近年トレンドの6月東京1800m新馬 今年も素質馬が揃い踏み!
2016/6/6(月)
来年のクラシックに繋がる重要な東京の新馬戦!
今週の新馬戦のメインは東京芝1800m戦。過去3年の当レースの結果を見ると、3年前の勝ち馬は、毎日杯を勝ち、ダービーでも3着に入ったマイネルフロストで、2着は重賞ウイナーのウインマーレライ。2年前の勝ち馬は、重賞でも上位に来たアヴニールマルシェで、5着は重賞ウイナーのベルラップ。そして昨年の勝ち馬は、阪神JF、NHKマイルCとG1を2勝したメジャーエンブレムで、2着プランスシャルマン、3着ハレルヤボーイはPOG期間内に2勝。
このように勝ち馬を中心に後の活躍馬が多く、今年もPOGを占う上で重要な一戦となろう。それを陣営も認識しているのか、なかなか面白いメンバーが揃った。
前評判が高いのは、関西から遠征のフュージョンロック(牡2、栗東・須貝尚厩舎)。「早い時期からここまで順調に来れた。稽古の動きがいいし、高い能力がありそう」と陣営も力が入る。セレクトセールでは7000万円近い値がついた良血馬で、落としたのが金子真人HDと聞けば、走りそうと思うのは当然。今年の須貝尚厩舎は例年以上に有力2歳馬が早くに入厩しているが、その中でも動きは1、2を争う。鞍上はルメール騎手を予定。初戦はもちろん、須貝尚厩舎が2年前に同じ新馬戦に送り込んだベルラップが、ここを5着に負けながら秋には京都2歳Sを勝っていることからも、先々まで覚えておきたい一頭だ。
- フュージョンロック
- 牡、栗東・須貝尚、ステイゴールド×シャピーラ
迎え撃つ関東勢は、牧場の頃から高い評判になっていたレジェンドセラー(牡2、美浦・木村厩舎)。「誰が見てもいい馬。健康優良児で、フットワークの質も高い」と木村師。
祖母は重賞ウイナーのプロモーションで、母の弟にはダービー2着のアドマイヤメインがおり血統背景も十分。牧場でも早い段階から、「POG向きの馬」と評判になっていたが、ただ1週前調教は先着したものの時計は遅かった。直前調教は、よくチェックしたい。
3年前の当レースを勝ったマイネル軍団&高木登厩舎のコンビ(マイネルフロスト)は、マイネルクラース(牡2、美浦・高木登厩舎)を送り込む。母のマイネヌーヴェルは、ホープフルS→フラワーCと連勝。その弟には弥生賞勝ち馬のマイネルチャールズがおり、マイネル軍団を代表する一族だ。1週前調教は普通レベルだが、しっかり負荷をかけてくる高木厩舎なので、直前は速めの時計を出してくるだろう。
他にも調教は地味だが、おじにネオユニヴァースがいるブラヴォバンビーノ(牡2、美浦・武藤厩舎)なども予定。
同日の牝馬限定1600m戦には、こちらも牧場の頃から評判だったアズールムーン(牝2、美浦・斎藤誠厩舎)が出走する。
「素直な性格で扱いやすい。初戦から勝ち負けを期待している」と斎藤師。半姉に日韓で重賞勝ちのエスメラルディーナがいる血統。調教でも動いており、初戦から勝ち負けの雰囲気だ。
師も期待をかけるアズールムーン 初戦から能力全開だ
調教ならハッピーランラン(牝2、美浦・手塚厩舎)も悪くない。2週前には坂路で56秒0-12秒6(馬ナリ)。この時期に馬なりで上がり12秒台を出せれば上々だ。手塚厩舎&馬場オーナーの馬はアジアエクスプレスを筆頭にベストマッチョ、アジアンテーストなど即効性の高い馬が多いので、この馬もPOG向きと言えそうだ。
前日の芝1400戦は同じ手塚厩舎のニシノキッカセキ(牡2、美浦・手塚厩舎)。こちらも2週前の坂路で55秒0-12秒4の時計を余裕十分でマークし、ハッピーランラン以上の時計を出した。手塚厩舎らしく1400m以下の路線で、おいしいポイントを稼ぐタイプに感じる。
牝馬限定戦では無く、牡馬混合のこちらを選んだブライトエピローグ(牝2、美浦・大江原厩舎)も調教は動いており、併せ馬で1秒先着。厩舎も相当力が入っているようだ。
以前に先週デビューと聞いていたオウケンスターダム(牡2、美浦・国枝厩舎)は、2週目に切り替えていた。1週前は同厩のマイネルズイーガー、アンティノウスと併せて併入も、こちらは先行してのもの。その2頭が開幕週で惨敗してしまったので、この馬も少々不安である。
関西は、例年通り宝塚記念週や中京に有力馬が集まる傾向があり、マイル以上のレースが無い今週は地味。
調教から注目は、阪神芝1400mに予定のスーサンゴー(牝2、栗東・岩元厩舎)。2週前にはCWで6F80秒台、5F66秒前半の速い時計を軽くマークした。半兄には4連勝でフェブラリーSにも出走したスーサンジョイがおり、走る背景は持っている。
同じレースを予定のブルベアヘッジ(牡2、栗東・高橋康厩舎)も、2週前にCWで66秒台をマーク。1週前が軽すぎるのは気になるが、直前に速いところをやれていれば大丈夫だろう。
デビューに向けて順調に乗り込まれるブルベアヘッジ
良血馬も続々入厩中!デビューの日も近い!?
それでは新規入厩組に行きたい。要注目馬は2頭。まずはヴァナヘイム(牡2、栗東・角居厩舎)。3代母はオークス馬ダイナカール、祖母は名牝エアグルーヴ、母は重賞ウイナーのグルヴェイグ、そのきょうだいにアドマイヤグルーヴ、ルーラーシップ、フォゲッタブルがおり、いとこには2冠馬ドゥラメンテと、「華麗なる一族」の一頭だ。ちょっと遅いイメージのある一族だけに、早くも入厩できたことはPOG的に大きい。
牝馬ではトップクラスの評判もあるフローレスマジック(牝2、美浦・木村厩舎)は、全姉がG1馬ラキシス、全兄がサトノアラジンという良血。この馬も上が晩成傾向だっただけに、この時期の入厩はPOG的に朗報。ディープ牝馬にしては馬格もあり、期待はますます上がっている。
牧場での評価も高いフローレスマジック 兄姉よりデビューは早めか?
他にもエリザベス女王杯勝ち馬リトルアマポーラを持つエジステンツァ(牡2、栗東・藤岡健厩舎)、兄姉にダービーフィズ、クレスコグランド、アプリコットフィズら重賞ウイナーが並ぶインペリアルフィズ(牡2、美浦・小島太厩舎)も、血統的に注目したい。
- ヴァナヘイム
- 牡、キングカメハメハ×グルヴェイグ
プロフィール
山田 乗男 - Norio Yamada
厩舎育ちのPOG好きという変わり者。主なPOG実績として、過去にナリタブライアン、ビワハヤヒデ、ディープインパクト、オルフェーヴル、ブエナビスタ、ロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、アンライバルドら指名の実績を持つ。POG=超大物狙いということだが、その格高理論は仲間うちから一目を置かれている。有名競馬雑誌でPOGコーナーを担当中。