Part.5 矢野貴之のセールスポイントはスタートセンスと「無欲」さ?
2018/4/27(金)
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TCK新旧トップ対談もいよいよ最終章。お互いからみた騎手としてのセールスポイント、そして、2018年に懸ける思いを語ってもらった。
-:ジョッキーとしての矢野さんを評してもらえますか?
圭太:やっぱりスタートセンスがあるよね。それは地方競馬にとって、騎手にとっては武器かな。スタートは見ての通り、競馬のはじまりですからね。それで、ある程度のポジションも取れる。あとは短い鐙で格好良く乗ってくるね。
-:そういうのもあって、さっき「自分より外枠にいられると……」ということがあったわけですね。
圭太:そうそう。不思議と出ていくんだよね。やっぱり出られると、前に入られたりするし、乗りづらい印象はありましたね。
-:これも先程ですが「移籍する際に川島先生へ矢野騎手を紹介した」ということでしたが、数字だけを見ると、当時はそこまで勝っていなかったと。
圭太:そうです、そうです。
▲戸崎騎手がJRA移籍時のエピソードを語る矢野騎手
矢:それなのに声を掛けてもらったというのがすごい。あと、今はエージェントがいるんですが、その方がエージェントを頼まれても断っていたみたいなんですよ。でも、圭太さんが移籍する頃って年間300勝以上しているわけじゃないですか。年間300~400勝近くが浮くわけですよね。それを何とも思っていなかったんです(苦笑)。
今のエージェントに頼んだ時に「圭太さんがいなくなった時に、エージェントを誰かに頼んだの?」とか言われたんですよ。「全然そんなことはしていないです」と言って、「恐ろしいやつだね」と言われて。「400浮くんだよ。そこは何とも思わないの」と。結果、受けてもらったんだけど「そういう欲のない人は初めて見た」みたいな。
圭太:大半はそうやって思う人が多いんじゃない?だって、当たり前のことでしょ。
矢:その時は一切思わなかった、ハハハ(笑)。
圭太:そこで焦って、それをやったがためにダメになっちゃったパターンもあったかもしれないからね。どっちが良いか分かんないけど、そう簡単に考えている騎手というのは、そういうのはあんまりいないよね。そこは、さっきの競馬の話じゃないけど、ズルさはないんだね。
矢:そこも欲しい。
圭太:大事なところだよね。
矢:その時は勝ち鞍云々よりも、やっぱり乗りたいというのがあったんでしょうね。
-:とはいっても、乗り数で言っても、けっこうな数でしょうからね。
-:逆に矢野さんから、騎手・戸崎圭太を評してもらえますか?
矢:いや、インタビューは上手くなりましたね~。土曜日は(競馬中継を)観させてもらっているけど、なかなか面白くなったなと(笑)。
圭太:メールでもこうやって来るんですよ~(笑)。
矢:でも、去年リーディングを獲らせてもらって、ちょっと比べられるというか、そういう声も聞くんです。ただ、まだ足元にも及んでいないから、ちょっと比べないでくれとは思います。俺は圭太さんをそれくらいのジョッキーだと思っている。交流重賞でもパッと来るじゃないですか。パッと勝って、帰っていくんですよ。どれだけ格好良いんだ、コイツと思って。
-:たしかに交流重賞での活躍は目立ちますね。中央で乗ってらっしゃるところを観て、気になるところはありますか。
矢:僕はあんまり乗ったことがないので分からないですけど、地方のダートコースと中央の芝では確実に乗り方が違ってくると思うし、その中で移籍してすぐに結果を出したことがすごいですね。その対応力というか、それは僕には想像出来ないし、確かに持っていますわ。年明けの3日連チャン(重賞3連勝)もそうだし、リーディングを獲った時もG1を最後まで勝っていなかったじゃないですか。最後に有馬記念を勝つとは思わなかったよな。この人には追い付かないと思って。持っているというのはこういうことだなと言って、家族で話していました。
圭太:(2016年のリーディング争いで)クリストフ(ルメール)と1勝差の時も、あれも今思えば、ね。最近はあまり持っていたなというのはないけどな。地道に頑張っているんだけどな(苦笑)。
-:いま(2018年2月当時)は波がありますね。やっぱり戸崎騎手の結果は、南関東のサークルでも話題になるものですか。
矢:それは、もちろん話題にはなりますよ。特に大井ではそういう話になりますけど、僕はJRAをほぼ観ないですね。一応、大きいレースの結果や事故があったレースは、何でそうなったかは観るけど、自分のことで精一杯です。
圭太:俺も当時は観なかったかな。
矢:だから、もっとこっちで自信が付くくらい成績が出れば、観だすのかもしれないですよね。余裕が出るくらいのね。
圭太:でも、色々な馬がいて、面白いぞ。やっぱり競馬のパターンがすごい。だから、難しいし、本当に面白いよな。地方とはまた違った面白味というか。
矢:パッと見なんですけど、中山なんかガチャガチャしちゃって、イメージ的には乗れない。あれで18頭じゃ、どうやって捌くのみたいな。それで結果を出すんだから、やっぱり素晴らしいですよね。
-:逆に観ないというのは、忙しいというか、余裕がないということですか。
矢:それもありますし、去年、一昨年くらいは1年間通して乗せてもらって、競馬に向き合う時間が確実に延びたじゃないですか。そのまま通しで1年間は絶対に出来ないので、オフをどこかで作りたいというのがやっぱり土日なんですよね。JRAはやっていることは一緒だけど、地方はまた別の世界というか、私たちはこっちで頑張ります、みたいな意識もありますし。
圭太:俺もそうだったからね。
-:最近、南関東は土曜や日曜も開催がある時がありますからね。余計に大変ですよね。
矢:厩務員さんや仲の良い人に言うんだけど、「俺に芝乗せたら、多分メッチャ上手いぞ」と。実は芝に乗ったことは何回かしかないです、ハハハ(笑)。
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