メジャーエンブレムが圧勝、ルメールもお待たせのG1勝利!

メジャーエンブレム

15年12月13日(日)5回阪神4日目11R 第67回阪神ジュベナイルF(G1)(芝外1600m)

メジャーエンブレム
(牝2、美浦・田村厩舎)
父:ダイワメジャー
母:キャッチータイトル
母父:オペラハウス

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パドックを見ていて、1頭だけ大人の馬がいる。そんな雰囲気を持つメジャーエンブレム。ユッタリと周回している。小柄な牝馬が多い中で、堂々たる立ち居振舞いで歩く。そしてゲートセンスの良さも光る。空いた瞬間にポンと1馬身は前にいただろう。主導権を握るレースがいとも簡単に成立。あとは脚を貯めて最終コーナーを廻り一気に加速していった。
2馬身差であったが、実際にはもっと着差があるように感じる完全なる勝利。クリストフ・ルメールJが、日本での通年免許を貰ってから初めてのG1勝利となった。

いつもどおり、パドックにはひとレース前から来て見ていた。初めて見る関東馬などこの目で特徴、印象を知っておくのもひとつ。パドックへ入場する処から見たいものである。
けっこうな数のファンが取り囲む。注目していたのは、クードラパン。だがひと目みた途端にガッカリする。尻尾が短い、それも極端に短すぎるのである。過去にも短くとも走った馬は知ってはいるが…。アットザシーサイドは、小さい馬だが悪くない。〇をつける。隣のペプチドサプルも良く見える。外ではデンコウアンジュが落ちついている。ブランボヌールは、気持ちをギリギリ我慢している様に見えた。ウインファビラスは《ああ~、芦毛なんだ…》とチェックしていた。返し馬も見て、メジャーエンブレムの雰囲気が《いいな…》と結論づけた。

ファンファーレと同時に手拍子だが、いつも程には大きくない。牝馬2歳戦を意識していたのか。固唾を飲んで見守るゲート。
開いた瞬間に、メジャーエンブレミムが前にいた。デンコウアンジュ、ウインファビュラス、キャンディバローズの外の方が、出があまりよくなかった。メジャーエンブレムが、まるで逃げ馬であるかの様に先手を楽に取れて、1ハロンまで単走で先頭を行く。外をチラっと見るルメールJである。メジェルダが行くのかと見ていたのだが、その先をキリシマオジョウが出てきて、内外を離れて一番前に出た様だ。クードラパンにジェントルハート、キャンディバローズらが3列目に並ぶ。最後方にペルソナリテでその1頭前がメイショウスイヅキで、2ハロンを過ぎて行く。3コーナーのカーブに入っていくあたりでメジェルダが2番手で、内にメジャーエンブレムが楽な手応えでいる。

ラスト800を通過するあたりで、先頭のキリシマオジョウが変な動きをしている。外へでも逃げそうな感じだ。メジェルダが抜かして先頭となる。内ラチ沿いをメジャーエンブレム。その間をキリシマオジョウが下がりつつある。2列目の外にデンコウアンジュが上がってきており、その後ろにウインファビラスが虎視眈々と待っている。先頭から最後方までそう差もなくなり、最後のカーブに入っていく。全部の馬が姿を現す。最内のメジャーエンブレムが、持ったままで来ている。カーブを勢いをつけてブランボヌールが押しあげて来ていたが、まだ前との差がけっこうある。

内廻りのラチが再び近づいてきて、メジャーエンブレムが僅かにリード。まだルメールJは追っていない。クロコスミアが最短コースで前との差をだいぶ詰めては来ているが、勢いが増さない。
ラスト1ハロンが近づいた時に、ルメールJの左ステッキが1発入った。2番手グループのキャンディバローズ、デンコウアンジュとは3馬身近い差となっている。外からウインファビラスが伸びてきた。
ラスト100のオレンジ棒を過ぎるあたりで、今度は右にステッキを持ち替えたルメールJ。3、4発と入れてゴールを迎えた。2着にはウインファビラスで、3着にブランボヌール。その後にペプチドサプルとアットザシーサイドが競っていた。

さすがに最後の1ハロンは12.6。だがそれまでのラップが、終始11秒台。2馬身の余裕を持ってメジャーエンブレムが戴冠となった。
スタートを決めて、好枠を最大限の武器として内ラチ沿いを完璧な乗り方で勝利に導いたクリストフ・ルメールJ。今年は惜しい2着とかが多かっただけに、格別なG1勝利であっただろう。そして2着にも関東馬。東のワンツーである。これも今年の傾向を示していたと言えるもの。これで2歳女王はダイワメジャー産駒のメジャーエンブレムで、この勝利は父の賞金王をも決定させるものだった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。