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ダイヤモンドを輝かせたルメール涙浮かべ「ゴールした瞬間勝ったと思いました」
2016/12/25(日)
9万を超える大観衆が地鳴りのような声援で暮れの大舞台の盛り上がりを演出する。史上最強世代との呼び声高き3歳世代からは菊花賞馬サトノダイヤモンド(牡3、栗東・池江寿厩舎)が出走。3強と呼ばれた1角が満を持して古馬との初対戦を迎える。
11番ゲートから五分のスタートを切ると宣言通りマルターズアポジーがハナを主張。「逃げる馬もはっきりしていましたし、外目の枠を引きましたので、4、5番手に付けられればとジョッキーとも話していました」とレース後に池江寿調教師が振り返るも、スタンド前は前から8番手の内から3頭目のポジションで通過。
少し促す素振りを見せるルメール騎手は「良いスタートをとった後、すぐにリラックスしてマリアライトの後ろ、いいポジションに付けられましたが、僕の馬が外だったので、ちょっと位置を上げようと思いました」と語り、1角を曲がる頃には5番手までポジションを上げ、キタサンブラックとゴールドアクターをしっかり視野に入れた位置取り。少し行きたがる素振りを見せ「序盤は少し後ろの位置取りでしたし、徐々にポジションを上げたときに少しエキサイトしましたね。ハミを噛み、これは厳しい競馬になると覚悟したのですが、うまくなだめてくれました」と池江寿調教師は鞍上の手腕を褒め讃えた。
1000mは1分1秒0で通過。やや緩めのラップを刻み、先行勢に有利な展開。それを察したのか、キタサンブラックのすぐ後方までポジションをあげる。同じ勝負服のサトノノブレスが3角付近で前を行くキタサンブラックに並びかけ、一気にレースは動き出す。ルメール騎手は「4コーナーでゴールドアクターが外に行きたい感じだったので、内からプレッシャーを感じました。ダイヤモンドの反応はちょっと遅かったですね」と振り返ったように、キタサンブラックとゴールドアクターが並んだ状態で直線に入り、その1馬身後ろからサトノダイヤモンドも末脚勝負にかける。
「キタサンブラックは馬体が合ってからひと伸びするので、クリストフにも離れたところから交わしてほしいと伝えていたんです。イメージどおりでしたよ」と池江寿調教師が警戒していたように、ゴールドアクターと並んでからキタサンブラックはもう一伸びを見せる。完全に抜け出したかに見えたが、残り100m付近でもう一段ギアを上げたサトノダイヤモンドが飛び込んで来る。
「直線に向いてしっかり伸びてくれたので、ゴールまで良く頑張ってくれましたね。キタサンブラックもすごかったですね。良いハートを持っている馬です。ゴールした瞬間、勝ったと思いました。でも、着差を見てクビ差だったのでビックリしました。もっと差が小さいと思っていました」とルメール騎手はライバルを讃えながらも喜びを爆発。検量室前に戻ってくる頃には潤んだ瞳で関係者と喜びを分かち合った。
自身の有馬記念制覇は05年に史上最強馬ディープインパクトを破ったハーツクライ以来。「ハーツクライの時は日本で初めてのG1勝ちで、ジャパンCのリベンジという感じでした。今年は日本での騎手生活もありましたから、ちょっと違う気持ちでした。サトノダイヤモンドが大好きです。厩舎スタッフがいい仕事をしてくれました」と愛馬の健闘に満面の笑みを見せてくれた。
里見オーナーはこれで3週連続のG1制覇。この勢いはもはや誰も止める事は出来ないのか。期待すべきは来年の凱旋門挑戦、そして、日本馬悲願の制覇だ。「来年は凱旋門賞に行く予定みたいですが、行けると思います。彼は頭が良いし、スタミナもあります。良いポジションをとることも出来ますし、彼は優等生タイプですから、いいコンディションであれば好勝負できると思っています」自身は今年の凱旋門賞で思うような結果を残せなかっただけに、リベンジの気持ちも強いのだろう。
まだまだ成長が楽しみなサトノダイヤモンドだが、池江寿調教師は「春よりだいぶ良くなっていますが、まだ背腰に緩さが残る状況です。芯が入れば、もうひとつ上のギアが伴ってくるでしょう。本物になるのは来年の秋。ダービーの後に体調が整わず、今年は凱旋門賞への挑戦を見送りましたが、来年が楽しみです。春は国内に専念しますが、凱旋門賞から逆算してローテーションを組みます。無理使いをせず、背腰をケアしながら、じっくり、しっかりと育てていきたいですね」とすでに凱旋門賞挑戦を明言。
そして、13年のオルフェーヴル以来となる有馬記念制覇を飾った師は「幼いころより、有馬記念が大好きでした。これで4回目の優勝となり、思い入れも一番あります。その都度、喜びは違い、今年は古馬のトップホースを相手にサトノダイヤモンドで勝つことができました。調教師冥利に尽きます。毎年、有馬記念を盛り上げていきたい。そして、こんな感激を何度も味わいたいですよ」これまでとはまた違った喜びを感じている様子。
暮れの大一番で1番人気に支持された事に対しルメール騎手は「今日はサトノダイヤモンドがスゴい人気になっていましたが、皆さんの応援のおかげで勝てました。本当にありがとうございます。来年も楽しみですが、うまくエスコートしてあげたいと思います」とファンへの感謝を語る。
これまで多くの名馬を生み出してきた有馬記念。ニューヒーローの誕生に多くのファンが酔いしれた。有馬記念の売り上げは449億257万2000円で、前年比107.9%を記録。日本中が注目する1戦でサトノダイヤモンドが競馬サークルの中心に立った。いざ、凱旋門賞制覇へ、まだまだサトノダイヤモンドの夢は始まったばかり。
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