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外を真っすぐ伸びるラビットラン、脚が違った!!【平林雅芳の目】
2017/9/20(水)
17年9/17(日)4回阪神4日目11R 第35回ローズS(G2)(芝1200m)
- ラビットラン
- (牝3、栗東・角居厩舎)
- 父:Tapit
- 母:Amelia
- 母父:Dixieland Band
台風18号の影響はまだそんなになかった日曜の阪神競馬場。時折風が吹き抜けるが、馬場コンディションは、むしろ土曜よりも数段上のレベルでのレースとなった。 カワキタエンカがマイペースの逃げ。それをマークした組が意外と伸びない直線。そのまま押し切るのかと思えたところへ、外から目の覚めるような脚で来たのが外国産馬ラビットラン。ゴール前では流し気味の勢いで、芝は2戦2勝と秋華賞の最大の惑星となりえるのか。3着はハナ・クビの大接戦となったが、リスグラシューが存在感ある脚を使って確保。上位人気馬で馬券に絡んだのはこの馬だけと、荒れた秋緒戦であった…。
いつもの如く前のレースの観戦は捨てて、パドック入りから馬の雰囲気を観たいと待ち受ける。やはりファンも同じ気持ちなのか、けっこうパドック廻りは混んでいる。夏を越してどれだけ馬体に成長があるのかをこの眼で見たい、そんな気持ちで必死に馬をみつめる。 休み明けの馬が多く、けっこうテンションの高い馬が多い。そんななかで落ち着いている馬をメモしておく。
レーヌミノル、カワキタエンカがおとなしい。ファンディーナは少しうるさい程度でまだましかとチェック。《30キロぐらい増えてます》と中間で高野師から聞いていたので、驚きはしない。栗東で見る時はけっこういい体になり脚の長さが目立たなくなったと思っていたのだが、目の前を歩く姿はやっぱり脚が長い馬である。 リスグラシューは栗東で何度も見ているが、やっぱり腹目が細いラインだ。おとなしいのは悪くない。馬場入りを見るために、早めにパドックを後にする。
先に2頭ばかりが、馬場に入って1コーナーを廻っていく。モズカッチャンが馬場入りしてから落ち着きだした。悪くないとメモる。 キャンターで過ぎ去っていく馬を観たりして、レーヌミノルがいいと結論を出す。レーヌミノルが◎で、モズカッチャンとファンディーナが〇か。リスグラシューが地力で抑えかなと予想してみる。ミリッサは馬場入りしてましになったが、ミスパンテールはひどかったな、買う気にはなれないと結論する。そんな見立てを立ててゲートを待つ。
外枠が速かったようだ。カラクレナイから外の4頭が前に出た。すぐにカワキタエンカが前に出て、内へと入ってくる。1ハロンを過ぎて1馬身リード。モズカッチャンも好枠を利して前のグループにいる。ファンディーナとレーヌミノルは並んで8頭目、前から4列目ぐらいの外目だ。 カワキタエンカの後ろが、少し前から差が出て3Fを迎える。34.6は平均ペースだ。それでいて縦長、最後方のブライトムーンとは相当差があった。2番手ヤマカツグレースと3番手ブラックスピーチは等間隔、2馬身ぐらいずつ。ファンディーナが6頭目に上がっている。それをマークする様にレーヌミノル。後ろに眼をやるとリスグラシューは後方の6頭目。すぐ後ろの外にラピットラン。その2頭後ろにミリッサで、最後方のブライトムーンだけが3馬身離れている。
カワキタエンカの後ろのヤマカツグレースが最も接近したのが、1000m標識の少し前。この間のラップが12.2と、このレースで一番遅い流れとなった時である。場内アナウンスが『1000m通過が58.5』とアオる。流れが速いと、数字で読んだのだろう。だが実際は平均ペースな流れと数字は語る。ファンディーナとレーヌミノルが、間隔を詰めて行く。そして4コーナーへと入って行く。
ファンディーナが、一気に前に取り付いてきた。レーヌミノルの外へメイショウオワラの姿も見える。 内廻りと外コースのポカっと開いた空間を通って、再びラチが見えだす。ラスト300のオレンジ棒を前にして、ファンディーナの岩田Jが先に追い出す。まだカワキタエンカが1馬身前にいる。横山典Jも左ステッキを1発入れた。外にいたレーヌミノルが伸びない。メイショウオワラの方が伸びる。 そしてその外へラビットランが来ていたが、脚が違う。内ではモズカッチャンが顔を覗かせているが、伸びがさほどではない。
ラスト00を過ぎてもカワキタエンカが先頭で、ファンディーナの方がむしろ止まった。そしてラビットランの脚が冴えわたる。内へもたているのか、和田Jが最後は右にステッキを持ち替えた時にカワキタエンカを交わした。ラスト20mあっただろうか。カワキタエンカが内で粘って2着。その後ろを3頭が馬体を並べて入ったが、一番外のリスグラシューが、ミリッサとメイショウオワラを交わして前に出たのを確認して階段を急いで下りた。
ふと、和田Jはモズカッチャンを選ばずしてこの馬を選んだのかと思いたつ。当事者に聞くのが一番とエージェントに電話するが、繋がらない。最終レースで検量室に入ろうとしていた和田Jに声をかけてしまう。『あの馬を選んだのか~』と。すると笑顔で彼は、『いやいや、そうではないんですが、乗ったらこの馬、走るなって前回で思えたから良かったですわ…』と入っていった。神はちゃんと見ているのかな~なんて思いながら帰路についた。 横山典Jが引き上げる時にも、話は出来た。結論は、勝った馬は強いとのこと。いや~本当に何が来たのかと思えたほどの脚だったが、PVで後から見ると3着のリスグラシュー、4着のミリッサとほぼ同じ位置にいたラビットラン。後ろには2,3頭もいないポジションであった。それが直線では凄い脚、次元が違う脚を見た思いだった。JRAの発表では33.5の脚だそうだ。
パドックでのメモを見直すと、ラビットランのところには《うるさい》としか書いてない。今日のパドックでは、うるさい馬がかなり多かった。馬場に入って返し馬を見ていると、一番いいなと思ったのがレーヌミノル。そしてモズカッチャンもいい、後はファンディーナかななんて思っていた。パドックで見ても馬場入りしても、1,2着の馬には辿りつかない目線である。リスグラシューにいたっては《細いな~》とため息とともに口から出ていたほど。
秋華賞は、カーブが4回ある京都の内廻り2000芝。トライアル戦は関東馬の参戦がなかった。関東には一番強い牝馬がいるが、ラビットランの走りはなかなかのもの。本番は面白い戦いになるな~と帰路に着きました。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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