機動力の勝利、エポカドーロが好位から抜け出す!【平林雅芳の目】

エポカドーロ

18年4/15(日)3回中山8日目11R 第78回皐月賞(G1)(芝2000m)

  • エポカドーロ
  • (牡3、栗東・藤原英厩舎)
  • 父:オルフェーヴル
  • 母:ダイワパッション
  • 母父:フォーティナイナー
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前の晩のかなりの雨(もっとも関西での話だが)でもっと悪い馬場と想像していたのが、実際は相当な風で飛んでしまった様だ。朝から稍重発表の芝、ダート。そして気温が高くどんどんと乾いたかも。
前の3頭が雁行して飛ばす展開。そこから離れた4番手を進むエポカドーロ。直線半ばで前を捕らえると、後続が伸び悩むのを後目に2馬身の差をつけ悠々とゴールへ。混戦となった皐月賞を制したのは、機動力に富んだエポカドーロであった。

ひとつ前の《西船橋駅》で、風のために電車がストップ。しばし待たされての《船橋法典駅》。地下道のただ長いこと。幸い雨は上がっていていたが暑い、むし暑い。
まず最初に馬場の発表を観る。芝、ダートともに稍重の発表に、思わず芝コースを眺める。風にたなびく青々とした芝。もしかして、レース本番の頃には《良》馬場発表になるのではないかと思えた。イメージでは重馬場、それも力の要る馬場を予測していただけに、レースの予想していた展望が崩れた気がした。
時間を追うごとに人が多くなってきた。パドックは上の階から見下ろしたが、馬は上から観るものではないと改めて感じた。特徴も何もかも、判らずじまい、訴えて来るものがない。
早めに下に降りて、馬場入場を間近で見る。地下道を上がってきた馬がざわめく。歓声や人の動きに驚いたのか、スイッチの入る馬が多かった。

PVでレースを振り返る。
ゲートが開いて最初の2,3完歩の間に1,2,3着の馬、3頭が一番前にいるのが判る。好発、好ダッシュからレースが始まっている。逆にジャンダルムは上へと飛び上がって出てしまい、位置が最後方から。アイトーンが押して押して前へと出て行く、外からジュンヴァルロも前へと出てくる。ジェネラーレウーノが加わって、3頭がひと塊となって行く。そこからけっこう離れてエポカドーロ。サンリヴァルが続き、ケイティクレバーも内にいる。後ろではキタノコマンドールとステルヴィオが軽く接触したかで、ステルヴィオの位置が下がる。そこらにジャンダルムもいた。

最初のコーナーから次のコーナーに入る間に、2番手グループと前の3頭とが離れる。5、6馬身かとオンタイムでは思っていたが、映像を観るともっとあった形だ。2番手グループで先頭を行くエポカドーロ。まるで先頭を切っているかのような感じで、ゆったりと進めている。それも馬場のいい処を選んで走っている。
向こう正面に入っても、後ろからマクって行く馬はいない。1000m通過が59.2だが、少し緩い馬場だけに遅い流れではない。

後ろとの差がさらに離れた3コーナー手前、3頭の真ん中のジェネラーレウーノの田辺騎手が思わず後ろを振り返るシーンがある。
カーブを廻ってさらに進む4コーナー手前。ラスト600を過ぎて、前の3頭は早くも追いだした。だいぶ詰まってきた後ろの馬群。その先頭を行くエポカドーロはまだ追いだしていないが、一気に差がなくなってきた。

馬場の5分から、もう少し外目を選択の戸崎騎手。画面で見ても芝の色が綺麗だ。後ろのサンリヴァルが追いだしているのに、戸崎騎手の手は馬の首から離れていない。
ラスト300あたりで、前を行くジェネラーレウーノに並びかけた時に右ステッキが入る。交わしてからさらに外へと進路を取る。馬場がいい方へと動いたかの様だ。2、3着もスンナリだったが、その後ろの外目で壮絶なる戦いが。ステルヴィオが内で、その外へ後ろからグレイルが入り、先にいたワグネリアン、外のキタノコマンドールとの間が狭くなる。勢いのあるグレイルが、ワグネリアンを弾いたかの感じであった。ハナ、ハナの差で3頭が凌ぎあったが、5着のダービー出走権を確保したのはキタノコマンドールであった。ワグネリアンは、その不利がなくとももっと前には来ていなかっただろう。

今回の皐月賞の結果は、馬場が大きなファクターを占めていたかも知れない。この馬場では、後ろからでは届かない。流れも前が潰れるほどに速くはなく、難しい流れとなってもいた。何せ、最初のカーブに入るまでに大方の決着はついてしまっていたと言っても、過言ではないものであった。

《黄金の時代》(伊)とJRAのサイトの《馬名の意味》で、エポカドーロの由来を知る。父、母父名から連想とあった。父オルフェーヴルの粘り強さを受け継いだエポカドーロではなかろうか。
先週がロードカナロア産駒がG1勝利、オルフェーヴル産駒が2着だった。それがすぐに今度はオルフェーヴル産駒のG1勝利だ。それも共に3冠の緒戦である。運と力を持つ3歳。これから数多くのG1戦線でその足跡を残していくのだろうと思える。

中山の競馬は難しいと思うが、先行馬に戦いやすいコースでもある。しかしそれを難なくこなしてしまうのが凄い。春の小倉でスーパーフェザーで戦いに行った《あすなろ賞》。アッサリ逃げ切られてしまったエポカドーロ。その後の活躍を観れば、当然とも思える力量の馬であった。
まずはクラシック1冠目の皐月賞が終わった。馬場や展開で力を思う存分発揮できない馬もいただろう。そして次のステージ、ダービーでまた再戦する。大本命馬も今度は出てくるだろう。春の嵐の中山での戦いだったと記憶しておこう・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。