【2歳馬トレセン最新レポ】第2回:新馬戦絶好調の西村真幸厩舎
2019/6/28(金)
6月からスタートした2017年産たちによる2歳新馬戦。来年のクラシックへ向けて、続々と良血馬・素質馬が登場しているが、期待馬を多数管理する厩舎を直撃!POG本などで紹介された以降の動向をお届けする。
第2回 栗東・西村真幸厩舎
グランスピード(牡、父キズナ×センティナリー)
西村真幸調教師「自分が選んでオーナーに買っていただいた初めての馬なのです。馬は1歳時に1度観てから、時間があいて次に観た時にグッと良くなっている馬って、成長する幅が広いと思うのですが、それがこの馬にはすごくあったなと思いますね。
(現状では)緩さがあるので、どういう競馬をするかなという感じですね。心肺機能はすごく高そうなので、長い脚を使えるような感じはしますね。それは競馬の展開で、後ろから行ったらビュッと行くか、前にいたら、前でそういう競馬に持っていくか、ということですけどね。併せ馬をしていても、馬添えが悪いとか、馬が怖いとか、そういうこともないし、むしろ併せていた方が、自分から走っていくようなところもありますね。適性的には1800~2000m、もうちょっと長い2400mまで走れるかなと。(6月14日時点)次週から速いところをやっていく予定です」
キムケンドリーム(牝、父オルフェーヴル、母スターペスミツコ)
母のスターペスミツコからは重賞2勝のメイショウナルト、2017年のUAEダービーでも2着に好走したエピカリスを輩出。父はオルフェーヴルに替わったが、秋デビューが待ち遠しい存在。オーナーにとっても所有馬初勝利が懸かる。現在の推定馬体重は450kg。西村真幸調教師「すごく素質を感じますね。ちょっとオルフェーヴルの気性を感じるところもあるけれども、それが走る方に向けば、走れると思いますけどね」
チェスナットドレス(牝、父ディープスカイ、母アドマイヤドレス)
西村真幸調教師「決してメジャーな血統ではありませんが、担当者からは『トモがしっかりしていて、全身を使って走る』と聞いています。(6月中旬に)入ってきたばかりなので、デビューはゲート試験を受けてからの精神状態次第ですね。早ければ小倉開催でのデビューを予定しています」
サンテローズ(牝、父ハーツクライ、母マンビア)
今年の2歳新馬戦でも絶好調!馬主は今をときめくシルクレーシング。半兄のダノンジャスティスは今年のファルコンSにも駒を進めた。母のマンビアはフランスの2歳重賞・カルヴァドス賞(芝1400m)の勝ち馬で、父がハーツクライになり、半兄とタイプは異なりそうだ。残念ながら取材後、トレセンに入厩前の段階ながら、骨折が判明してしまったものの、師の期待は大きかった。西村真幸調教師「体の伸びもあるし、将来的にクラシックディスタンスに乗っていける馬だなと期待しています」
クールインパクト(牡、父リアルインパクト、母ラクテウスオルビス)
順調な滑り出しをみせている西村厩舎の2歳勢。ただし、それだけではない。成長力を秘めていそうなタイプも控えている。西村真幸調教師「500kgほどの馬格のある馬。本当はもう少し追いきってからでもよかったのですが、今回はひと叩きの効果が見込めると思います。(新種牡馬の)リアルインパクトはこの馬を含め2頭いますが、もう1頭の馬の兄は現3歳のスターリーパレード。スターリーパレードはトーセンホマレボシ産駒でダート馬ですが、その下のリアルインパクト産駒は(ポテンシャルリアル)体型が違いますね。スターリーパレードはいかにもダートという感じで、幅もあって、持続力があり、力強さがあるんだけど、ポテンシャルリアルはもっと素軽くて、ちょっと幅も狭くて、シャープですね。跳びも大きいし、芝向きという感じはします。リアルインパクト産駒の2頭とも、そこまで短距離というタイプは受けないですね」
西村真幸調教師「もちろん牧場とコミュニケーションを取りながら、どれが早めに行けるとか、順調だとか、ずっと順調に行ける馬と行けない馬が途中で出てきたりしますからね。とにかく順調で、ある程度、自分から前向きに走っていけて、馬込みを気にしないとか、1頭でも走っていけるような。同期の馬たちよりも、精神面も体もちょっと大人じゃないとね。まずはそういう基盤があって、あとはどれくらいスピードがあるか、というところですかね。
2歳戦序盤は1600mや1200mしかないし、北海道だったら1200mと1000mしかない。逆に1800mだと最初は馬があまり出てこないので、ある程度、血統的に短くて、早めに使えるちょっと小柄な馬や脚元に不安のない馬が早く使える馬になってくると思います。やっぱり調教はシッカリやらないと、新馬は勝てないので。『ここをシッカリ勝つよ』と言うんだったら、そこまで仕上げて使って、勝つということになりますね。新馬は能力だけで勝つ馬って、そこに対応できると言ったら、調教の技術力になってくるので、そこを上回れる調教をしていくということですね」
「ウチは20馬房しかないし、常に臨戦態勢が取れるようにして、競馬を使っていくということをしていないと、上で勝てないですからね。28馬房に20馬房がどうやって勝つか、ということですよね。(馬の入退厩などは)一番頭を使うところですよね。
去年は一昨年から上げていかないといけないところを落としてしまったので…。そういう厩舎経営をどうやって変えていくか、どうしたらいいかを考えながら今年に入って、30勝を目標に掲げながらやってきたんですけど、それが上手くいっているなと思いますね。20馬房で30勝はすごく難しいので、それを続けることが大事なんですよね。40を目指すよりも30を続ける方が絶対に良いですし、馬房が増えていって40になる。そう考えています」
「強い馬をつくりたいし、勝ちたいし、未勝利も勝ちたいし、G1も勝ちたい。とにかく勝つことが喜びであり、勝っていなかったら、それ以上に馬も入ってこなくなってしまいますからね。そういう勝ち星の数でアピールしていくというか。自分はもう雑草なので。調教師やジョッキー、牧場の息子でもないし、サラブレッドでもない。雑草がどうやったら上に行けるかと言うと、普通の社会とはちょっと違うけど、ハンデなんて当たり前だし、今は20馬房と28馬房の厩舎と戦うのはキツいなと思っても、それが社会だから、その社会の中で、どうやって1位になるのかという考え方なので。目標は高く、あそこ(28馬房)に早く辿り着けるように頑張ります」
※次回はリーディング争いを牽引する安田隆行厩舎のレポートをお届けします!