'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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【日本ダービー・特別版】昨年2着で思い新た “相棒”ダノンキングリーと戴冠狙う!
2019/5/22(水)
今年は自分の番だ。昨年、エポカドーロとのコンビで挑んだ日本ダービーは逃げを打つ奇策で2着に導いた戸崎騎手。当時のレース回顧は当欄でも幾度となく、取り上げさせてもらったが、その悔しさを胸に、今年はデビュー前から手綱を執ってきたダノンキングリーと夢舞台へ挑む。乗り替わりが常識になりつつある時代の中で、4戦すべてでコンビを組んできたパートナーと大一番に期する思いは。レースを1週前に控え、先取りで語ってもらった。
-:日本ダービー(G1)に今年はダノンキングリー(牡3、美浦・萩原厩舎)と挑まれます。去年はダービーで半馬身差の2着も、皐月賞を勝って挑まれました。今年は皐月賞こそ3着ですが、デビューから手綱を執られてきた馬での騎乗。心構えの変化があれば、教えてください。
圭太:今までは日本ダービーを強く意識していたことはなかった、重く置いていなかったのですが、去年2着になったことで、また見える世界といいますか、景色が違うものを感じられました。それは、日本ダービーを勝ちたい、ダービージョッキーになりたいと感じましたね。
今年はダノンキングリーという馬に巡り会えて、ずっと乗せていただいて、順調に出走にダービーへ出走できるのですが、新馬から乗ってきた馬でダービーに挑むのは初めてですからね。もともとセンスがあって、賢い馬で距離の不安も難なくクリアしていってくれましたからね。教えてきた部分はそれほどなかったですけど、「相棒」という存在と闘えることは強みであるのかなと思います。楽しみなダービーにはなりますね。
-:今年のダービーで全てのレースを同じ騎手が乗ってきた馬はダノンキングリーとニシノデイジーだけですからね。僕は何度か伺っている話も改めて答えていただくことになりますが、去年の2着で感じたものは具体的にどうでしょうか?
圭太:ゴールしてから感じたものですが、スタンドの雰囲気ですね。勝っていたら、自分で得る感触も違かったのだろうと思いましたね。ダービーの日は競馬場や検量室の雰囲気が違うのはもともとですが、その中で勝てれば、また違うものが見えるのだろうな、とは感じましたね。
昨年のダービーでは惜しくも2着(一番右)
-:でも、勝ちたいと思っていても、乗ること自体も簡単ではないですし、ましてや同じ馬で段階を踏んで、ここまで来られることも容易ではないですよね。最初にダノンキングリーのレースに騎乗したのは10月8日の新馬戦でしたね。
圭太:新馬前の追い切りから乗せていただいたのですが、きょうだいがダート馬ということで、その先入観もあったかもしれません。芝でデビューしまして、勝ちはしましたが、その内、ダートになるのかな、とは思っていましたね。そこからの成長ぶり、変わってきた部分は大きな差を感じます。
-:これまでJRAに移籍されて7年目です。たくさんの新馬戦や2歳、3歳戦に乗ってこられましたが、これほどの大きな成長曲線を感じる馬はいましたか?
圭太:どうだろうなあ…(しばらく間があり)。パッと出ないということはいないと思います。この馬の成長ぶりは凄まじかったですね。3戦目辺りまではドンドン良くなっていきましたね。
-:サートゥルナーリアやヴェロックスなどより、皐月賞以降は1週遅れての帰厩でした。1週前の具合はどうでしたか?
圭太:雰囲気は変わりなくこられていますよ。
-:1週前はゲート練習で乗られたそうですが、ゲートの不安もあるのですが。
圭太:いや、厩舎独自のことだと思いますよ。けっこう(練習に)いきますよ。
-:馬の気性的な面ではどうでしょうか。
圭太:いや~デビューした頃よりは良くなりましたよ。ただ、攻め馬でもハッキングで後ろから馬が来ると跳ねたり、元気なところが見受けられますからね。だから、僕はあえて乗らないといいますか、普段慣れている助手さんに任せています。攻め馬でも3戦目辺りから、「もう跳ねなくなったから」と言われたのですが、相変わらず跳ねるのでね(笑)。でも、元気があるのはいいということで解釈しています。
-:レースの直前で放馬なんてケースは避けないといけませんね。
圭太:助手さんは「大丈夫」なんて言っているので、不安に感じる自分が乗るよりいいなと(笑)。
-:競馬場で観ると、意外に思えますが、そういうことはありますか?
