絶好の位置で折り合ったクールホタルビ、いい伸びで快勝!!

クールホタルビ

14年11月8日(土)5回京都1日目11R 第19回ファンタジーS(G3)(芝外1400m)

クールホタルビ
(牝2、栗東・清水厩舎)
父:マツリダゴッホ
母:プラセール
母父:ヘクタープロテクター

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シンフォニアが逃げてシゲルチャグチャグが2番手。前半の3ハロンが35.3のユッタリしたペースで進む。有力馬の位置が後ろめであったが、ダノングラシアスは直線で内から進路を真ん中へと変えて追ってきたが、半馬身届かず。先着したのは、3番手の絶好の位置でレースを進めていたクールホタルビ。横一線となった直線1ハロンで、いち早く抜け出していったもの。キャリアの豊富さを生かしたのか、今日はなかなかに強い競馬っぷりで2勝目を重賞で飾った…。


ひとつ前のダートのレースで、前半3Fが33.8で1000m通過が57.8と凄いペースで飛ばす先行争いで、前の馬が全部潰れた。そのすぐ後の競馬で、まして2歳戦。だからなのか2歳戦の外廻りが意識されたのか、このファンタジーSはかなりのゆっくりの流れで進んでいった。そんな遅い流れでも、有力馬は後ろでジックリと乗られていた。

この遅い流れの3番手、それも一番のゲートの出で先頭を切るのかと思えたところを、外からシゲルチャグチャグが、そしてダッシュがついたシンフォニアが出て行く。その3番手に納まったクールホタルビ。前の2頭から3馬身開けて先頭みたいな居心地のいいところ。
前の2頭が並び加減で行く坂の下りを、内ラチに沿って十分に脚を貯めるクールホタルビ。この時でもダノングラシアスは後ろから3列目で、前に9頭の馬がいる。レオパルディナはその外めでジワっと乗られている。

4角を廻って直線入り口。前の2頭は楽なペースで行っていただけに、まだまだ余力がある。一気に離しにかかる。そこでパカっと開いた3番手の外め。そこをクールホタルビが楽に出てきて、ラスト300mの赤い棒を通過。ここでもまだ先行馬とは2馬身とあるが、まだまだクールホタルビは仕掛けない。

小牧Jは、ラスト200mのハロン棒を通過したのと同時ぐらいに手綱を緩める。その後、右ステッキを小刻みに数発入れる。すぐ後ろでは内から外へと出してきたダノングラシアスが伸び出してくるが、一瞬の間につけられたクールホタルビとの差を詰められない。1馬身あった差を、もう少し詰めたところがゴールだった。
レオパルディナは大外から脚を伸ばしてきたが、前を交す程の脚色まで行かない伸びだった。

絶好の3番手でレースを進めたクールホタルビ。追い出しの瞬間を絞るだけ絞って、それから一気に爆発させた小牧J。おそらく道中の感じから、この結末は予測していたのではなかろうか。そのとおりに伸びたクールホタルビもさすがだった。

新馬を勝った後に、函館2歳Sへ遠征。函館2歳Sは使っている馬達の結末となって思ったほどの成績を挙げられなかった。だが今度は小倉戦に矛先を向けて、フェニックス賞ではレオパルディナに負けたが、2着は確保。そして前走の小倉2歳は、大外枠を引いて万事休す。今回が5戦めと、抱負な経験を生かしての道中の位置取りでもあったか。キャリア勝ちと言える一戦であったのではなかろう…か。

火曜の朝に、坂路の小屋で橋口師が報道陣の取材に対して『先週の東西の2歳重賞戦の結果を観ても判るとおり、この時期の2歳戦なんてやってみないと判らないものだよ』と、自分を戒めているかの様に語っていた。
本当、つくづくまだ2歳の秋である。何が起こっても不思議でないと感じいるものでした…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。