'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
NHKマイルCはロジリオンと一発を狙う!
2024/5/3(金)
期待をもって臨んだ先週の京都では残念ながら重賞勝利はならず。心機一転、臨んでほしい今週からは5週連続で東京でのG1が始まる。ジョッキーとしては上位人気が予想される日本ダービーも控えていることはご存じの通り。上半期の中でも注目度が高まるシーズン、活躍を期待したい。
あとは相手関係だけ!?成長感じるロジリオン
——今週はNHKマイルC(G1)ということで、ロジリオンとの再コンビで臨まれますね。未勝利戦を語れて以来の騎乗です。今回は最終追い切りに騎乗されました。
久しぶりに乗せていただいたのですが、いい成長を遂げていると感じました。追い切りは1週前にしっかりやっているのであくまで調整程度という意図でやりたい、という話でした。気持ちよく走らせることを主眼に置きましたが、いい動きでしたよ。もともとフットワーク自体はいいイメージがあったところにパワーがついたように感じます。
——条件が変わるかと思います。経験の浅い距離や好天での高速決着といった面はどうでしょうか。
距離は問題ないのではと思います。自分が勝たせてもらった時は雨馬場でしたが、そのあたりも対応の幅が広いのかもしれませんね。
——気性的な面やスタートなど、課題はどうでしょうか?
気性はあまり懸念するレベルではないかと思います。スタートはどちらかと言えば遅いかと思いますが、乗りやすいイメージはありますよ。あとはメンバーがかなり集まったので、そこにどう対応できるか、ですね。おそらく伏兵の立場でしょうが、成長した姿をみせつけられたらと感じています。
——土曜はダノンゴーイチが久々のレースですね。
もともと能力を感じていましたが、久しぶりになるのでどんな走りをしてくれるか、休み明けが焦点になるかと思います。ただ、ダートに関してはどうかなと思いますね。
——レッドラディエンスは前回がスローながら逃げ切りでした。
前走はハナに行きましたが、どこからでも対応できると思います。距離が延びてもこなせるイメージはありますよ。前回もハナに行きたくていったわけではありませんが、少頭数ならばまた先行することになるのかもしれないですね、
——オーネットレオは中山からコースが替わります。
このコース替わりは楽しみです。もともと乗り味の良かった馬だけにいい方に出てほしいです。
——タイセイミッションは以前からダート適性を指摘されていましたね。
前走は勝ち上がったようにダート適性をみせてくれました。距離も合いそうですね。あとはこのクラスにメドを立てて欲しいです。
——マイショウチャンはどうでしょうか。
堅実ですが、勝ち味に遅いですからね。上手く導けるといいですが……。
——アヴニールドブリエはどうでしょうか。
乗り味はいいものがあるのですが、緩さを感じました。東京でも安定していますし、前走のように走れていいんじゃないでしょうか。
——ジョディーズマロンは2走前にも乗られています。
当時は仕上がり途上だったようですが、この条件は合っている印象があります。巻き返していい存在ですね。
ドゥレッツァ、ミッキーファイト、重賞勝ちならず
——先週の天皇賞・春(G1)はドゥレッツァの騎乗。折り合い面などの不安材料があったにせよ、まさかの大敗でした。
レース自体は思っていたよりスタートを出てくれました。手強いと思っていた勝ち馬と並ぶような形になりながら、向こうが引いてくれたので無理をせずにあの位置に収まりました。道中、力むようなところがあることは頭にありましたし、その中でも我慢が利けば、という思い。しかし、3コーナーあたりから手応えも怪しく内に刺さるような面もありましたね。
——レース後には軽度の熱中症という発表もありました。
返し馬では以前と特に変わりはなかったです。しかも、調子が悪い馬であればスタートから出ていかないことは多々ありますからね。ハッキリとした敗因は自分では感じられませんでした。
強いて言えば、急に気温が上がったことでしょうか。昨年の東京でもずっと暑いわけではなくて、急に気温が上がったことで暑さがこたえたような話は多数耳にしました。人間も急な気温の上下は体調に影響するとは聞きますからね。
——折り合い面は問題ないように見えたのですが、そちらはどうでしたか。
許容範囲内だったと思います。ただ、これだけ負けてしまうとはさすがに想像できなかったですね……。
——ユニコーンS(G3)のミッキーファイトの方はどうだったでしょうか。
避けたいレース展開になりましたね。当初から早めに外へ出したいと考えていたのですが、スタートから被される展開。嫌な形になりました。勝負処もスペースがなく内に押し込まれるような厳しい競馬でした。京都までの輸送もクリアしてくれていましたよ。久々の分、道中のハミ取りは強かったところはもう少し軽くなると良かったですが、枠が外ならと悔やまれます。
——ステラフィオーレは初騎乗でした。先行して押し切りましたね。
もう少し走りのバランスが良くなれば理想的ですが、良いスピードがありますね。スタートの速さも持ち味なのかと思いますが、ハナには拘らずに運びました。馬を気にして外に張り気味だったものの、いい内容だったと思います。
——グランテストも初コンビでの勝利でした。
気のいい馬のようで折り合い面には気を付けましたが、大丈夫でしたね。こちらも内の馬を気にしていたところはありましたが、我慢が利きました。強い内容でしたよ。
——ラレーヌデリスは3着でしたね。
フットワークは柔らかみがあり、バネもある印象でした。スタートが遅く後ろからになったのと終いがいいイメージだったのでリズム重視でいきました。噛み合えば走れる馬だと思います。
——レッドアヴァンティはどうだったでしょうか。
前走がハナに行っていましたが、どこからでも対応できそうですね。ただ、距離が延びても対応できそうに感じましたが、1200mを使った分、この距離に対応できなかったように思います。上手く切り替えができればこなせるのではないでしょうか。
——朝イチのレースをグーヴェルナイユで勝たれていましたね。
近走は距離が長かったのでしょうね。1800mは合っていたと思います。速い流れをよく凌いでくれました。
——月もかわり、ダービーまでも3週間ほどですね。心境の変化はありますか?
自分自身は特に変わりはないです。ただ、取材が増えたり、ダービーのことで声を掛けられることも多いんです。そういう経験はなかなか味わえないだろうなと思っています。
——JRAに来て10年以上でも、移籍の際などは注目度も相当あったと思いますし、過去の経験以上ですか。
そうですね。それだけダービーというレースは注目度が高いのだと思います。記事を見る限り、馬はダメージもなくこられているそうですからね。楽しみです。
——今週も騎乗されていましたが、昨年ドウデュースに騎乗してからというもの、ジャスティンミラノに限らず、友道厩舎とのコンビも増えましたね。
ドウデュースで結果を出せなかったですが、本当にその通りですね。全体的にゆったりと走る馬も多い印象で、厩舎の方々のレベルの高さはこれだけ実績を残されていることが証明していますよね。
——次週もよろしくお願いします。
よろしくお願いします!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。