【有馬記念】ラストランの騎乗にシップ内田博「騎手冥利に尽きる」

23日、日曜中山10レース・有馬記念(G1)の追い切りが栗東トレセンで行われた。前走、ジャパンC10着のゴールドシップ(牡6、栗東・須貝尚厩舎)は、2週連続で栗東入りした内田博幸騎手を背に坂路へ入り、2歳未勝利のレッドヴェルサスを0.3秒追走。皐月賞、有馬記念、宝塚記念と3つのタイトルをともにした鞍上は、その乗り味をジックリと味わいながら徐々に加速すると、楽な手応えのままパートナーを捕らえ、貫禄を見せ付けるように0.2秒先着。4F53.2-38.1-24.8-12.5秒を叩き出して現役生活最後の追い切りを終えた。

6つのG1タイトルを含む13勝を挙げ、13億円を超える賞金を獲得したゴールドシップもいよいよラストラン。3歳時の有馬記念、宝塚記念2連覇など圧倒的な強さを見せたと思えば、度々ゲート入りを嫌がり、単勝1.9倍に推され、3連覇がかかった今年の宝塚記念ではゲートで大きく立ち遅れ、人気を裏切る形となった。しかし、それでも「出遅れるのは想定内」「ゴールドシップだから仕方ない」と許されるキャラクターは長い競馬の歴史でも極めて希な個性派だ。

コンビ復活が発表されたあと、歴史に残る名馬の現役最後のレースで騎乗できることについて、感謝の言葉を何度も口にしていた内田博幸騎手。敗れたとはいえ、前走のジャパンCではスムーズにゲートを出て、4コーナーの勝負どころではゴールドシップらしさも垣間見せた。ここ2年はラストランを迎えた馬が連勝中。ファン投票3年連続1位の支持を受けて、黄金の船が最後の航海に出る。

ゴールドシップ



12月27日(日)、中山競馬場で行われる有馬記念(G1)の共同記者会見が栗東トレセンで行われた。
ゴールドシップ(牡6、栗東・須貝尚厩舎)に騎乗する内田博幸騎手の一問一答は以下の通り

●潜在能力を信じ「不安はひとつもない」

-:先週、今週と馬に跨がってみての印象というのはいかがだったでしょうか?

内田博幸騎手:久しぶりにゴールドシップの背中に跨がって、傍目では「だいぶ白くなったな」という感じはあったのですけど、上から跨がってみた時に「いや、随分白くなったな」と思いまして(笑)。調教しても凄く大人になった部分と、変わりないなという部分もあって、この馬の成長とヤンチャぶりが残っているのとで、改めて自分はいい馬に乗せてもらっていたのだなと実感しました。

-:実に2年ぶりの手綱ということになるのですが、走りという部分では成長しているという部分もあるのでしょうか?

内:僕が乗っていない時もレースはビデオで見てたり、一緒のレースに出ていたりもしたので、破天荒なレースをするのがゴールドシップという感じがしますね。強い時は強いし。そういった強いゴールドシップの走りを見せられればいいのかなと思っています。まだまだ元気一杯だと思うので。

ゴールドシップ

-:2週連続で追い切りに跨がって、力を出せる状態にあるとジョッキーも感じていらっしゃるでしょうか?

内:そうですね。いい状態で迎えられてきているので、当日もそういった形で迎えられれば、決して前回がどうのこうのという馬ではないと思います。常識にかからないレースをしてくれるので、潜在能力は素晴らしいものがあるので、不安はひとつもないです。

-:中山2500mはゴールドシップも強さを見せてくれている舞台だと思うのですが、内田騎手が考えるコースのポイントはどんなところになってくるでしょうか?

内:企業秘密ですね。これを今言ったらみんなに分かっちゃうので、さすがに今は言えないですけど(笑)。中山は勝っているから相性がいいとイメージされているのかと思いますが、ゴールドシップはどのコースでも勝っているのでね。特に中山はG1を2つ勝っていますし、余計そういうふうに見られがちかもしれませんけども、普通にこの馬の能力で駆け抜けてくれれば2012年の有馬記念を勝った時のような走りを出来ると思いますし、これだけ支持されて、人気のあるゴールドシップを最後に乗せてもらえるというのは、騎手冥利に尽きるというか「最後は内田くんで」と先生が言われた時に、またゴールドシップとコンビを組めるのだなという、嬉しさが沸いてきました。

-:内田騎手にとってもケガから復帰してコンビを組んで、そこから階段を駆け上がっていって、本当に思い入れの深い1頭だと思うのですが、その馬と迎えるラストランです。

内:騎手人生の中で、僕だけじゃなく、騎手としてこれだけの馬に乗ることというのは、ほとんどの騎手がないのですけど、こうやって自分が素晴らしい、ファンにも凄く愛されて、人気のある、ましてや有馬記念で1番人気になるくらいの馬に乗れるなんて、本当に騎手として幸せかなと思います。

-:ファン投票1位でのラストランとなりました。本当に応援してくれるファンの皆さんも多数、中山に詰めかけると思うのですが、ファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

内:今回、有馬記念でゴールドシップは引退レースになりますけども、夢はまだ続いていくと思うのです。ゴールドシップの子どもが数年後に活躍してくれると思うのですが、先生も僕もゴールドシップのことをよく知っていて、他の人たちよりも手の内を知っているから、やりやすいのではないかと思っているのでね。ゴールドシップの子どもで今度は日本ダービーを勝てるように、それを夢見てます。

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晴れやかな笑顔で会見に臨んだ内田博幸騎手