今週の目玉は日曜日の中京芝2000m戦。今年初めての距離ということもあり、トップ厩舎が評判馬を送り込んできた。そのレースは後のお楽しみとして、まずは土曜日から。

中京芝1600m戦は、スワーヴポルトス(牡2、栗東・庄野厩舎)の調教が目立つ。1週前(以降も調教時計は主に1週前のもの)の坂路でメイショウイチオシに遅れたものの、相手は古馬のオープン馬。時計は51秒3－12秒7(一杯)で、木曜日の2歳馬一番時計。古馬を含めても、メイショウイチオシに続く2番目にあたる優秀なものだ。スワーヴ＆庄野厩舎は、スワーヴリチャードと同じ新格高ライン。楽しみな一頭だ。

クアトレフォイル(牡2、栗東・友道厩舎)は、近親にアドマイヤムーン(GⅠ3勝)がいる。芝で6F80秒台、上がりは12秒半ば。悪い馬場で時計は目立たないが、動きは悪くないようだ。

そして日曜日の中京芝2000m。多くのPOGで大人気となったヘンリーバローズ(牡2、栗東・角居厩舎)がデビューを迎える。セレクトセールで1億円を超える高値がついた馬で、全兄には売り出し中のシルバーステートがいる。「完成度は高く、古馬と併せてもしっかり動けています。血筋もいいですし、クラシックに乗せていきたいですね」と前川助手。鞍上は川田騎手。コメント通り調教の動きは良好で、坂路では楽々12秒0で上がり、CWでは5F68秒台、上がり12秒前半で併せた相手に先着している。初戦から走れる態勢にあり、クラシックを予感させるレースを見せてもらいたい。現3歳世代がイマイチだった角居厩舎。この馬で反撃だ。

ただ他のメンバーも粒揃い。ワグネリアン(牡2、栗東・友道厩舎)は友道厩舎期待のディープインパクト産駒で、全姉にはテンダリーヴォイス(アネモネS)がいる。芝コースで6F79秒台、上がりは12秒を切り、堂々古馬に先着。血統面から、先々まで楽しみな馬である。

池江寿厩舎が送り出すのはスヴァルナ(牡2、栗東・池江寿厩舎)。母は4勝を挙げたブルーミングアレーで、母の弟にはトーセンラー(マイルCS)、スピルバーグ(天皇賞・秋)とGⅠ馬が2頭いる良血だ。「オープン馬(2週前のステイインシアトル)と併せても食らいついていた。ステイゴールド産駒だけに気性がいい方に向かってくれれば」と池江師。鞍上はM.デムーロ騎手。1週前調教では同厩のトゥザフロンティアに遅れたが、同馬も期待の良血馬では仕方あるまい。最終調教で更なる好内容を見せたい。

以上3頭は社台系の良血馬。こちらは非社台の代表格、千代田牧場の一番馬とも噂されるトウシンゴールド(牡2、栗東・佐々晶厩舎)だ。母はチリのGⅠ勝ち馬で、セレクトセールでも5184万円(税込)と、なかなかの額がついた。入厩直後の調教は平凡だったが、ここへ来て内容も良くなり、1週前はCWで6F82秒台の時計をマーク。大型馬らしく調教毎に良くなっており、あと1本で整いそうだ。ここまでの新馬戦では1、2のメンバー。よく見ておいていただきたい。

同日の中京は新馬戦がもう一つ。芝1200m戦は、ヴァルディノート(牡2、栗東・音無厩舎)。母の兄にGⅠ馬クロフネがいる。坂路53秒6－12秒8と水準の時計を出しており、仕上がりは進んでいる。早くからPOG向きと言われていた馬で、まずは小倉2歳Sが目標か。新馬戦から結果を出したい。

福島では芝1800m戦。ヘッドストリーム(牡2、美浦・武井亮厩舎)は、セレクトセールで4104万円(税込)の値がついた馬。ウッドで69秒台も、上がり12秒後半なら悪くない。デビューした3頭の兄姉のうち、2頭が新馬勝ち、残る一頭も3着と、初戦から走れる一族だ。

函館芝1800m戦は、ディロス(牡2、美浦・木村厩舎)が中心。一度入厩してゲート試験後放牧に出され、再入厩。速い本数は少ないが、2本目で芝5F63秒台を馬ナリでマークと、早くも評判通りの動きを披露した。「馬っぷりやフットワークがいい。長めの条件が向くと思うし、これは走ってきそう」と、陣営のコメント。鞍上にC.ルメール騎手を確保できたことからも期待が分かる。母のラトーナはPOGで人気になり初戦を勝ったが、3戦で引退。その母の初仔で、個人的にも特に注目している。

サダムラピュタ(牡2、栗東・平田厩舎)は内目をまわったとはいえ、ウッドで68秒台、上がりは12秒前半。この上がりは優秀だ。ディロスと差のない競馬を期待していいだろう。

新規入厩の目玉はシルヴァンシャー。母のアゼリはアメリカの名牝で、繁殖牝馬としても期待の高い馬。しかし、ここまではアメリ(3勝)、ロイカバード(4勝)、アドマイヤアゼリ(1勝)などを出しているものの、まだまだ期待に応えているとはいえない。ただシルヴァンシャーは、アゼリの仔の中でも一番のデキと早くから評価されてきた馬。今度こそ大当たりを期待したい。

ディープ産駒では他に、堀厩舎のイルーシヴグレイス。母のアゼリはアメリカの名牝で、繁殖牝馬としても期待の高い馬。しかし、音無厩舎のアンチェイン、キロハナとハナレイムーンの全妹オハナもマークしておきたい。