-ラジオNIKKEI杯2歳S-平林雅芳の目

トピックス


土曜阪神11R
ラジオNIKKEI杯2歳S(G3)
芝2000m
勝ちタイム 2.05.4

エピファネイア(牡2、シンボリクリスエス・栗東・角居厩舎)

涼しい顔でエピファネイアが無傷の3連勝!!

バッドボーイが逃げてキズナが2番手。しかしエピファネイアも離れず追走。前半からこの3頭の接近戦となっていった。4角を廻って最初に手が動いたのが3頭の真ん中キズナ。他の2頭はまだ涼しい顔でそう苦しくなっていない。直線残り1ハロンから、3頭のしのぎを削る戦いが繰り広げられた。エピファネイアが半馬身先にゴールに入った。エピファネイアは福永Jが左ステッキを入れたのかただ見せただけなのかの所作で、最後は手綱を絞るだけで前へと出ていく。大人びた競馬内容で、着差以上の強さを発揮して3連勝。来年の視界は良好、そんな印象の一戦であった・・・。

スタートで、最内のラウンドワールドが座りこむような恰好の時にゲートが開く。1馬身ぐらいの差が出る。隣りのリアルマイスターも躓く様な出方。外ではエピファネイアが出て外へとヨロける格好。でもすぐに体勢を立て直して影響はなし。赤い帽子に赤い勝負服のアクションスター、バッドボーイ、アドマイヤドバイのどれが行くのか。
バッドボーイが出て行き、アドマイヤドバイの外をキズナが上がる。最初の入りは14.0とかなり遅い。外からエピファネイアも上がって1コーナーに入って行く。少しキズナが頭を上げて行きたがるそぶりを見せるが、何とか抑える武豊Jだ。
静かに流れて2コーナーに入って行く時にはバッドボーイ、キズナ。そしてエピファネイアが外、内にはアクションスターと各々半馬身ずつの間隔となって廻って行く。まだまだペースはゆったりである。5番手にアドマイヤドバイでリアルマイスターとは1馬身少し開いている。最後方がラウンドワールドで向こう正面を通過。ラウンドワールドはこの後で内を突いて前へと進んで最後方が2頭、《前から8馬身ぐらい》と場内放送。
そして1000メートルを通過。前の5頭が1馬身ずつ等間隔で縦に並ぶ。そこから3馬身開いて後ろが2頭並ぶ。『バッドボーイが先頭で通過。66秒ぐらいで通過。ちょうど1分6秒で通過しました・・』と良く判らない言い回しのアナウンス。淡々と逃げるウィリアムズJのバッドボーイ。
3番手エピファネイアの福永Jが、背中をまん丸にして抑えながらも、キズナの半馬身外へと上がって残り800を過ぎる。さらに前3頭は体を接近して行く。すぐ後ろの2列めもアクションスターとアドマイヤドバイが並び、3列目もすぐ後ろに接近して、リアルマイスターとラウンドワールドが馬体を接して前を追う。

4コーナーのカーヴに先頭組が入って来た。カーヴを廻る時に、キズナの武豊Jが肩ムチを入れてゴーサインを出したのが伺える。外のエピファネイアは少しカーヴを大きく廻った感じだった。バッドボーイは逆に小さく廻って直線へと入って来た。内ラチにへばりついてバッドボーイが。キズナとエピファネイアはそこから少し開けた外目を並び加減だが、ややキズナが遅れをとりだしている。鞍上の手が激しく動き出す。
残り300のオレンジ棒を通過。内バッドボーイが少し遅れ気味。真ん中キズナが押して出るのか、いや外エピファネイアの脚色がいい。残り200のハロン棒を通過する時には、エピファネイアがクビぐらい出てキズナが2着かと思えたのだが、内のバッドボーイがまた息を吹き返して伸びて行く。
ウィリアムズJの右ステッキで伸びて、エピファネイアの勢いに匹敵する感じさえもある。キズナはその左右2頭の勢いに押されて、少し遅れ気味な感じだ。内で必死に追うバッドボーイを後目に、エピファネイアの鞍上福永Jは強め程度の手応えでレースを終えた。そこから永遠に離れてキズナと言った印象だったのだが実際には半馬身、クビの前の3頭であった。

『エピファニー』とフランス語で呼ばれ、『1月6日、キリストが神の子として人間の前に現れた』日。《公現祭》、キリスト教の祝日となっている。キリスト生誕の日である。
その1月6日には関西、淀では《シンザン記念》の日である。朝日杯2歳S、ラジオNIKKEI杯2歳Sに比べると、メンバー的には小粒になるのかも知れないが、過去このレースからダービー馬も出ている。注目の一戦となるのか。

話を本題に戻すと、エピファネイアは追い切りから福永Jがあまりテンションが高くならない様にセーブしている印象を受けた。その狙いどおりにパドックでは《これで大丈夫?》と思えたほどノンビリしていたが、馬場入場して返し馬に入った時にはスッカリといい雰囲気で走っていってた。もう完全に手の内に入れた感のある福永Jと、シーザリオの子供エピファネイア。いろんな事を教えながら進んでいる感さえ受けるものである。

26日朝にバッドボーイを管理する河内師が言っていたが、《けっこう生ズルイ馬だから、ああやっともう一度伸びるんだ~》と。賞金加算でジックリ使える強みもだ。
そしてレース後にキズナの佐々木晶師が《賞金加算が出来なかったから、来年に入ってどこか使わないと行けないな~》と・・。こうやってスケジュールが決まっていくのである。

勝ったエピファネイアは、楽勝な様で半馬身差。キズナが期待に反して大きく負けた様でコンマ1秒。今回は完成度の差だと思って、再度の戦いを楽しみにしたいと思う・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。