ヒットザターゲット、大金星だが正攻法での勝利だ!!…平林雅芳の目

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トピックス


13年10月6日(日)4回京都2日目11R 第48回 京都大賞典(G2)(芝外2400m)

ヒットザターゲット
(牡5、栗東・加藤厩舎)
父:キングカメハメハ
母:ラティール
母父:タマモクロス


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スタートはそんなに差がないのに、すぐに置かれだすゴールドシップ。ステッキを入れる鞍上の内田Jとゴールドシップ。それもはいつもの事と思って見てはいた。すると後ろにいたゴールドシップが、1周目のゴール板前過ぎにはもう前に位置している。向こう正面では前から5番手の外目にいる。3コーナーからの下りも追っつけどおし、これもいつもの事と、まだゴールドシップを信じている。最後のカーヴを廻って直線に入ってきた時に外からトーセンラーが被せる様に上がってきた。その直後に抵抗できていないゴールドシップ。今日は変だぞとやっと気が付く。

そんな前の2頭を観る様に、ヒットザターゲットが外にいたエクスペディションを弾き飛ばす様にして、進路を確保して出てきた。そこからひと追い毎に伸びていくヒットザターゲット。前を行くゴールドシップとトーセンラーを交して行く。少し後を馬群の真ん中から脚を伸ばしてきたアンコイルド。これの伸びも悪くなかったが、ヒットザターゲットの伸びには敵わない。
大波乱となった開幕週の京都大賞典。この秋には何かが起きるのかも知れない。そんな予感をさせる大波乱の結末であった…。


4コーナーのポケットからのスタート。内でデスベラードはゆったり。そして外、ゴールドシップが、もう鞍上が激しく叱咤激励している感じに見えるスタート直後だった。馬群から2馬身ぐらい遅れている感じだ。激しく手が動く内田J。ステッキをも揮っている様にも見える。
横一列の中からヴィルシーナが出て行く。内からアドマイヤラクティ、真ん中からトレイルブレイザーが前へと出てきた。その後でトゥザグローリーにニューダイナスティと、後続も前へと接近して馬群が固まりだして、1周めのゴール前を通過する。この時にはゴールドシップが外目からグーンと前へと接近してきた。

5番手につけて最初のカーヴを通過する。ヴィルシーナが内ラチ沿いを先頭、少し外へ離れてニューダイナスティが2番手。3番手に内からアドマイヤラクティが上がり、その外へトレイルブレイザー、ゴールドシップが並ぶ様に外にいる。その後の内ラチ沿いにヒットザターゲット、その真後ろにアンコイルド。馬群のゴールドシップの後ろにオールザットジャズ、トーセンラーはその後ろに位置している。最後方まで8馬身ぐらいで、珍しく固まっている馬群だ。

やや向こう正面に入ってから、縦に少しだけ長い隊列にはなったが、どの馬も前から1馬身とは離れていない。どの馬も手綱はピーンと張って、けっこうな流れと見える。
先頭ヴィルシーナに近づくニューダイナスティ。1000は1.01.4だが、その次のハロンが近づいた時にニューダイナスティが動きだす。前に接近して交して行く。5番手にいたゴールドシップが、瞬時に置かれるスピードアップである。
3コーナーのカーヴへと入って行く時に、もうニューダイナスティの和田Jは手綱をしごきながら先頭を奪って坂を下っていった。

坂を下って行く時に、ゴールドシップは前を追いかける様に追い出していく。先頭のニューダイナスティーとゴールドシップの2頭が追い出す恰好だ。ゴールドシップの後ろへトーセンラーが順位を上げる。そして最後のカーヴへと入ってくる。
ステッキを入れて促すゴールドシップ。カーヴを廻って直線へと入ってきた。白い馬体のゴールドシップの外へ黒いトーセンラーがピタっと馬体を併せてくる。残り300のオレンジ棒を通過の時には、確かにゴールドシップとトーセンラーは一瞬だけ先頭に立ったかも知れない。しかしその直後、トーセンラーの左後ろをこじあける様に、ヒットザターゲットが忍び寄っていた。今度は内のトゥザグローリーが先頭に立った様だったが、大外のヒットザターゲットの伸びが優る。そしてゴールドシップの内を抜けて来ていたアンコイルドも、凄い脚を使って急接近。
ヒットザターゲットとアンコイルドの追い合いとなる。際どい勝負になりそうな勢いだったのだが、最後にはクビ差ヒットザターゲットが先んじていた。馬群に沈んだのかと思っていたゴールドシップが、もう一度盛り返してトーセンラーとアドマイヤラクティと、一旦先頭のトゥザグローリーとの3着争いに加わっていたのにも驚きだった。

2400芝の前半は、まあ平均ペースな流れであろう。しかし後半の6Fは息の入らない流れになっている。3コーナーのカーヴに入る前からレースが動いて11秒台が続く。そんな流れで、ゴールドシップは前半から動いて行っているだけに、余計に辛い流れとなった様子だ。
しかし、何と言ってもヒットザターゲットとアンコイルドのレースぶりである。枠順どおりの内ラチ沿いでレースを進め、最後のカーヴでやっと外めに出てきている。セオリーどおりの競馬。インで脚を貯めて直線で爆発させる。正攻法の競馬をしただけなのである。各馬が動き過ぎてしまった様だ。無駄な脚を使わせないで、直線に賭ける。それをやっただけなのに、大金星と言われてしまう。終始、外々を廻るリスクが最後に出てしまう、そんな競馬の大きな基本を再確認させられたレースでもあった。

こう乗りますと言うのが判っているとファンも楽でいいのだが…、そんな事はゲートが開くまで判らないはずである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。