Part.6 リーディングを獲ったからこそわかる、レースへの向き合い方
2018/4/27(金)
戸崎圭太×矢野貴之「馬券新格言100発売記念」SP対談(5P)はコチラ⇒
-:先程の質問とややかぶってしまいますが、戸崎さんの印象に残った騎乗を教えていただけますか?
矢:勝ちすぎているじゃないですか。たくさん良い馬にも乗っていましたし、自分の中ではどれですか?
圭太:う~ん……。
矢:わからないです。多分「自分のレースで」と言われても分からないし、結局100点のレースというのはなくないですか。結果勝ったから、100点となっているけど、負けても100点に近いレースはありますよね。
圭太:そうそう。
矢:やっぱり負けても100点に近いレースというのはあるわけでね。
圭太:だから、良いんじゃない?今日の最終レースが一番上手く乗れたとなれば。
矢:どういうことですか?
「日々成長してきた過程で最後に乗ったレースは今日の最終だろ。最終のレースが過去最高になっていれば良いんじゃないかと」
圭太:今まで経験して、日々成長してきた過程で最後に乗ったレースは今日の最終だろ。最終のレースが過去最高になっていれば良いんじゃないかと。日々成長していって、それに近付ければ良いんじゃないかという感じだよ。
矢:ものすごく綺麗な話ですけどね。
圭太:メインレースよりも最終レースの方が上手く乗れた、と言えるようになっていかないといけないんだよね。
-:最終こそ最新みたいな感じですか。
矢:ものすごく良いことを言っているけど、あまりシックリは来ないです、ハハハ(笑)。乗れば乗るだけ、分からなくなっちゃうこともあるからね。
圭太:あるね(笑)。その繰り返しだと思うよ。
-:矢野さんも年齢的にはもう中堅という域で良いのでしょうか。
矢:意外と歳を取っていますかね。ちょっと無駄な時間を過ごしたかなと、今は思っています。
圭太:でも、良い時期に入っているんじゃないの。リーディングも獲って、これから勢いをつけて更に、というところだから。
「確かに、当時はそう思っていましたけど、川島厩舎に乗っていればリーディングを獲れるんだろうねと。でも、僕も経験したからこそ感じますが、そんなものじゃない」
-:2年連続でリーディングを獲れたのは何歳くらいでしたか。
圭太:俺はもうちょっと前の20代後半くらいだね。あの頃は川島(正行)先生というのが一番大きかったから、川島厩舎に乗っている人がリーディングということになっていたからね。今はもっと難しくなっていると思いますよ。
矢:でも、そんなものじゃないと思いますよ。確かに、当時はそう思っていましたけど、川島厩舎に乗っていればリーディングを獲れるんだろうねと。でも、僕も経験したからこそ感じますが、そんなものじゃない。
-:傍から見ると、簡単にそう思われがちですけど、そうではないということですね。
圭太:レースで勝つというのは本当に難しいことですよ。勝つほど難しくなっていきます。だから、勝つということは本当に大変なんですよね。
▲矢野騎手は現在、リッカルドとのコンビで活躍している
-:年齢的にも中堅というか、良い時期になってきて、今後の目標というのが何かあれば教えていただけますか。
矢:毎年そうなんですけど、本当に目標というのがないというか、C3だろうが重賞だろうが、常に一戦一戦大事に乗ってきているし、この前、石橋脩がG1を勝ったじゃないですか。あの時に「今は勝っても降ろされる時代」と言って、それは地方でもそうだと思っているし、勝とうが負けようが、とにかく悔いのないように乗ると、ものすごく思って乗っています。だから、目標というよりも、本当に一つ一つ大事に乗ることですね。
圭太:今回乗るレースよりも、次のレースでさらに上手く乗れるようにということだから、さっきの俺の話と一緒だな。
矢:そういうことですね。
-:一つ一つというのは被っているところですね。