圭太:それはないんですよねえ。
-:東京コースは長い地下馬道でテンションが上ってしまう馬もいますね。
圭太:テンションが上がるのではなく、元気がいいんですよ。悪さをしているのではなく、ね。
-:じゃあスタンドの観衆に反応し過ぎたり、ということと違うと。
圭太:それとは違いますね。イレ込みではないので。
-:ただ、調教という意味では、普段以上に乗ってきた馬でありますね。
圭太:まあ、それは言えますね。
1週前追い切りはウッドでびっしり追われた
-:今回は良くなるという点では、東京コースになることかと思います。
圭太:決して中山がダメなわけではないですが、東京の方がいいかなと思いますね。東京の方が乗りやすいですし、瞬発力勝負という意味ではいいんじゃないかと。
-:それは皐月賞を終えて、そう感じられたと思います。皐月賞のレースぶりを振り返っていただくとどうでしょうか?
圭太:欲を言えば、馬場の一番いい、外に持ち出したかったのですが、展開的にも無理と判断しました。内にいたので、いい場所を走らせてあげれば、という思いもありましたが、全体的なイメージとして、負けはしましたが、ある程度、いいレースは出来たと思います。
-:ただ、あの枠でしたし、直線の進路どりは致し方ない部分もありましたかね。
圭太:そうですね。丸っきり内が悪いというワケではないのですが。
-:今回の課題は距離ということになりますね。
圭太:距離の不安があることは事実ですので、道中の折り合い・コンタクトは一番のポイントかと思いますね。でも、最初はマイラーかと思っていましたが、2000mはいい感じですね。
-:枠はまだ出ていませんけど、乗り方についてのイメージは膨らんでいますか?先週(1週前)のトレセンで、他のジョッキーとも話していたところ、ダービーは勝負にいったジョッキーが勝つレースという声も聞こえました。
圭太:その日の馬場もありますし、そこを検討することも含めて、ダービーを楽しんでいただきたいのと、イメージしてもらえればと思います。でも、「勝負にいく」といっても、行こうとしても行けない場合もありますからね。ただ、上手に乗った人が勝つと思いますよ。
-:といっても、去年のエポカドーロも勝負にいっていますけどね。
圭太:いってますよ、ハハハ(笑)。
-:あれは意外でしたからね。ただ、去年の結果を受けて、乗り方のイメージはできましたか?
圭太:いや~それは流石にないです。馬も違いますし、枠もありますからね。こう乗れば勝てるというレースではないと思います。
-:馬場が悪くなった場合は歓迎すべきではないですか?
圭太:こなせるのかもしれないですけど、いい馬場でやりたい馬ではありますよねえ。
-:ライバルは前回で先着を許したサートゥルナーリアになってきます。
圭太:そうですね。2着のヴェロックスも強かったですが、勝ち馬は強かったですね。
-:また、レース前に伺うことになりますが、ダービーへ向けて、現時点の意気込みをお願いします。
圭太:去年を経験して、ダービーの見方も変わりましたし、ダービージョッキーになりたいと思っています。こういう馬と巡り会えて、ダービーに挑めるとは、なかなかチャンスのあることとは思っていないので、勝ちたいと思います。まずは最善を尽くしたいと思いますし、レースまでには、色々やっていきたいです。
いよいよ来る日本ダービー!ダノンキングリーとのコンビで挑む戸崎騎手に応援メッセージをお待ちしております。締め切りは5月23日(木)まで。沢山のメールをお待ちしております!keita_tosaki@keibalab.jpまで[お名前またはペンネーム]をお書き添えの上、メールでご連絡ください。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は5月24日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成し、NARとのダブル1000勝は史上4人目の快挙を挙げた。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。