中長距離戦線に新風を巻き起こす! 底知れぬ上がり馬クリプトグラム

●5月29日(日) 2回東京12日目12R 第130回目黒記念(G1)(芝2500m)

14万人近い大観衆が詰めかけたダービーデーを締めくくるのは130回を迎える伝統の一戦目黒記念。今年、勝利の凱歌をあげたのは、わずかキャリア8戦の4歳馬クリプトグラム(牡4、栗東・藤原英厩舎)。昨年の同時期は500万クラスで休養に入っていた良血が、G1ホースを抑え、3連勝で初の重賞タイトルを手に入れた。

人気は昨年のエリザベス女王杯を制したマリアライト、そこで3着に入ったタッチングスピーチの牝馬2頭。強豪牡馬を相手に好走していることも手伝っての人気だったが、重賞初挑戦のクリプトグラムはそれに続く3番人気で、ニューヒーロー誕生に対する期待の大きさもうかがえた。

レースは道中、淡々とした流れの中、マリアライトの直後でマークする形に。余裕十分の手応えで直線、外に持ち出すと、内にいた有力各馬を飲み込み、最後まで抵抗したマリアライトをねじ伏せてゴール。手綱をとった福永祐一騎手からは「一気にメンバーが強くなりましたが、よく頑張ってくれました。マリアライトを見ながら、良い感じで運べました。先頭に立ってからソラを使うところもありましたが、立派な内容でした」と笑顔がこぼれた。

母は京都牝馬Sを勝ったチアズメッセージ、近親には重賞2勝のチアズブライトリーがいる良血。骨折でクラシックとは無縁だったが、年が明けて、その悔しさを晴らすかのように3連勝。前走の大阪-ハンブルクCは格上挑戦でオープンの壁を突破。今回は重賞の舞台でG1ホースを破って見せた。「調教から良くなってきていましたし、それが競馬でも出てくれました。これからの馬ですし、先が楽しみです」と鞍上も大きな期待を寄せる。

今後は別定、定量戦で更に相手も強化されていくだろうが、キャリア面からもまだまだ伸びしろは十分。ダービーデーを締めくくった上がり馬がG1の舞台に姿を見せる日はそう遠くはないはずだ。

目黒記念

目黒記念

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