'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
東京開幕週は21鞍!毎日王冠はローシャムパークとのコンビ
2024/10/4(金)
中山最終週は勝ち星を挙げられず、今年3度目の未勝利となってしまった。心機一転を期したい東京開幕週は大挙騎乗。手綱をとったことのある存在も多く、巻き返しが待たれる。水曜に行われた3歳ダート3冠最終戦の回顧を含め、語っていただいた。
近走よりも良化したミッキーファイトは2着
——昨日のジャパンダートクラシック(Jpn1)はミッキーファイトに騎乗されて、2着でした。結果的に調整過程の違いなどもあるでしょうが、現状でも勝ち馬に迫っただけにいい内容と感じました。
展開的に凄くいいところでレースを進められましたね。4コーナーで並び掛けていこうとした際も手応え、勢いも良く、コレならと思うところもありました。ただ、最後は相手の底力を感じる結果でもありました。
——先週の時点では、現段階での他馬との成長度合いを気にされていたように感じます。
ここ最近の走りでも緩さを感じることがあったんです。それが今回は良くなってきていましたね。
——スタンド前では少し頭を上げるようなところもありました。以前、ハミ取りが強かったとも仰っていたことを思い出しました。
少し強めではありますが、許容範囲内だったと思います。それもメンコが効いているのだと思います。ユニコーンの後に陣営にも進言させてもらって、ここ2戦は効果が出ているように感じます。
——結果、馬群に囲まれるほどではありませんが、控える形。これまでスタートは決して速くない中で先行していて、今回は脚を溜められました。展開的には意図されていましたか。
これまでは奇跡的に先行できていた面もあって、決してスタートは速くないんです。モマれること自体は苦にしない馬なので、あそこで追走できたのは良かったですね。
——コーナーを回って、直線を向いてからのリアクションが少し鈍く見えるあたりはいつも気になります。
そこはやっぱり体の緩さでしょうね。しっかりしてくれば、また変わってくると思っています!
——今回は期待を上回る走りだったと思います。戦前は慎重なコメントだったのも、高いレベルで見なくてはいけないから、ということもありますか。
そうです。素質は感じていましたし、ポテンシャルもありますが、改善できる面もありますし、改善して欲しいですね。もっと良くなる余地はあると思います。もちろん馬なので、思い通りに成長できるかどうかはその馬の特性でもありますが。
東京開幕週は21鞍に騎乗!
——また、力をつけて頑張って今回の相手たちと再戦する日が楽しみですね。今週末は頭数も多いですが、土日いずれも東京ですね。ジェントルショットの新馬戦は前半が忙しく感じるレースぶりでした。
少し忙しさがありましたので、条件が替わるのは良いと思います。
——スカイタワーの新馬は勝利に近づきながらも相手が悪かったですね。
新馬の追い切りの段階から能力を感じていました。レースでも凄く乗りやすかったですね。あとは馬の成長があれば、勝ち切っていいと思います。キャリア2戦目は、新馬でマジメに走れている馬の方こそ盛り上がってしまうこともあるので、今回も新馬と同じ精神面で臨めるかはカギになりそうですね。
——グレーターバーチュは1週前追い切りに乗られたようですね。
ハミ受けがもう少し良くなって欲しいですし、走りにもまとまりが足りないように感じましたね。追い切りの感触で言うなら良化の余地はありそうです。
——ダノンマカルーは去勢明けのようですが、3走ぶりの騎乗です。
以前は精神的な若さがある印象でした。今回も気を付けつつ組み立てたいですね。
——ジョージテソーロは昇級初戦となります。
前回は着差の通り強い内容でした。距離を延ばしても良さそうですが、今回は昇級戦でコース替わりの分がどう出るか、ですね。
——サウジアラビアRC(G3)のマイネルチケットはどうでしょうか。
前走は返し馬の段階から乗り味の良さを感じましたし、走りも良かったです。気性的に危ういところはあるようですが、気を付けつつ乗れましたね。今回もそこからの上積みがあれば理想ですね。
——フライヤートゥルーは続けて騎乗されます。
