しみです。
——今年はエピファネイア産駒に騎乗しての勝利も目立ちますが、ダート寄りの血統なのかなと感じました。
その影響かパワーもありますね。成長していって、どちらが強く出るか、ではないでしょうか。ただ、いい上がりで勝ってくれましたからね。
——メタルスピードは前走が物足りなく感じましたが、どうでしょうか。
ようやく芯が入ってきたように感じます。あとは精神面が落ち着いてくれるといいですね。
——マイショウチャンはスペースがなかったですね。
もったいない競馬で失敗でした。ただ、条件的には今回の方が合いますね。
——マイネルシトラスは懸念していた疲れでしょうか。
やっぱり連戦の疲労だと思います。
——サウジアラビアRC(G3)のシルバーデュークは近い位置にいた勝ち馬に差をつけられてしまいましたが、いかがでしょうか。
レースは乗り易い馬でしたね。この条件は合っていると思いますし、あとは力をつけていってほしいです。
——バトルクライはなかなかいい内容だったのではないでしょうか。
楽しみな勝ち方でしたね。追ってから体が浮ついてしまうようなところがありましたが、そこが解消されていい形でした。
——ユニコーンSなども前が狭くなっているように見えて、開いていても伸び切れていないのではないか、とおっしゃっていましたね。
そこが良くなっていたと思います。まだ休み明けですし、上積みがあると思いますし、これくらいの条件で頑張ってほしいです。
——サウンドウォリアーは展開が向いたものの、惜しい結果でした。
緩さのある馬でしたが、いいリズムでしぶとく走ってくれましたね。
——ホウオウバリスタは初ブリンカーということでしたが、どうだったでしょうか。
返し馬では効果があるのかな?と感じましたが、甘かったですね(笑)。それでも東京なので何とか届いてくれました。
——ハレアカラフラとショウミーザマネー、グッジョブと先週土曜は新馬戦が3鞍ありました。
ハレアカラフラはまだ緩さがあってゆったりとした走り。気持ちはあるので使いつつ良くなってほしいです。ショウミ―ザマネーは追い切りと違って進まなさ過ぎたのが意外でした。グッジョブはセンスのいい走りで、今回は勉強になったのかなと思います。
——グッジョブはお父さんと違って馬格は小さく、レースぶりの良さは似ているといったところですか。
お父さんはなんでしたっけ?ベストウォーリアか(笑)。そうですね!センスのいいところはベストウォーリア譲りだけど、馬体は全く違いますね。
——スペンサーバローズはダートに替わっていい走りでした。
内容も良かったと思いますし、東京じゃなくても対応できるんじゃないでしょうか。
——文字にするとあっという間かもしれませんが、今回は普段以上に話題が多くて長くなりました。これで週末の騎乗数が多かったら、もっと収拾がつかなかったと思いますが、今回もありがとうございました!
ありがとうございました。
※次回は10月21日(金)に更新予定です!当コーナーは電話で取材を行っております。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。