指示は超的確!?"恩師"小桧山悟元調教師との思い出

成瀬琴(以下琴):ジョッキー以外の職業に就くとしたらどんな仕事を選んだと思いますか?

原優介騎手(以下優):僕はデータをすり合わせるのが好きな性格で、こうしたらこうなる、という統計を取るのが好きなんです。どの仕事でも活かせる部分だと思うので、与えられた仕事に夢中になるのかなと思います。

琴:子供のころの夢は何でしたか?

優:海上保安官でしたね。"海猿"という作品を見ていた影響です。水泳もやっていましたので。

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琴:水泳は結構やられていたのでしょうか?

優:そうですね、中学の時は都大会の決勝まで進みました。種目は200mのバタフライです。バタフライは身長ではなく回転数が大事なので。他の種目だと身長差で負けてしまうんですよね。

琴:水泳選手という道は考えなかったのでしょうか?

優:現実的な話をすると、水泳の先生が思ったより稼げないというのを中学校の序盤で知ってしまったんです…。なので水泳選手という選択肢はなくなりました(笑)

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琴:今も水泳はされることあるのでしょうか。

優:今は全然泳いでいないです。あんな苦しいスポーツはもう二度と(笑)

琴:泳ぎたいとはならないのでしょうか?

優:ならないですね。奥さんに言われて、近所にある50mプールをバタフライで泳いだ時に肩が回らなくて(笑)。馬乗りに使う筋肉とは使う筋肉が全然違うので、次の日首回りが筋肉痛になりました。

琴:奥さんに泳いでみてよと言われたのでしょうか?

優:そうなんです。「たまには泳いだ方がいいんじゃない?」と言われてやったんですけど、本当に水泳やっていたのかな?というくらい泳げなくて、奥さんから「酷いもんだね…。水泳やってたってウソじゃないよね?」と言われてしまいました(笑)

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琴:逆に見てみたい気がします(笑)。他の競技のスポーツ選手の方とは交流はあったりするのでしょうか?

優:Jリーガーの平川怜選手(東京ヴェルディ)とは中学校の同級生で、SNSでお互いに活躍したらメッセージを送る仲ですね。2人のスケジュールが合うことはほとんどないので、なかなか会えていませんが…。

琴:話は変わりますが、先週公開したインタビュー前編でウィルソンテソーロについてお聞きしました。ウィルソン以外で印象に残っている馬はいますか?

優:トーラスジェミニですかね。僕が初めてリステッド(21年東風S)を勝ったのは思い出深いです。当該週に調教に乗せてもらって、レースも乗れるかなと思っていたら田辺(裕信)さんが騎乗することになって。

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そしたらレース直前で田辺さんが落馬してしまい騎乗できなくなり、ピンチヒッターとして乗ることになったんです。オッズがめちゃくちゃ上がってしまったのも印象的でしたが(笑)、逃げ切り勝ちすることができて。拾ってもらった小桧山先生の馬でオープンを勝てたことが本当に嬉しかったですね。

琴:レース後、小桧山元調教師から何か言われましたか?

優:「凄いよ!お前よくやったなぁ!」と珍しくちゃんと褒めていただきました(笑)  

琴:現役・引退問わず一度乗ってみたい馬は何ですか?

優:キングズガードですね。僕は追い込み馬が好きなんですが、あの馬の豪脚は凄くて。僕が競馬に詳しくなる前に記憶にあるのがオルフェーヴルとキングズガードなんですよ。僕好みの馬です。一回乗ってみたかったですね。

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琴:追い込み馬となるとブロードアピールなどを思い浮かべる方が多いと思いますがキングズガードはなかなか渋いところかもしれませんね。

優:キングズガードの体型とか見た目も好きなんです。筋肉質というか、ああいうバランスの馬が好きなんです。

更なる飛躍へ!抱く2025年の目標

琴:ドバイのメイダン競馬場で騎乗されていますが、その他、海外で乗ってみたいレース、競馬場はありますか?

優:あまりないですね。海外で乗りたいというざっくりとした願望はありますけど、この競馬場で乗ったら気持ちいいんだろうなと思うことがなくて。

というのも、日本の競馬場はめちゃくちゃ整備されていて安心安全なんです。日本の競馬場は大変満足いくもので、わざわざ海外の競馬場で乗りたいと思うことはないですね。

琴:最近は若手騎手の海外の長期滞在が増えていますが、そういうプランはありますか?

