-ファンタジーS.みやこS-平林雅芳の目

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トピックス


土曜京都11R
ファンタジーS(GⅢ)
芝外1400m
勝ちタイム1.21.3

アイムユアーズ(牝2、父ファルブラヴ・美浦・手塚厩舎)

アイムユアーズ、函館の鬱憤を晴らす、ファンタジーSを快勝!

芝、ダートともに良馬場発表。少し小雨が時折降る中での17頭の乙女達の戦い。直線入り口では、前に8頭が横並びするところをその外へ出したアイムユアーズ。今回、短期免許で来日しているメンディザバルJが三日目での初勝利。それがいきなりの重賞制覇となった。2着争いは、アンチュラスファインチョイスを差してのもの。函館2歳Sでは後塵を浴びたアイムユアーズが、その借りを返した感じであった。関東馬のファルブラヴ牝馬は本当にいい仕事をする。

スタートは一番外のビウイッチアスが良かった。ほとんどが一斉なスタートだった中で、僅かにファインチョイスの馬体が半馬身ぐらい皆から後ろであった。しかしその後のダッシュ力で、すぐさま馬群へと吸収されていった。大混戦の中からドナメデューサが出て行くのかと思えたが、やっぱり内からレディーメグネイトが出て行く。アンチュラスも出てきたが、もうファインチョイスは前から6番手にいる。外目をツーオブアスも順位を上げて2ハロンめへと入って行く。まだ流れが落ち着かない感じで、ペースもけっこう流れている様子だ。2ハロンを過ぎたあたりでは、ファインチョイスの手綱はピーンと張ったまま。いくぶん行きたがっているのか。その外にサヴァーレアイムユアーズがいる。

坂を下って行く。前は半馬身リードでレディーメグネイトで、黄色い帽子の⑤枠の2頭が続く。前半3ハロンが34.1の入りである。けっこう縦長の隊列となっている。後ろの方にタガノの2頭が並ぶ。ラチ沿いをタガノミュルザンヌで、外がタガノルミナーレ。その直後がゴールデンムーンである。最後方がヒーラで、前から1秒差ぐらいか。前はツーオブアスがなおも順位を上げて先行馬の横に張り付いてきた。その外へビウイッチアス。内目の絶好位にアンチェラス。その半馬身外にファインチョイスである。

4コーナーのカーヴへと入る時には、かなり馬群は大接近してくる。カーヴを回って直線に入ってきたが、馬群は二列となっている。最内をニコールバローズ、その外にレディーメグネイト。その外がドナメデューサだが間にファインチョイスが入ってくる。アンチュラス、ツーオブアスと続き、その外へサヴァーレとビウイッチアスと8頭が並ぶ。この8頭がますます横の線となった残り300メートルあたりで、9頭めとなりそうな勢いでアイムユアーズが脚を伸ばしてきた。

メンディザバルJの左ステッキが唸る。2発入ったあたりで、ビウイッチアスの隣りに取り付き、さらにその前へと出ていく。ここらでは内の方が伸びていてニコールバローズが一番内から出そうとなり、さらファインチョイスとアンチュラスが壮絶な追い合いをしている。
馬群の中を縫う様に、タガノミュルザンヌがなかなかにいい伸びをし出してきているのが見える。ゴールが近づき、一番内ニコールバローズかファインチョイスかと思えた瞬間。それらの外をアイムユアーズが勢い良く、真っ先にゴールへと出た。
熾烈な2着争いには、一旦出たファインチョイスをアンチュラスが差し、さらにサヴァーレも加わってきていたが届かず。タガノミュルザンヌが猛接近してきていた。
全体に速い流れで前半1000メートルが57.7、1200通過1.09.3である。中団にいたアイムユアーズが、けっこう長い脚を使っての差しとなった。やはり少し痛んできている内めより、馬場のいい外目を伸びて来ているのも良かったか。

パトロールビデオで見ると、意外にもファインチョイスが馬群の中でかなり落ちつかないレースぶり。力んで走っていた様子が見えた。馬体増14キロはそれ程に思えないもの。アイムユアーズ自身の上がりが35.0とそう凄い脚を使った訳でもない。道中の位置がちょうどいいポジションであり、直線も大外で馬群が横並びと差す馬にはいい感じでもあった様子。もっとも、脚がなければそれも敵わない訳。函館2歳Sではファインチョイスが完勝と言える内容だったが、こちらはスタートから今一つ。

