【日経賞】再度頂点目指すアスクビクターモアの"相棒"に聞く素顔

23年緒戦を迎える菊花賞馬アスクビクターモア

23年緒戦を迎える菊花賞馬アスクビクターモア


■日経賞
アスクビクターモア(牡4、美浦・田村厩舎)
高木大輔調教助手

——アスクビクターモアが日経賞から始動します。まずは去年の菊花賞について、レースに向かう過程から振り返っていただけますか。

高木助手(以下、高):ダービー3着後に放牧へ出して牧場でしっかりケアしてもらって、秋はセントライトから菊花賞へ向かうローテーションを予定しました。セントライトは負けて悔しい思いをしましたが、そこを使った後に馬がアップデートされた手応えを調教でも感じましたし、状態としては上向いた感じで臨めました。

——2番人気に推されましたね。

高:セントライトで負けたガイアフォースが1番人気でしたが、送り出す側からすると春先に戦ってきたメンバーや着順を考えるとここで負けてはいられないという気持ちでした。

——強い気持ちで送り出されて。

高:やっぱりここで春のクラシックに参戦しなかったガイアフォースに連敗すると、春先戦ったイクイノックスやドウデュースといった馬達の評価にも繋がると思いましたし、ライバル達に失礼にあたるというか。この菊花賞をキッチリ勝って「あのアスクビクターモアをダービーで負かしたイクイノックスとドウデュースってどんだけ強いんだろう」と競馬ファンに思ってもらいたいなと。

またダービーの1、2着馬が出ないことでレースレベルを疑問視するような声もチラホラ聞こえていましたし、そういうものを払拭したいという思いを持ちながらしっかり仕上げました。

——レースを振り返ってください。

高:セイウンハーデスはある程度行くだろうとは思っていましたが、アスク自体は相手がどうというより自分の競馬に徹して走れることがストロングポイントなんですね。そのいつも通りのレースで勝ち切ったのはさすがですし、私自身先ほど話したような気持ちで臨んでいたので、結果を出せて本当に良かったです。

——高木さんは調教担当としてアスクビクターモアにずっと乗っていらっしゃいますが、去年1年を通じて馬が変わったこと、成長したと感じるのはどういうところでしょうか。

高:元々パワーがあるのは分かっていましたが、あまりにパワーがあるので、最初の頃は気性面などで馬のコントロールが難しいところがありました。弥生賞も勝ちましたが、あの頃はまだ馬に力みがあってスタミナロスも見られました。

それで私は調教面からアプローチして、レースでは田辺騎手が続けて乗って馬にガマンを教えていったことで、良い方に向いていきました。ダービーへ向かう頃には馬自体に自制心が出てきましたし、スタミナを生かせるような走りが出来るようになっていました。

★

——高木さんからご覧になって、性格などアスクビクターモアはどんな特徴のある馬でしょうか。

高:ひと言で言うと「俺様キャラ」ですね。今でこそ人間に対して譲ってくれる部分がありますけど、本来我が強いタイプです。気分を損ねないようにしないと、大変なことになりそうな感じはあります。さっき人間に対して譲ってくれるって言いましたが、それも「言うこと聞いてやるよ」という感じなんですよね。上から目線というか、なんせお坊ちゃんなんで(笑)。

——面白いキャラですね。さて今年初戦の日経賞を迎えます。この中間の調整では気を付けているのはどういうところでしょうか。

高:気を付けるところはありません。これは上のクラスで活躍する全ての馬に対しての自分なりの解釈ですけど、そういうレベルの馬は普通でいるのが1番だと思います。ここがこうなれば、あそこを変えようとか人間があれこれやらなくても、勝手に馬が強くなっていくんですよね。

これは私が調教を担当したメジャーエンブレムから学んだことのひとつですし、他の人がどう考えているかは分かりませんが、自分の解釈としてはアスクビクターモアのような馬は普通でいれば十分だと思います。

——日経賞へ向けての見通しをお願いします。

高:3歳時の戦歴を見ると、セントライト2着から菊花賞をキッチリ勝ったり叩き良化型かという感じで、本来使いながら良くなっていくところがあるかと思います。ただ3歳時は年間通じてクラシックに合わせた番組選びをしていましたし、そのなかで馬の適正条件を探っているような状態でしたからね。

今回は同じ休み明けでも、アスク自身に合った番組選びが出来ている分のプラス面はあるでしょうし、まずはG1馬として恥ずかしくない競馬が出来ればと思っています。