優:日本のジョッキーなので、長期滞在するとしても日本でちゃんと結果残してからと思っています。今のところ海外遠征をやらなければいけないとか、やりたいなとあんまり積極的には思っていないです。

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もしジョッキー生活の後に調教師を目指すとか、他の選択肢が出た時には、知識を広げないといけないので海外で学ぶべきかなと思っていますが、現状はそういう風にはまだ考えていません。まずは日本で結果を残すべきだと思っています。

琴:先ほどもお話がありましたが、小桧山元調教師から言われた言葉で心に残っていることがあれば教えてください。

優:僕、競馬で小桧山先生から唯一指示をもらったのがトーセンメラニーで2勝クラスを勝った時(23年1月7日中山12R・4歳上2勝クラス)なんです。「返し馬で馬の機嫌を取れよ」と言われたので、返し馬でご機嫌を取るように乗ってレースに挑んだら鮮やかに勝ってくれたので、的確な指示だったなと思いました。

ポジションを取れとかの指示ではないですし、そもそもそういう指示をされることがなかったので、小桧山先生からはこれが最初で最後の指示でした。本当に馬をよく見られているんだなと、普段よく見ているけどあえて言わないだけなんだなと思いましたね。

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琴:今でも小桧山先生とは連絡を取り合われているのでしょうか。

優:もちろんです。先生も定期的に美浦トレセンにいらっしゃるので。何でもない話をしています。競馬の話は全くしないですね(笑)

琴:少し話は変わりますが、今年期待している馬はいらっしゃいますか?

優:ホーエリートに期待してます。今日(取材日は4月9日)追い切りに乗ったんですけれど、めちゃくちゃ抜群で、課題としていたところも成長と共に埋まり、乗るにあたって不安だった部分も解消されました。

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琴:現在4歳の女の子ですが、これから伸びしろはまだまだありそうですか?

優:ありますね。具体的に言うと、トモ、後脚がもう一つ成長するなという感触を今日掴みました。今が悪いというわけではなく、これから更に成長すると思います。

琴:他に期待している馬はいますか?

優:自厩舎のイクリールですかね。4歳未勝利ながら1勝クラスを勝ち上がるという特殊なキャリアの馬ですが、今2連勝して2勝クラスにステップアップしたんです。

現状でも3勝クラスの実力は持っているんじゃないかと思っていますし、順調に3連勝して、あとは厩舎力でどこまで行くかというところなので、この馬と一緒に頑張っていきたいです。

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琴:2連勝はどちらも逃げ切りの形ですが、番手でもレースできそうでしょうか?

優:調教に乗っている感じ、2番手の方がむしろ集中出来そうです。ただ並んだ時に頑張るタイプなので、序盤泳がしておいて後続に来られたら頑張るというシチュエーションを作っているんです。

出負けしてハナに行けなかった場合は2・3番手でも競馬できる感じはします。そういった意味ではどこかでそういう競馬もさせていかなければいけないなと思っていますし、まだ4歳なので期待しています。

琴:今年の目標があれば教えていただきたいです。

優:まずは重賞制覇というところと年間30勝。過去5年間2つとも達成出来ていないので、まずこの2点は目標としています。

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琴:今年の勝ち鞍のペースとしては年間30勝は上回りそうですね。

優:そうですね。今月3つ勝たせていただいたので。東京が得意なのか分かりませんが、東京でかなりの数を勝てた半面、中山では2着が多かったので、そのあたりも課題かなと思っています。2着を1着にしないといけないので。

琴:ここまで色々と楽しいお話を伺ってきましたが、最後にファンの方にメッセージをお願いします。

優:僕、独特なキャラだとは思うんです。僕を応援しているということは物好きな方が多いと思うんですけども(笑)、引き続き僕なりのキャラでやっていこうと思います。

この記事を読んでもらってファンになっていただくこともあるかもしれませんが、変なヤツがいるなと思って応援していただければ嬉しいです!

琴:楽しいお話ありがとうございました!

優:こちらこそありがとうございました!

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※原優介騎手のサイン色紙、サイン写真のプレゼントは後日オープンする特設ページにて!