新馬戦から必ずいい脚を使っているアイムユアーズ。終わってみれば、負けたもののファインチョイスの内容といい勝ったアイムユアーズといい、函館2歳Sのレベルの高さを証明するものでもあった。
そして2着のアンチュラスだ。ディープインパクト産駒のアンチュラスが、ここでもいい仕事をした。また角居厩舎である。本当に持ち駒の優秀さであろうか。また電光掲示板に乗らなかったが、6着タガノミュルザンヌも目立つ脚色であった。
牝馬の戦いはまだまだこれから。始まったばかりである。まだこの馬で仕方がないと言った馬は出ていないと思える乙女たちの戦いだ。



日曜京都11R
みやこS(GⅢ)
ダ1800m
勝ちタイム1.48.4

エスポワールシチー(牡6・父ゴールドアリュール・栗東・安達厩舎)

エスポワールシチー、ここは貫禄勝ちで次なるステージへ。

3日の大井、JBCクラシックに出てあの名勝負に加わっていなければならなかったエスポワールシチー。GⅢへ登場である。それも58キロでの出走。ここは負けられぬ、いや負けてはいけない一戦であった。ダートで負け知らずの昇り馬トウショウフリークの逃げを受けての2番手。4コーナーまでガッチリと受けて残る直線では自分の世界であった。鞍上佐藤哲Jのステッキも次なるステージへの気持ちを引き締めるための所作であった様に思えるもの。
さあ、次は阪神2日目のJCダート。エスポワールシチーもいるぞとアピールしたものだった。

すっきりしない淀の空、湿度がかなりあって蒸し暑いぐらい。時折だが雨もパラついたりとしていた。
スタンド前からのスタート。互角のスタートを切った15頭。そんな中から一番前にエスポワールシチーが出た。その内にトウショウフリークが負けじと出て行く勢い。外からはヒラボクキングもいいダッシュ力で前に出た。枠順が内の分と行く気を感じたのだろう、佐藤哲Jのエスポワールシチーは最初のカーヴに入る前に2番手の覚悟となった様子だ。外のヒラボクキングと馬体を併せての半馬身差でカーヴに入る。その後ろにはワンダーアキュートゴルトブリッツが続き、その内目にニホンピロアワーズが従う位置であった。後でパトロールビデオで見たのだが、この1コーナーへ入るまでにもうゴルトブリッツの行きっぷりが変だった。掛かる様な、何か折り合えないのか終始、イヤイヤをして走っている感じ。最終コーナーに入る時にはもう戦意喪失な勢いになっていた。話を戻そう。

2コーナーを回って向こう正面に入っていくが、トウショウフリークの逃げは軽快でスローでなく平均的なペース。1馬身後にエスポワールシチーで、さらに1馬身差でヒラボクキング、その後にゴルトブリッツとワンダーアキュート。その後、1馬身半にニホンピロアワーズが続く流れで、前半の3ハロンが35.2でけっこう流れている。
2番手のエスポワールシチーは前との間隔は変わらないが、その後ろの馬たちが少し差を詰めてだいぶ隊列が短くなって3コーナーを回って行く。エスポワールシチーが前との差を詰めたのが残り800のハロン棒過ぎで、半馬身差までとする。まだ前の馬はほとんどが持ったままの中で、ゴルトブリッツが、ワンダーアキュートが楽にいるのに、もう川田Jが追っているのが見える。ニホンピロアワーズも前との差を詰めてきていた。

4コーナーのカーヴに入ってくるあたりでは、エスポワールシチーはトウショウフリークの外に馬体を併せ気味。直後にワンダーアキュートも迫ってきている。みんなが追い出してきているのに、まだエスポワールシチーは持ったままである。5番手に上がったニホンピロアワーズだが、前との差はむしろ開いた感じである。その真後ろにキングスエンブレムがいて、外をメダリアビートがかなりな脚を使って上がってきた。

直線に入ってきて、残り300メートルのあたりでエスポワールシチーは内トウショウフリークから少し外へ離れて前へと出た様子。ここらで佐藤哲Jの左ステッキが1発入る。その後も何発かステッキは入れられたが、ユックリとした入れ方であった。トウショウフリークもバテていた訳ではなく、その差はそんなに開かず。後ろのワンダーアキュートが差を詰められず。むしろニホンピロアワーズが外からジワジワと上がり3着に入った。

エスポワールシチーは、最後はもう流し気味でのゴール。馬なりで3馬身半もの差がついていた。トウショウフリークの逃げは、道中で一度もペースを緩めないもの。12.3が一番遅いラップである。最後の1ハロンの12.7がこのレースでもっともかかったラップ・タイムである。
レースの主導権を握ったのは、逃げたトウショウフリークでなくエスポワールシチーであったはず。そう速くもなく、かと言って前には楽をさせはしない位置での競馬。次なるステージへいい感じで行けそうである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。