圭太:俺も同じで、目標というよりは、まずは目の前の乗ったレースを。だから、昔からG1と他のレースでもあんまり……。
-:「レースの大小は問わない」という感じでしたね。
圭太:G1で勝ちたいというのはあるけど、やることも一緒だし、基本は同じかなと。
矢:勝ってみたらフワフワするけど。
-:そこは共通の認識ですね。
圭太:何かそうだね。それは大事なことだと思うよ。
矢:一緒の考えで嬉しいです。
圭太:だから、明日の1レースで今日の最終よりも上手くなれたら良いと。格好良いじゃないか。
矢:良いことを言っていることは分かるんですけど、シックリは来ない、ヘヘヘ(笑)。
▲戸崎騎手もこの春、皐月賞を制した
-:ある程度成功してきているから、響かないんですかね。
矢:いやいや、本当に良いことなんだと思いますよ。確かにそうなんですよ。
圭太:最後に、地方競馬の魅力をPRした方が良いんじゃないの?やっぱりそういうのも、トップになったからにはやっていかないとね。無理しなくても良いから、自分の出来ることをやれば良いのかなと。大井競馬の魅力、または地方競馬の魅力を言えよ。お客さんが馬券を買ってくれて、ファンが観るんだから(笑)。
矢:おかげ様で、地方競馬も売り上げが回復しています。毎年、大井競馬ではイルミネーションやら、素晴らしい馬たちも出てくるので、それに負けないように私たちも一生懸命頑張ります。でも、俺は親父がサラリーマンで、一般の家庭に育って、高崎競馬を観に行った時に、あんなに小さな競馬場なのに世界が違う、と思ったんですよ。こんなところがあるのか?みたいな感じで。最初に観に行ったところがそれだったから、大井なんかに来たら、初めてが大井だったら、それくらいの衝撃度はあると思います。建物がバンバン建って、このギスギスした都会から競馬場に来たら、ナイターでスカッとして素晴らしいですよね。
圭太:ドンドン(PRコメントが)出てくるじゃん!?今後のインタビューでも、大体まとめはそれだから、それは引き出しに入れておいた方が良いね。
-:入った頃とはだいぶ景観も変わっていますしね。
矢:そうなんです。綺麗ですし、馬が走ってきたら、地面が揺れるくらいの振動で、あんなのはなかなか感じられないですよ。本当に思ったんですよ。今でも人のレースを観ると、こんなのに乗っているの?と思う時がありますからね。競馬って、生で観るとすごいなと。それを感じてもらいたいです。
圭太:俺より良いこと言うよ(笑)。
矢:しかも、大井なんか砂の当たる音ってガチガチガチとすごいじゃないですか。あれは素晴らしいです。
-:戸崎さん、JRAのPRはいいですか!?
圭太:良いでしょう。(武)ユタカさんの方が影響力はあるからね。俺が言ったところで……。
-:載るのが4月くらいなので、春の目標を聞かせていただけますか。
圭太:お互いにダービーだね。
矢:そうなんですよ。去年、初めて羽田盃を(キャプテンキングで)勝たせてもらって、チャンスのある馬でダービーに出られました。結果、ダメだったんですけど、ダービーを勝ちたいということはこういうことね、と思ったんですよ。
圭太:精神状態はどうだったの。冷静にいけたの?
矢:意外と落ち着いて行けました。緊張は確かにするんですけど、パニくる系ではないなと自分で思っているんですよ。焦る感じはあるんだけど、上手い具合にというか。(2着という結果は)残念でしたけど、初めてそういう馬に乗せてもらって、そういうチャンスがある馬に今後も巡ってくるように、人ってこうやって大きくなっていくんだなと勉強させてもらいました。
圭太:そういうのが、これからドンドン来るんだろうからね。経験を重ねて、どっちに乗るかというのもあるだろうし。
矢:それもありますよね。悔しい思いをすることも、これから増えてくるだろうと思うし。
圭太:楽しみばっかりだね。
矢:いえいえ。
-:ありがとうございます。
圭太:ありがとうございます。
矢:ありがとうございます。