現役時代は2014年のワールドベストレースホースランキング首位を獲得するなどの活躍をみせたジャスタウェイ。今夏のセレクトセールでは早くも産駒が登場と、順調に第二の馬生に勤しんでいるようだが、競馬ラボとしては現役時代に再三再四、近況をお伝えし続けてきただけに、近況も気になるところ。久しぶりの独占取材で、種牡馬としての可能性を社台スタリオンステーションにて伺った。

第1章:2シーズンを終えて 種牡馬らしさが出てきたジャスタウェイ
第2章:早くも感じさせるその素質 ジャスタウェイ産駒の可能性を探る
第3章:2世たちが府中の舞台で躍動する日を待ちわびて

第1章

-:ジャスタウェイについて、社台スタリオンステーション事務局の三輪さんにお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。まず、はじめにどの馬にもいえることですが、いまジャスタウェイがどんな日々を送っているか、種付けシーズンと、それ以外の時期での生活サイクルから教えていただけますか?

社台スタリオンステーション・三輪圭祐氏:繁殖シーズンの最盛期は、朝5時くらいに放牧されます。種付けが8時からで、特に人気がある種牡馬だと毎日仕事があるので、8時前まで放牧されて種付けをして、再び放牧を挟みます。午後1時にも種付けをして、そこからは厩舎でノンビリしつつ、手入れをされてエサを食べて、夕方の5時に種付けをする流れですね。

今は朝6時半くらいから放牧されて、何事もなければお昼の2時頃まで放牧しています。ただ、種付けシーズンが終わった当初は体を休ませます。休養期間があるのですが、大体夏過ぎくらいから、来年に向けての体づくり、老化防止の運動をしています。馬の状態や都合に合わせて運動する感じですね。あとは通常通りといいますか、夕方の3時くらいにカイバを食べて、手入れをして、という流れです。

ジャスタウェイ

▲ジャスタウェイの近影 穏やかな表情が窺える

-:人気種牡馬だと、1日3回の種付けですか?

三:春シーズンはそうです。初年度は200(220頭)を超えましたけど、今年は151頭種付けしたので、忙しい時期の4~5月は概ね毎日3回頑張っていますね。

-:種付けの際にあったハプニングや特徴的な出来事はありましたか?

三:特にないですね。どの種牡馬もそうですけど、最初の頃は少し行為に対して不慣れなので、アタフタしたり、状況がよく分かっていない馬もいますね。人気種牡馬になると、もう慣れもあって、何もアクシデントはないですね。我々も事故が起きないように注意しているので、特に変わったことはありません。

-:日々気を付けていることとかはありますか?

三:それこそケガですよね。僕が直接世話をしている訳ではないのですが、例えば、(蹄)鉄が外れて、その釘を踏んだというだけで、何日も種付けを休む訳ですからね。人気種牡馬だったら、1日3頭種付けするのが、1週間休んだら、約20頭分も別の種牡馬にお客さんが逃げていく形になります。もちろん全てが受胎する訳じゃないですが、収入という意味でも痛手になるので、そういう小さなケガでもなくすのが一番ですね。管理するスタッフは毎日仕事を出来るような状態にするということを、一番に気を付けているのではないでしょうか。

-:牧場で過ごす際に、放牧地での変わった癖はありますか?

三:一時、去年は放牧地がキズナの隣だったのですが、お互いを意識してか2頭でよく走り回っていました。キズナに何か仕掛けるのか、キズナが仕掛けているのかは分かりませんが、ちょっと煽るようなところがあったり。でも、今は穏やかにしています。

「こちらに来た当初はまだ幼い顔をしていて、今でも目付きなどは優しい雰囲気の馬なので、かわいらしいというか。でも、種牡馬になって2年シーズンを終えると、段々“オスらしさ”も出てきて、アゴや頬が張ってきますね。風格が出てきて、カッコ良くなってきたと思いますね」

-:今の放牧地になってから、一番落ち着いていますね。

三:多分、今の場所が良いのでしょうね。隣のハービンジャーなどと相性が良いのかもしれません。もしかしたら、「お前には負けないぞ」という気持ちがキズナにはあったのかもしれません。そもそも大人しい馬ですからね。だから、海外遠征や長距離輸送をしても力が出せたのでしょう。無駄なエネルギーを使わないというか、いい意味でポワ~っとしていて、すごくかわいい馬ですよね。

-:現役時代のイメージと今はここが違う、といったところはありませんか?

三:それこそ、現地で観戦した3歳の天皇賞(秋)の時はヒョロっとして、薄手で華奢だったと記憶しています。その後、古馬になって、凱旋門賞とジャパンカップは現地で観ていたのですが、幅が出てメリハリが付いて、少しずつ逞しくなっていきました。もちろんシャープなタイプではありますが、体つきにメリハリが出てきましたね。こちらに来た当初はまだ幼い顔をしていて、今でも目付きなどは優しい雰囲気の馬なので、かわいらしいというか。でも、種牡馬になって2年シーズンを終えると、段々“オスらしさ”も出てきて、アゴや頬が張ってきますね。20歳弱くらいの青年の感じがあったのに、オジサンまではいかないですが、風格が出てきて、カッコ良くなってきたと思いますね。

-:見た目も完全に種馬の体になりましたものね。

三:お尻の張りなどがすごく(種馬の体に)なりましたね。もともと人が曳いている時もすごく素直にジッとしていたタイプでしたが、段々と立ち上がったり、主張をするような仕草も見せるようになってきました。やっぱり“オス”になるのではないですか。鳴き声も変わりましたよ。種付け前にオス馬は鳴いて登場したり、声を出すのですが、最初は頼りなさそうなかわいい声だったのが、今年のシーズンからすごく自信があるような、“オス”っていう雰囲気に変わってきましたよ。

-:声も変わるのですね。

三:変わりますね。種馬になって自信がつくのではないでのしょうか。そういうところを見ると、最初はかわいい馬だったのが“大人になったのだな”という思いもありますね……。

ジャスタウェイ独占取材(2P)
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