'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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「騎手人生で最も意識したレース」 日本ダービーへダノンキングリーと挑む!
2019/5/24(金)
騎手人生に金字塔を打ち立てるか。いよいよやって来た第86回・日本ダービー。今年の戸崎騎手は、過去4戦すべてで手綱を執ってきたダノンキングリーと挑む。下馬評では皐月賞馬サートゥルナーリアが頭一つ抜けた評価を受けているが、大一番での逆転は?「相棒」と臨む競馬の祭典で勝利のチャンスはあるのか?枠順が確定した直後、心境・可能性を語ってもらった。
1週前更新「昨年2着で思い新た “相棒”ダノンキングリーと戴冠狙う!」はコチラ⇒
-:いよいよ日本ダービー(G1)ですね!枠順も確定して、天気も晴れの見込み。直前の見通しを伺いたいと思います。ですが、まず、先週のレース回顧から伺いたいところ。ウィクトーリアと挑んだオークス(G1)は4着。客観的に観た印象では、あのゲートでは、外枠もよりこたえましたし、スタートがスムーズならば、と悔やまれるところでした。
圭太:よろしくお願いします。そうですね…。スタートを出ていてくれれば、位置どりも違いましたし、たとえあのスタートだったとしても、内枠ならもっとリカバリーがきいていたと思います。
-:出走メンバー中、上がり34秒台だった馬は3頭。勝ち馬は強かったものの、ゲート次第では、もう一つ上の着順があっても…という着差。馬の気配はどうでしたか?
圭太:スタンド前の発走でも、テンションが上がることはなかったですし、雰囲気は良かったですよ。ただ、ゲートでいつも同じような仕草といいますか、タイミングよく出てくれればなあと思っていたところ、やはり出遅れてしまいました。ゲートの出方も伸び上がるような格好だけに、余計にこたえますね。
-:フローラSが終わった直後の談話では、距離の不安もあったと思います。2400mはこなせましたね。
圭太:そうですね。問題なかったです。秋も楽しみな馬じゃないですかね。今回でより可能性を感じました。
-:ちなみに、18日土曜は散水の影響で、東京の芝は水分を含んでいるという声も耳にしましたが、日曜の馬場は乾いていましたか。
圭太:いや、やっぱり水分を含んでいる感じでしたよ。完全に乾ききってはいなかったですね。
-:その他のレース回顧では、マックスアンは1番人気ながら4着でした。
圭太:フットワークはいいですね。ただ、頭が高くて、直線の伸びに影響しているところがあります。それに、出もスムーズじゃなく、序盤の位置どりの差ができてしまいました。
-:ジェイケイエースは2着、キモンカラーは3着と惜敗が続きました。
圭太:ジェイケイエースは非常に大きな馬ですね。一方で、器用さに欠けるところがあります。ただ、コース条件は合いますね。キモンカラーはセンスがありそうでしたし、その通り、走ってきてくれました。ただ、他馬を気にするようなところもあるので、解消されてくると、もっと良くなりそうですよ。
-:フィリーズランで勝たれました。
圭太:センスもありますし、乗りやすいですね。スピードもあります。右に張るところはあるものの、しぶとかったです。
-:ダノンフォワード、テイクザヘルムと人気を集めるも、圏外の結果でした。
圭太:ダノンフォワードは作戦、イメージ通りの競馬でした。ハナは叩けたのですが…。テイクザヘルムは懸念していたところが出てしまいました。というのも、テンションが高くて、道中から一生懸命になって走ってしまっています。今後、条件を替えた方がいいのかもしれません。
-:メヌエットは最後に突っ込んできて差し切り勝ちでしたね。
圭太:いつもテンションが高いらしいんですよね。でも、パシュファイアーを着けた効果があったのかもしれません。直線でもよく狭いところを突いてくれました。
-:クリップスプリンガ、タマノカイザーも惜しい結果が続きました。
圭太:クリップスプリンガはこの条件は合っていますね。前走より状態は良かった程ですし、東京の内に勝てるといいのですが。タマノカイザーは追い切りに乗っていい感触は得ていました。条件も合っていますし、頑張ってくれています。
-:ベターハーフで勝利。先週は3勝でしたね。
圭太:前走もいいレースをしていましたし、スムーズに運べればと思っていました。ただ、このところコンスタントに勝たせていただいていますが、決して楽ではないですよ…。
-:残り13ですからね。なんとか東京開催中だと…。今週末の話題では、土曜の東京2R(3歳未勝利)ではホーリーラインに騎乗。前走2着と好走しました。
圭太:芝替わりがいい方に出てくれて、走ってきてくれました。勝利を狙える存在だと思います。
-:葉山特別のビーカーリー、最終レース(4歳上1000万下)のアームズレングスと前走が惜しい結果です。
圭太:ビーカーリーは前走で器用なところをみせて、あわや勝利という内容でした。今回もいいレースを期待しています。アームズレングスは実績からも、勝って不思議ではない馬だと思うんです。開催中止で延びた影響が悪い方に出ないといいのですが…。
-:欅ステークスのワンダーリーデルは以前も乗られて、乗り味を評価されていましたね。
圭太:いい馬ですね。条件も千四という距離がピッタリだと思います。
-:日曜は6R(3歳500万下)のグランソヴァール、薫風ステークスのフィスキオ、むらさき賞のアモーレミオなど、おなじみの馬が揃います。
東京ダ千六戦に限定すると、7戦連続馬券圏内のフィスキオ
東京芝千八で2連勝中のアモーレミオ
圭太:グランソヴァールが芝でもダートでもいい走りをしてくれるんです。乗り味のいい馬だけに、結果を残したいです。フィスキオは条件が合っていますからね。アモーレミオは課題がつきまとうのですが、東京コースでは安定して走ってくれるんですよね。
-:アモーレミオの現状の課題といいますと、どんなところでしょうか?