競馬は上手な反面、勝ち味に遅い面もあるタイプかなと現時点では感じています。上手くカバーできるように乗りたいです。
——日曜のドゥカートは新馬以来の騎乗ですね。
追い切りに乗せて頂いたところ新馬当時より動けるようになっていました。スピード負けしていた面もあったので、ダートがいい方向に向いて欲しいです。
——アドマイヤデイトナ、キロノヴァと追い切りに乗られました。
アドマイヤデイトナは背中の良さは感じましたが、下(コース)で追い切ったところ、チップが重い週で手応えは今一つでした。そこから今週は馬場状態も変わったところ、良くなっているようなので実戦で楽しみです。キロノヴァも非力な面はありましたが、軽い走りをするので、コチラは芝に行って良さそうです。
——アルーリングタイムは新馬以来ですね。
当時からダートが合いそうだなと思っていたんです。実際、ダートで走っているので楽しみです。
——サトノアインスは前走で3着でした。
競馬は上手なのですが、この馬も詰めは甘そうですね。組み立てやすいところを上手く活かしたいです。
——上半期にも騎乗されたサトノクロークはどうでしょうか。
周りに馬がいた方がいいタイプなようですからね。少頭数ですが、そこを意識して乗りたいです。
——サトノルフィアンは連勝しています。
前回、乗せてもらった時に勝たせてもらいましたが、成長を感じました。その後に連勝したのも頷ける走りでしたね。今回は当時よりも相手関係は上がってきているので頑張ってほしいですね。
——毎日王冠(G2)にはローシャムパークで挑まれます。
もうG1で好走しているように力は証明していますからね。あとは上手くアプローチできるか、といったところに尽きます。
——今回は京都の外回りコースからコーナーは3つの1800m戦と舞台が替わります。
ゲートも上手ではありませんし、テンから位置をとれるタイプじゃないので、どちらにしても後方からになると思います。このコースの方が良いと思いますよ。
——大阪杯のように意を決した乗り方にはならないですよね。
あれはもう阪神コースでどうにかするなら、考えたあれしかなかったですからね。今回はコーナーの数も減りますし、東京で道中にマクっていくような展開は殆どありませんからね。よほどの前有利じゃなければ、コース替わりでカバーできそうです。
——アピーリングルックは上半期以来のレースです。
追い切りに乗せていただいたところ、幾らか反攻する面がありました。レースでは気持ちよく走れるといいですが……。
最終週は残念ながら未勝利
——先週は未勝利に終わってしまいましたが、スプリンターズS(G1)のダノンスコーピオンはどうでしたか。
う~ん……1200mは合うと思いましたが……結果、忙しさを感じました。やはり馬自体は一度使ったことで良くなっていましたけどね。今は1400mがベストかもしれません。馬は一度短い距離を使うことが刺激になって、その後の走りっぷりが変わることもありますが、この馬に関してはあまり効果もなかったのかもしれません。
——セナマリンは2番人気でしたが、4着と人気を下回る結果でした。
期待はしていました。しかし、以前より気持ちが少し入っていましたね。感度のいいタイプで、それが影響してしまったようです。まだ緩さもありますし、1400m辺りが良いのか、ダートが良いのか……といったところです。
——パレスドフィーヌは調教も変えたようですね。効果はどうでしたか。
その効果はあったと思います。返し馬の気配から変わっていました。追ってからもう一つ伸び切れない面が良くなればいいですね、
——アイアムユウシュンはどうでしたか。
落ち着きはありましたけどね。ここを使って良くなりそうです。
——ステイトダイアデムはアクシデントもありました。
アクシデントの影響は大きかったと思いますよ。やっぱり気持ちが切れてしまったような走りでした。
——モルティフレーバーもチャンスはある存在だと思っていましたが、不運でしたね。
マイナス馬体重の通り、精神面が煮詰まっていましたね。テンションも高く、走れる雰囲気ではなかったです。
——次週は3日間開催です。
新潟、京都、東京で乗せていただく予定です。
——東京盃の話は次回振り返っていただきます。次週もよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。