'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
ジャパンCはドウデュースに継続騎乗!
2023/11/24(金)
東京開催も年内最後の週末。最後を締めくくるジャパンCではドウデュースに再び騎乗することになった。天皇賞では急遽の乗り替わりという形でのコンビ。継続騎乗で変化はあるだろうか。他にも、特に日曜は外国人騎手が多数いる中で、2場開催ながら9鞍の騎乗。一矢報いる結果を期待したい。
距離延長のドウデュースのテーマとは
——最終週は連日、東京での騎乗となりますが、まずは土曜のエリカカリーナから伺いたいと思います。
前走からひと息入って、帰ってきてからは良くなっていますね。2週連続で追い切りに乗せていただきましたが、状態も良いと思います。
——オメガインペリアルは関西馬ながら追い切りに乗られた馬ですね。
厩舎のスタイル的に金曜日に追うということで行ってきました。金曜と言う点は自分も新鮮に感じました。まだ線の細さはあるものの、バランスはいい馬ですね。トビが大きくて不器用な面はあるかもしれません。活躍馬の仔なのでいい成長を遂げてくれればと思います。
ジャスリーは以前から距離が短くなってもいいと思っていましたからね。条件替わりは良さそうです。マルディランダは2走前の敗因が自分としてはわからなかったのですが、いい意味でガラッと変わってくれました。あれなら昇級でも楽しみです。
——日曜のグローリーアテインはいかがだったでしょうか。
パワーがあって長く脚を使えるようなタイプですね。
——アスコルティアーモの前走は初物尽くし。そこから東京に戻りますね。
前走は条件が変わっても勝ち切ってくれたようによく勝ってくれましたね。東京は良さそうですし、今後、良くなりそうな馬。53キロの斤量もいいですね。
——ジャパンC(G1)はドウデュースに騎乗されます。
自分の印象としては前走を一度使ったことで良くなるような感触はありました。距離は長くなるので、如何にリラックスして走れるかがポイントかなと思います。
——前走は道中で力んだことが敗因とされていました。その兆候はレース前からあったのでしょうか。
いや、パドックや返し馬ではそんなことはありませんでした。ただ、ゲートは「遅れる」とは聞いていながら、あの出て行き方でした。経験上からもゆったり走る馬の出方ではなかったですね。それも休み明けの分もあったのかと思いますし、ガス抜きができていればいいですね。
——では、天皇賞はイクイノックスも先行していましたが、マークすることを意識した位置取りよりも想定より出たということだったんですね。
そうですね。あくまで相手云々よりも馬のリズムを大事にできればと考えていました。
——戦前は武豊騎手にも馬の特徴は伺ったそうですね。どんな話があったのですか。
基本は乗りやすいと言っていましたし、反応も速いとはおっしゃっていました。位置取りよりはリラックスさせることとリズム重視がいいんじゃないか、とは教えていただきましたね。
——その上で枠順も決まりました。このコースでは内目の枠がいいことは一般的ですが、ジャパンCの際は1コーナーの入りもゴチャつく印象が個人的には感じます。
どこの枠でもリラックスさせられたらと考えていました。それを思えば、不利は不利でも外枠でもいいのかなと思っていたくらいです。出た枠でやるべきことに徹したいですね。あとはなるべくペースが流れてくれた方が良いのかと思います。
長期休養明けがラストの差になったデシエルト
——先週の騎乗ではデシエルトは4着でした。
とにかく元気のある馬。久々なので精神面が気になっていましたが、その点は以前と変わりなかったです。体の面もいい意味で大きく変わっていませんでしたが、やはり長い休養の分が最後はたたったのかと思います。レースはイメージ通りに運べました。
——オメガウインクは3着でした。
どんな形にも対応してくれると改めて感じました。今後も順調に力を付けていって欲しいです。
——コルサファターレはどうだったでしょうか。
正直、状態は良くないのかなと感じましたね。ただ、順調であれば走れる能力は秘めていそうです。
——オタルグリーンは惜しい2着でした。
上手な走りをしてくれました。あともう少しというところでしたが、欲を言えばもっと体が使えるようになれば、パフォーマンスを上げられそうです。
——アサクサヴィーナスのレースは好メンバーでしたね。
上手に走ってくれました。相手は手強かったですが、その中でもいい走りをしてくれています。
——東京スポーツ杯2歳Sのシャンパンマークはどうだったでしょうか。
道中の感じはある程度、想定した通りにいけました。ただ、新馬の反応や伸びはなかったですね。あの走りができれば、というはずでしたが…。プラス8キロの分はあるかもしれません。
——オーサムリザルトは3歳牝馬ながらこの条件で勝ち切りました。
返し馬ではいいバネを感じました。イレ込むというワケではなかったのですが、興奮気味で前向きなところがあって、レースでの折り合いがどうかと思いました。それでもレースではリラックスして走ってくれましたね。最後は抜け出してからも遊んでいるくらいで、まだ先がありそうです。どんなコースでも対応してくれそうな雰囲気もありますね。
——エピックジョイはどうでしたか。
これは進路が無く、スムーズに運べずもったいない競馬になってしまいました。
——ジュレブランシュはどうだったでしょうか。
この馬はダートなのでしょうね。追い切りでは坂路だけで感じ取れなかった分は申し訳ないですが、いい感触だった割に走り切れなかったのは適性面だと思います。
——今週はソングラインの引退というニュースもありましたね。
帰国後の動向はわからない面もありますが、引退は耳にしていました。全てがいい経験でしかないですが、一番はアメリカに連れて行ってくれたことには本当に感謝ですね。
——あまりアメリカの話題も詳しく伺っていないのでどこかのタイミングで伺えればと思いますが、最終週をいい形で締めくくってください。
ありがとうございます。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。