【香港国際競走】G1香港スプリント、ロードカナロアが優勝!

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9日、7万人以上の記録的な大観衆を集め、2012年の香港国際競走が大成功のうちに終了した。今年はスポンサーがキャセイパシフィック社からロンジン社に代わり、オープニングセレモニーの始まった午前11時15分から華やかなムードに包まれた。

国際競走のトップを飾ったG1香港ヴァーズ(芝2400m)は、ジャパンカップから直行したレッドカドー(JC8着)とジャガーメイル(JC10着)のワンツーフィニッシュになった。スタートでレッドカドーは挟まれて後手を踏んだが、内ラチ沿いから順位を上げ5番手、対照的に好発したジャガーメイルはレッドカドーの後ろ6番手にポジションを取った。

4コーナーを前にジャガーメイルのダグラス・ホワイト騎手が仕掛け、残り400mでレッドカドーの横に合わせて行き、2頭で200m残して抜け出したが、終始アドバンテージを取ったジェラールモッセ騎乗のレッドカドーがジャガーメイルを短頭差押さえてG1初優勝を飾った。勝ちタイムは2分28秒73、半マイル50秒19のグッドペースで2着したのだから、ジャガーメイルの健闘を讃えたい。

半馬身差3着は残り300mでドゥナデンを交わして4番手に上がったミアンドルがメンバー中最速の上り22秒37をマーク、残り300mで先頭に立ったリベレーターを交わして上がった。同じく半馬身差4着にリベレーターが残り、クビ差で人気のドゥナデンが5着したが、クレイグ・ウィリアムス騎手は本調子に欠けていたと話していた。レッドカドーの単勝は10.55倍、ジャガーメイルは53倍の人気薄で馬連は171.05倍の大穴である。

続いて行われたG1香港スプリント(芝1200m)は、ロードカナロアが初めて日本にスプリント優勝を齎した。岩田康誠騎乗のロードカナロアは、セリーズチェリー、キャプテンスウィート、シーサイレンの4頭で積極的に前に行き、3~4番手の好位置をキープして、直線120m残して抜け出し2馬身半差の圧勝だった。勝ちタイムは1分08秒50。

2着に逃げたセリーズチェリーが残り、短頭差3着にも残り400mで2番手に上がったキャプテンスウィート、4分の3馬身差4着に内ラチ沿いから順位を上げた久しぶりのジョイアンドファンが残り、短頭差5着が外から追い込んだ人気のラッキーナイン。レースのフラクションは 23.80-45.55 スローペースではなかったが、前が止まらない馬場だった。

カレンチャンはスタートで挟まれて最後方になったが、ラチ沿いから順位を上げて行って7着。前が止まらない競馬では良く頑張ったと言って良いだろう。人気のラッキーナインは12番枠発走でこの馬場、2番人気タイムアフタータイムは3番枠発走の追い込み馬、しんがり負けも当然である。4番人気シーサイレンは意外とだらしがない。

単勝4.05倍で3番人気のロードカナロアは、この馬場でメンバー中最速の上り22秒63をマークしたのだから、素直に世界のスプリント界の頂点に立ったと考えて良いだろう。香港G2プレミアボウル勝馬で5番人気(10倍)のセリーズチェリー、43倍のキャプテンスウィートが入り、3連複は369.6倍と難しい馬券が続く。

G1香港マイル(芝1600m)は、今年も香港勢が上位を独占、勝った2シーズン連続の年度代表馬に大歓声が上がった。12頭立ての後方10番手から、直線では大外を廻った為11番手まで下がりながら、メンバー中最速の上り22秒39をマークして50m残して突き抜けた。ザック・パートン騎手はこの日3勝目、人差し指を高々と掲げた。

ドンボスコの先行で直線残り230m、2番手パッキングオーケーと3番手ゴードンロードバイロンが交わすと、外から一気に人気のグロリアスデイズが200m残して抜け出した。この時アンビシャスドラゴンは3馬身差の4番手、そこから一気に脚を伸ばして突き抜けて行った。勝ちタイムは1分34秒12。トライアル勝馬と2着馬の逆転、アンビシャスドラゴンの単勝は4.1倍だった。

4分の3馬身差2着グロリアスデイズ、1馬身半差3着に人気薄(90倍)のパッキングオーケー、短頭差4着も人気薄(81倍)のゴードンロードバイロンが入り、3連複84.7倍、4連複626.7倍と高配当になった。グランプリボスは3番手の好位置をキープしたが直線残り300mで手応えが無くなりしんがり負け、サダムパテックは中団から順位を1つ上げただけの6着に終わった。

尚レースは、3着馬と4着馬から異議申し立てがあり、加えて審議に長い時間がかかった為、以降のレースは10分遅れとなった。国際レースの最後は、G1香港カップ(芝2000m)、大本命のシリュスデゼーグルが前日に取り消し11頭立てに変わり、前年の勝馬カリフォルニアメモリーが2.75倍で単勝1番人気に推された。

先行馬不在のレースはジョン・ムーア厩舎4頭出しの中から、最初はザイダンが先頭に立ったが、1コーナーから同厩のダンエクセルが先行態勢に入って行く。半マイル通過は、52秒59の超スローペース、3コーナーに向かう途中で5番手にいたフォイヤーブリッツが引っかかって先頭に立ったが、ダンエクセルがポジションを奪い返して直線に向く。

ダンエクセルは残り200mまで先頭をキープしたが、マシュー・チャドウィック騎乗カリフォルニアメモリーが昨年同様好位追走から一気に抜け出した。
勝ちタイムは2分03秒09、1馬身差2着に人気薄(23倍)クリストフ・スミヨン騎乗のジオフラがメンバー中最速の22秒28の末脚で中から伸び、1馬身4分の3差3着に最後方から直線内ラチ沿いを強襲したクレイグ・ウィリアムス騎乗のこれも人気薄(21倍)アルコポップが入り、34倍の人気薄ダンエクセルが粘って4着。3連複96.7倍、4連複567.1倍と難しい馬券が最後まで続いた。

今夏のシャガーカップで世界選抜を優勝に導いたマシュー・チャドウィック騎乗で香港カップ連覇を達成したカリフォルニアメモリー、プレゼンターには女優のケイト・ウィンストンさんが務めたが、パドックでは主客転倒、周回もそっちのけで記念撮影する光景が目に付いた。女王陛下所有の2番人気カールトンハウスは、残り300mで一旦は伸びかけたものの6着、陛下が来場しなかっただけに調子も今一つだったのだろう。

1997年に始まった香港国際競走、売り上げの方は去年を3パーセント上回る1億2740万香港ドルの新記録、大成功のうちに幕を下ろした。



海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。