圭太:ゲートや道中でムキになったり…。本来はパワータイプに思えるんですよね。
-:それでも、前走は上がり33秒台の速い上がりを使えたんですよね。
圭太:そうなんですよね~。能力は秘めているのでしょうし、1戦ごと良くなっているようなので、引き続き楽しみです。
-:今回は間隔も空いていますが、この時季の馬だけに成長分に期待しています。
-:次週水曜のさきたま杯(Jpn2)ではサンライズノヴァが控えていますね。
圭太:率直に楽しみにしています。ハマるんじゃないか…という予感はあるんですよね。浦和が合うんじゃないか、という。これが川崎の1400だったら、船橋には1400はないけど、他のコースなら、そうは思わないんです。浦和なら、と思っています。
-:ジョッキーは浦和の重賞を数多く勝たれてきましたし、得意とされているイメージ。楽しみな意見です。
圭太:ええ。みんながどう思うかはわかりませんけど(笑)、ハマるかどうか。どのみち位置はとれない馬ですが、コースが合うかどうか、だけですね。
-:そして、日本ダービー(G1)に挑むダノンキングリーですが、1週前にもお話は伺いました。枠順も木曜に決まりまして、4枠7番からのレースになりました。見立てはどうでしょうか?
圭太:ええ、決められたところでやるしかないですからね。出てしまったものはどうこう言いようがないですからね。
-:水曜はポリトラックコースで追い切りに騎乗されましたね。1週前は助手さんが騎乗されて、ハードな追い切りを消化されていましたが、感触はどうでしょうか。
圭太:ダービーを迎えるにあたって、申し分ない状態だと思いますね。
-:萩原清先生とはレースプランなど練られているのですか?
圭太:先生の場合はレースに関しての指示は任せてもらう形が多いのですが、馬の状態に関しては、競馬場やトレセンなどで密に耳にしていましたよ。
-:確かに競馬場でもその日、厩舎の馬に乗っていないにもかかわらず、お話されているところも目にしました。今年の展開はどう観ていますか。
圭太:行く馬はいますよね。特殊な流れになるようなことはないのでは、と思っています。
-:これまでダービーに対する思いは伺いましたし、他のメディアさんでも発しているコメントも目にしましたが、これは去年も伺ったかもしれません。日本ダービーで自分が乗った年、それ以外も含め、記憶に残っているレースを挙げるとどれでしょうか。
圭太:あぁ~2010年ですね。内田(博幸)さんが勝ったことを鮮明に覚えています。僕はトゥザグローリーに乗せてもらって、初めてダービーに騎乗させてもらったんですよね。
2010年のジョッキー紹介式にて
-:自身は大井競馬所属時代で初めての騎乗のチャンスでしたし、大井の先輩の内田さんが勝ったレースでしたね。直線では、トゥザグローリーも直線ではオッ!と思うところがありました。お母さんはG1で活躍した血統馬でもありましたし。
圭太:そうそう。内田さんが勝ったことは嬉しく思いましたね。でも、自分の乗り方は今とは比較にならないです…(苦笑)。何も考えず、乗っていたなあと。
-:このコーナーでは騎乗に対する心構えであったり、僕が聞けるレベルでの乗り方についても、これまで伺ってきましたが、JRAに移籍して、7年。当時とは、技術的にも、精神的にも違うと言い切って大丈夫ですか?
圭太:ハイ、違います。
-:そんな意味を含め、経験が結実するレースになってほしいところ。今年は5月を終えるのですが、勝ち星的にもコンスタントに上がってきました。ここまでを振り返ると、どうでしょう。
圭太:今までの騎手人生もそうですし、色々感じてきたものを整理して、それがまとまってきたのが最近ですね。今はスッキリした心境で競馬に挑めていますし、集中力も高まっています。
-:内容も濃いですね。
圭太:濃くなっていますね。今は競馬が楽しいですし、色々感じるところもあり、充実しています。
-:まだまだ現役生活は続くのでしょうが、ここまでの積み上げてきたものが、ダービーという大きなタイトルで箔がつく、弾みになると。
圭太:そうですね。勝てたら、また違った景色が見えそうですし、勝てなくても、来年以降の課題として残るでしょうからね。でも、勝てても、来年以降も勝ちたいと思うはずです。
-:しかし、今まで一つのレースを勝ちたい。このレースを勝ちたいと意識するレースはありましたか?これまで伺ってきて、記憶にないんですよね。
圭太:いや~ないでしょうね。いよいよダービーということで、やっぱり枠が出るまでも楽しみでしたし、出てからの精神面、自分の感覚も違うな、意識があるな、と俯瞰して見ても思うんです。それが競馬に悪影響しないように務めないといけないですが、このワクワクとドキドキ感…。そして、幸せを噛み締めながら、最善を尽くしたレースを出来るよう、準備をして臨みたいです。とにかく、今までとは違いますよ。
-:淡々としているようで、負けん気は強い方だと思いますが、それでも、「このレース!」というのは初めて聞いた感覚です。騎手人生初めて意識したレースといっても、過言ではないのでしょうか。好相性だった東京ダービーもそんな感じではなかったと思います。
圭太:それは言えますね。特別に感じたレースはそこまでなかったですから。
-:周囲からもダービーについてエールを送られることも多かったんじゃないですか?
圭太:たくさん言葉をいただきましたね。そんな声に応えられるように、一緒に喜んでもらえるような結果になればと思います。
-:今週分は以上となりますが、健闘を祈ります。
圭太:ありがとうございます。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は5月31日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。