初年度産駒が待望のデビュー!続・ジャスタウェイを訪ねて
2018/6/7(木)
2歳戦からフル回転だ。2018年の新種牡馬で最も期待を集めるであろうのが国内外でG1を3勝したジャスタウェイ。5歳時にドバイと安田記念を勝ったため遅咲きの印象もあるが、2歳夏のデビューから3歳春のアーリントンCを快勝するなど、息の長い活躍を見せた。産駒のデビューを目前に控え、社台スタリオンステーション・三輪圭祐氏に、産駒の特長や期待の2歳馬の評価を語ってもらった。
(2016年秋取材)
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(2018年4月取材)
-:2018年度の新種牡馬ジャスタウェイについて、よろしくお願いします。いよいよ今年夏、産駒がデビューいたしますが、これで2度目の取材となります。ジャスタウェイの近況から教えていただけますか?
社台スタリオンステーション・三輪圭祐氏:はい、よろしくお願いします。種牡馬としてはもう4シーズン目で慣れがあるので、良い意味で、順調に変わらず仕事をしてくれていますね。早朝は放牧、その後、厩舎に帰ってきて朝8時に種付けを終え、昼まで休んで、1時に種付け。その後、手入れをされて飼い葉を食べて、夕方にまた種付けをしてというサイクルです。多い時はこのように1日3度の種付けをしています。
性格も従順で大人しいですからね。真面目だし、無駄なことをしない辺が海外でも結果が出せたと要因じゃないかと思っているんです。元気で燃え上がりやすいところも残しつつ、人間の指示にも応えてくれますから。
-:放牧地で過ごす際に、オルフェーヴルと一緒に走っているのを見ました。現在はどうですか?
三:いつもそういうわけではないですね。オルフェーヴルはよく走る馬だし、そういう仕草はあると思いますけど、ごく自然のことだと思いますね。
-:ジャスタウェイに種付けに来る馬は、どういった牝馬が集まってきますか?
三:ハーツクライで成功した馬などを付けられていましたが、だんだんと様々な馬が来るようになりました。しかし、初年度、2世代目はやはりハーツクライで活躍したような牝馬が来ていた気がします。
-:血統的に相性が良さそうな系統はありますか?
三:前回の取材でも同じことを語らせていただいたと思いますが、最初はSadler's Wellsなどの欧州馬と特に合うかなというイメージでしたが、産駒を調教しているのを見ていたら、例えばクロフネの牝馬などでも良さそうですし、相性の範囲は広いのかなと思いましたね。あまりダート色が濃すぎる硬すぎるタイプの馬を付けるのは合わないかもしれないですが…。産駒はキレそうな、鋭そうな馬が多く感じますね。お父さんに似た雰囲気も感じます。
「アドマイヤジャスタは素晴らしいと思いますし、ペルヴィアンリリーの仔も好印象です」
-:いよいよ産駒がデビューしますが、子どもたちの評判はいかがですか?
三:ジャスタウェイも1歳の時はそうだったように、お尻の発達はすごく目立っていましたけど、比較的素軽い雰囲気の馬が多いですね。その点、1歳の秋など他の筋骨隆々な馬と比べると、迫力という意味では正直、差はありました。しかし、堅実で状態が良く、乗り出してからの方が評判も良くなってきますね。人を乗せて走り出して、速いところの調教を始めてから、ドンドンと現場の評価が上がってきました。
-:芝向きでしょうか?
三:明らかにそうでしょうね。というのも、そういう意図もあって配合されているでしょうからね。基本的にジャスタウェイに似たタイプだと思ってもらえれば、わかりやすいかもしれません。
▲デビュー戦でのジャスタウェイ(2011年7月)
-:デビューする馬で、現時点で評判の良さそうな産駒を教えていただけますか?
三:それこそ、セレクトセール(2016年当歳馬セールにおいて1億4000万円で落札)に出たアドマイヤジャスタ(牡2、栗東・須貝尚厩舎)は素晴らしいと思いますし、あとは、同じくセレクトセール(2017年1歳馬セールにおいて5200万円で落札)に出たマイディアライフ(牡2、栗東・高橋忠厩舎)やレイズアンドコールの2016も好印象です。レッドエンヴィー(牡2、栗東・須貝尚厩舎)やヘヴンリークルーズの2016、ストラスペイの2016なども楽しみにしています。
-:ジャスタウェイは2歳から古馬に掛けて、安定して活躍しましたが、2歳から走る馬が出てくるように思われますか?
三:そう思いますね。新潟2歳Sも2着でしたけど、抜けた競馬をしていましたからね。新馬も夏に勝っていますし、G1を勝ったのが古馬になってからだと言うだけで、3歳の時に重賞(アーリントンC)も勝っていますし、ただの晩成型というわけではないでしょう。完成した時の能力値がとても高い分、大きく伸びしろを残しながらも、未完成である2歳時に高いレベルで走る馬が多く出てほしいという思いはありますね。
-:ワールド・ベストレースホース・ランキング1位になったジャスタウェイの、種牡馬としての将来性を教えていただけますか?
三:日本の芝マイルから中距離路線はライバルがたくさんいて、大変ですからね。近年も日本馬が海外で活躍しているように、日本のG1を勝つということは、世界一を決めるようなレベルで戦っている訳ですから。
例えばドバイに行った時に、ドバイの所属馬はいるとしても、ヨーロッパと日本からの遠征馬同士の戦いになった時はドバイでもすごい成績を残しますよね。だから、これだけレベルが上がった日本の競馬で種牡馬として成功するということは大変な作業だと思います。まずは2歳の重賞を勝ったり、2歳のうちに複数勝つ馬がたくさん出てほしいですね。
2勝馬が2歳のうちにたくさん出るというのは、種牡馬のイメージ作りとして大事で、今はそういうトレンドですし、晩成と見られがちなジャスタウェイには特に重要ですね。僕は、もちろん2歳の時から走れる能力を備えていたと思うので、成長のピークがまだ先にある状態でも2歳戦を勝てるような、能力の高さを見せることが出来れば面白いですね。
早熟である可能性は低いはずですし、後から良くなってきたら良いと思っている種牡馬だからこそ、2歳のうちに2勝出来るような馬が複数出てきたら、それはさらに来年、再来年と楽しみが増えるばかりだなという期待をしていますね。
-:今回もありがとうございました。ジャスタウェイ産駒の活躍を楽しみにしたいと思います。
6月14日(木)にインタビューを公開予定です!
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