昨年のジャパンCを破格のレコードタイムで圧勝したアーモンドアイが、3月30日のドバイターフ(G1、芝1800m)で再び世界を驚かせる。3歳時は牝馬3冠を達成し、古馬の一線級も倒して6連勝。年明け初戦で初の海外遠征となる国内無敵の女王は、輸送や環境の変化をクリアできるのか-。ドバイシーマクラシック(G1、芝2410m)には、天皇賞・秋を制したレイデオロを送り込むノーザンファーム天栄・木実谷雄太場長に、両馬の状態や手応えを聞いた。(取材、構成=競馬ラボ・狩野)

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反動なし「筋肉がついて成長」

-:今年はアーモンドアイ(牝4、美浦・国枝厩舎)がドバイターフレイデオロ(牡5、美浦・藤沢和厩舎)が昨年に続いてドバイシーマクラシックに出走されます。まずはアーモンドアイについてお聞きします。ジャパンCを2分20秒6という驚異的な世界レコードで勝った後で反動や疲れが心配になりますが、レース後の状態はいかがでしたか?

木実谷雄太場長:さすがにレース後は膝などに疲労が見られたので、天栄に戻ってからはまず疲れを取ることに専念しました。年末に乗り出してからはここまで順調に調整できていると思います。

木実谷雄太場長

ノーザンファーム天栄・木実谷雄太場長

-:昨年の春、アーモンドアイは「一戦ごとの消耗が激しいタイプ」だとお聞きしました。成長は見られますか?

木:1年前と比べたら、レース後の疲労回復も格段に速くなっていて体質面の強化を感じています。馬体の方も腰回りや肩周りに筋肉がついて成長が見られ、去年よりパワーアップしていますね。

-:今回は初めての海外遠征です。天栄では特別な対策などはされているのでしょうか?

木:海外遠征だからといって特別なメニューで調整を行っているわけではありません。普段どおり、レースが行われる3月31日から逆算して、ベストのパフォーマンスを出せるようにメニューを組み立ててきました。

直線の長い左回り「舞台設定は合う」

-:ドバイターフは左回りで直線が長いレイアウトです。コース適性についてはいかがでしょう?

木:広いコースの左回りでコーナー2つという舞台設定は、この馬に合っていると思います。

-:ドバイは例年、なかなか先行馬が止まらない印象があります。ジャパンCのように、ある程度の位置につける競馬が理想ですか?

木:現時点では相手関係も分かりませんし、当日の馬場状態や天気など不確定要素が多いので何とも言えません。確実に言えることは、とにかくスムーズな競馬をして、アーモンドアイの武器である末脚を発揮できるレースができればということだけです。

木実谷雄太場長

初の海外遠征に挑むアーモンドアイ

-:最大のポイントは、環境の変化だと思います。長距離輸送や現地での長期滞在などには対応できそうですか?

木:輸送自体は京都や阪神にも行って、結果を出しているので問題ないと思います。ただ、飛行機での輸送は今回が初めてですからね。無事にクリアしてくれることを祈るばかりです。

「海外のどこへ行ってもそうですが、調教場所が変わるというのは大きな課題です。馬も厩舎スタッフも初めてのケースが多いですから」


-:飛行機の輸送が堪える馬は多いですか?

木:馬運車から馬を収納するストールへの積み替えからはじまり、飛行機に乗っている時間はもちろん、出入国の際に掛かる諸手続きの間も待機していなければなりません。空港内での騒音などもストレスでしょうし、単純に輸送以外の部分で影響を受ける馬も多いと思います。

-:現地では坂路がなかったりと調教方法も変わります。

木:海外のどこへ行ってもそうですが、調教場所が変わるというのは大きな課題です。馬も厩舎スタッフも初めてのケースが多いですから。

-:初めての海外遠征と言えば、1月にアメリカのペガサスワールドカップターフ(G1、芝1900m)に出走したアエロリット(牝5、美浦・菊沢厩舎)は9着に敗れてしまいました。

木:アエロリットの場合も、馬も人も海外遠征は初めてでした。輸送経路もイレギュラーなものでしたし、あらためて異国の地で普段通りのパフォーマンスを発揮させる難しさを感じました。

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