2011年凱旋門賞馬デインドリームが引退

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2011年の凱旋門賞馬デインドリームが引退を決め、2年連続で欧州年度代表馬になったフランケルと交配することが、22日、ドイツのウェッブサイト「ギャロップオンライン」で報じられました。

ドイツ産、ロミタス産駒の4歳牝馬は、ケルン競馬場近くにあるトレーニングセンターを襲った馬伝染性貧血の為、今年の凱旋門賞への出走が叶いませんでした。デインドリームは、バンステッドマナースタッドで繋養されているフランケルと交配する為、1月に英国に渡り、子供を受胎した状態で日本に運ばれる予定となりました。

デインドリームは、当初の計画では3月にドバイのメイダン競馬場で行なわれるG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)を使う予定になっていましたが、吉田照哉氏はドバイに持って行くよりはむしろ引退の意見に賛同したようです。加えて吉田ファミリーの吉田勝美氏が現在オーストラリアでG1を4勝しているファストネットロック産駒の4歳牝馬モシーンの共同オーナーの一人であることも、デインドリームの引退に少なからず影響したものと思われます。

ギャロップオンラインは、家族と一緒にフロリダで休暇中のピーター・シールゲン調教師のコメントも載せています。「吉田照哉氏の決断は、我々にとってはとても悲しいことですが、ブリーダーの観点から言えばまた違った味わいを楽しむことが出来ます。我々は、デインドリームが与えてくれた全ての素晴らしい体験に感謝しています。彼女はドイツ競馬の為に偉大な広告塔になってくれました。我々はこの牝馬に拘った皆に感謝します。決して彼女を忘れることは無いでしょう」と。

デインドリームも、他のケルントレーニングセンターで調教されている競走馬同様、10月1日から1歩も外に出ることが許可されていません。しかし、予想される制限が、1月初めに新しいテストが実施された後、何もなければ解除されるとギャロップオンラインは伝えています。このことから1月に英国に渡り、フランケルとの交配の予定が計画されたものと思われます。

デインドリームは、ブルメルホフ牧場によって生産され、2010年5月のBBAGブリーズアップセールでブルク・エバーシュタインのフォルツファミリーが9000ユーロの安価で購入、吉田照哉氏は昨年の凱旋門賞が行なわれる3日前に権利の半分を取得していました。凱旋門賞、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSなどG1・5勝を挙げたデインドリームの競走成績は、17戦8勝、3着4回です。

ジャパンカップ13着を最後に一足先にレースから引退しました今年の凱旋門賞馬ソレミアですが、このアイルランド産ポリグロート産駒の4歳牝馬は、ニューマーケット近郊にあるシェイク・モハメド殿下が所有するダルハムホールスタッドで繋養されているドバウィと種付けされる予定になっています。

アランとジェラールのヴェルトハイマー兄弟によって自家生産されたソレミアの競走成績は、14戦5勝、2着3回、3着2回。凱旋門賞他の重賞勝ちにはG2コリーダ賞があります。

ソレミアはG3クレオパトレ賞を勝ったシャーリーハイツ産駒の母ブルックリンズダンスから生まれた6頭のステークス勝馬の1頭です。G3・2勝のプロスペクトパークやG2グレフィーユ賞を勝ったプロスペクトウェルズの半妹にあたり、2010年の2000ギニーとジャックルマロワ賞を勝ったマクフィを輩出したドバウィとの交配は、父のスピードと母のスタミナが期待されています。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。